家事を諦めていた9年間。
2020年6月、9年暮らした家から引っ越した。理由は、家の至るところが「カビる」からだ。
引っ越し当初からその前兆はあったものの立地は気に入っていたし、なんだかんだで長く住んでしまった。
さいごの1年間は絶望的にカビに汚染されてしまっていたので、住み続けるのはきびしく、大家さんのご厚意で代金を全額負担していただき引っ越した。
9年のあいだ、インテリアや雑貨、家具など欲しいものがあったとしても「どうせカビるし」と、いつも諦めていた。掃除も「どうせまた汚れるし」と思っていた(カビるしも含む)
例えば、木製の収納棚、シーグラスや籐のかご、竹製のスライサーなど。収納棚はアイアン製にしたし、かごとスライサーは諦めた。
シンクの下こそカビてしまうから調味料を収納することもできず、粉ものはすべて冷蔵庫にしまい込む生活。
家に対するストレスをいつも抱えている生活×もともとすきではない家事。
家事に対するテンションはだだ下がりの9年間。家ではいつもポンコツだった。
この引っ越しを機に、諦めていたものを揃えはじめた。かごや竹製のスライサーや蒸篭(セイロ)、などを引っ越したことでやっと買えたのだ。
こんなにいかにもカビそうな調理器具たちを買える日がくるとは(感涙)
こだわって、下調べして、100均や中国製のものを避け、日本製のものをなるべく買うようにした。なかにはヨーロッパ製のものなどもあるがメーカーにはこだわった。
いままで我慢していた分購買欲も満たされたが、家にすきなものがそろっていく様が何よりうれしかった。小包がとどくたびにわくわくした。
大事に使おう。ちゃんと暮らしを大事にしよう。人間らしく暮らそう。そう思った。
いままでの9年間が嘘のように掃除をするようになったし、自炊も再開した。
調理器具は100均でそろえていたころは、ぞんざいに生きていたのだと思う。
すきなものやときめくものに囲まれる生活は、想像以上にわたしのこころをを豊かにしはじめた。
住環境は、モチベーションやメンタルに大いに関係する、ということに今更ながら気がついた。
いままでただだらしのない性格だとおもいこんでいたから、じぶんが一番驚いた。
ただ、その素質はあったとは思う。
しごとに関しては、使ったものはすぐ元にもどす、すぐ片付ける、わたしからすれば当たり前のことだけど「しっかりしている」と、評価されることが多い。
そう評価されるたびにいつも違和感を感じていたのだけれど、しごとをしているときの顔が本来の自分だったのかもしれない。
引っ越しは大変だったし、コロナ禍で若干病みはしたけど(笑)、これらがきっかけで自分の生活に目を向けることができた。そして、家で過ごす時間の充実度が爆上がりした。
嫌いだった料理も掃除も、これからは毎日の生活を楽しんでいきたいな。