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RK ROSEBUD 2ndアルバム『INSECTS:never be categorized』

注意:Mx.MOONのアルバム『THE MOON RISING』と比較していますが、どちらがいいとか悪いとか、優れているとかいないとかを述べたいという意図は全くありません。

 Mx.MOONのボーカルAkiさんが以前に在籍されていたバンドRK ROSEBUDの2001年に発売された2枚目のアルバム『INSECTS:never be categorized』を聴きました。本アルバムというか、RK ROSEBUDというバンドに興味を抱いたのは、勿論Mx.MOONの1stアルバム『THE MOON RISING』が素晴らしかったのと、当該アルバムの収録曲のうち4曲がRK ROSEBUD時代の曲ということからです。

 本アルバムには、『THE MOON RISING』にも収録されていた”破戒ノ薔薇”及び”FLY”が収録されています。

 何れの曲も『THE MOON RISING』に収録されたバージョンとは大きくアレンジも変わりませんが(想像以上に変わってないやん(笑)って思いましたよ)、『THE MOON RISING』のバージョンがゴージャスで綺羅びやかな印象を受けたのとは逆に、本アルバムバージョンはシンプルが故に剥き出されたような感触がありました。着飾っているかラフな格好なのかの違いと言えばいいでしょうか。

 本アルバム全体に言えることですが、悪く言えば音はスカスカな部分がありますが(薄っぺらい、のっぺりしているという感触とはまた異なります)、バンドが演奏しているという迫力がありますし、スカスカな故に音と音の間に空気が流れる隙間があるというか、それが演奏自体が呼吸しているように感じて、個人的にはかなり好みです。嘗ての英国のFREEというバンドのように。ベースサウンドが前面に出ているのもそう感じる理由の一つです。

 予算や時間の面もあるのでしょうけど一発撮りを基本に制作されたと思われますが、それが功を奏したんじゃないかなと思います。収録されている曲もライブでかなり演奏しているのか、手慣れているという印象も受けました。

 Guns N' Rosesのアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』と、Def Leppardのアルバム『Hysteria』は同じ年に発売され、前者はバンド演奏の醍醐味を聴かせてくれ、後者は作り込まれた重厚さを聴かせてくれるといった異なる魅力があるアルバムですが、その違いに『INSECTS:never be categorized』と『THE MOON RISING』を重ねてみてしまいました。(『APPETITE FOR DESTRUCTION』と『Hysteria』はどちらも超絶に素晴らしい、歴史に残るアルバムであることに間違いはないでしょう。)

 予想外に演奏も手堅くうまい(すみません)ですし、ギタープレイも好みですし(ソロも音もごっついい)、曲もいいというのに失礼ながら正直驚きました。本アルバムに出会えてよかったです。小躍りしたいくらいでしたしね、踊れないけど(笑)。世の中にはまだ聴いたこともない素晴らしい音楽があると思えるだけで、なんか希望溢れた幸せな気分になったりします。

 そうそう、演奏面で言えば『THE MOON RISING』でリメイク(セルフカバー)された曲は、FREEの曲をMR.BIGが演奏しているような感じで、派手さが加わっているという部分で似た感触があると言いましょうか。

 曲については、80年代アイドル風の曲を基本に、アレンジを結構いじってみましたという印象(装飾の部分を捏ね繰り回したという感じ)です。それでいて、シンプルに感じて聴きやすさが残っているのは凄いことだなと感心しました。素人なのに上から目線で申し訳ないですが。

 『THE MOON RISING』でのAkiさんの歌唱について、THE UNCROWNEDのSHALさんに似ているなと思っていましたが、元々性質と声の伸ばし方が偶然似ていただけというのと、『THE MOON RISING』ではAkiさんが意識的なのか無意識的なのかは分かりませんが、SHALさんに寄せた部分があったんだなという認識に変わりました。AkiさんもSHALさんも歌唱についての影響源が同じなのかなとも思いました。だからこそ、AkiさんはSHALさんの歌に惹かれたのかなとも。

 Akiさんの本アルバムでの歌唱は透明感がありつつも線は細く感じられ(線が細いのが悪いという意味ではありません)、『THE MOON RISING』での歌唱は透明感は若干薄れたものの逞しさが増したような変化を感じました。

 長々と書いてきましたが、一言で言うならば『THE MOON RISING』を気に入った人は「聴いて損はないと思いますよ」です。

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