変化する応援のカタチ
こんにちは、中川リョウ(@ryonotrio)です。1988年生まれ。広告代理店でコピーライター・PRアーキテクトという仕事をしています。noteでは「恥」というテーマで書いています。
カジサックさんと千原ジュニアさんが対談しているYouTubeを見て、久しぶりに筆を取りました。
ざっくりと解説すると、テレビで活躍している千原さん世代の芸人さんと今YouTubeを中心に活躍しているカジサックさんたちとの価値観に大きな差があるという話でした。その差は「照れ」だという。昔から芸人さんの中では「努力する姿は見せてはいけない」という美学があるという。たとえどれだけ事前に準備していたとしても、本番はまるで遊んでいるかのように振る舞う。それがかっこいいと。作り込んで練り上げた漫才を、舞台の上ではあたかもその場で会話しているように見せている姿を見るとたしかにイメージしやすい。一方でYouTubeで行われているのは、その努力や準備の過程も含めて公開し共有することだという話で、そこには大きな壁があるというお話でした。(かなり意訳入ってます)
この対談を見て、千原さんの「芸人の照れ」の話は、企業がコミュニケーションするときも同じだと思いました。自分が働く広告業界でもクライアントの広告をつくるときに、当たり前ですが「完璧」を目指す。クライアントのために、CMやグラフィック、キャンペーンのアウトプットのクラフトを上げることにこれ以上出来ないというくらいの執念と時間を費やします。それが「美学」だから。無難なものにならないように、少しでも多くの人が「この商品好き」って思ってもらえるように。
Huluやスッキリで話題になったNizi Projectは、これまでにTWICEや2PMなどを手掛けてきた名プロデューサーのJ.Y.パーク氏が新たなガールズグループを結成させるまでのオーディションの様子を追いかけるところから始まりました。オーディションを勝ちとった9人のNiziUのデビュー曲はYouTubeで公開初日に1000万再生を突破しました。
もはやデビューは、もうスタートではありませんでした。
ファッションの世界でも、最近はファッション系のYouTuberが服作りをはじめています。海外向けに日本のファッションをYouTubeで紹介していてで有名になったKen Iijimaがはじめた日本発のブランドVujaDeはECサイトをオープンするやいなや販売開始後即完売。海外のファッションアプリGrailedで同ブランドのアイテムは販売価格の2-3倍近い価格で取引されています。
コロナの影響もあり、グッチのクリエーティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ氏はこれまで最大年に5回行っていたショーを年2回にすると発表した。これからの理想的な発表方法を「対話」しながら模索していたいとコメントしています。これまでコレクションのテーマに合わせて完璧に作り込んだ世界観の中で発表の場として機能してたファッションショーも、あり方が変わるかもしれません。
広告の場合、新商品の場合は公開のタイミングなどもあるので、千原さんの言う「照れ」を捨てて過程を見せるというのは構造上難しいというのはあります。でも虹プロジェクトがそうであったように、広告キャンペーンの開始が「スタート」ではなく、「ゴール」になるようなキャンペーンの展開も今後ありうるんではないだろうかと思ったわけです。
これまでもクラウドファンディングや投げ銭システムなど、SNS時代の応援のカタチは存在していましたが、より成熟し裾野が広がってきたように感じます。
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