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「モノからコトへ」から「モノにコトを」

こんにちは、中川リョウ(@ryonotrio)です。1988年生まれ。広告代理店でコピーライター・PRアーキテクトという仕事をしています。noteでは「恥」というテーマで書いています。


お久しぶりです

久しぶりの投稿になったのは、2020年僕は本を書いていたからである。
出版社はDiscover21からの出版が決まっており、
「恥」と「応援」をテーマにした本書は春頃には書店に並ぶ予定だ。


モノからコトへ

マーケティングの世界で「モノからコトへ」と言われて久しい。

メーカー側の視点でいうと
どの会社も作れるモノ似てきちゃったから
モノの機能意外の部分で差別化しないとねという話。

消費者の視点でいうと
モノそのものが欲しいんじゃなくて
そのモノが自分にもたらす経験とか時間にお金払いますよという話。

どこのメーカーも製品の機能が均質化し、モノの価値だけでは競合他社との差別化を測れなくなったということが大きな理由である。いわゆる「機能価値」ではなく「情緒価値」で差別化していきましょうという話だ。

僕が従事する広告の仕事は、この情緒価値をつくるところが主戦場になる。
何を言ったら、商品のことを好きなってもらえるのか。
どう見えたら、商品をチャーミングなところが伝わるのか。
それを考えるのが僕たちの仕事だ。

こんな商品が生まれたので、どう紹介したらいいでしょうかという仕事が9割以上を占めている。そんなときに時たま起こるのが、つくっているモノと提供しようとするコトの乖離である。モノをつくってから、コトを考えていると乖離が生まれるは構造上ある種当たり前と言える。そして僕たちはその乖離がないように、ブランドの声と行動をデザインする。それがコピーであったり、CMだったり、イベントだったりする。

もちろん商品開発から伴走する仕事もあるにはあるが、その仕事における打ち合わせの内容は機密保持という名の下に表に出ることはない。


モノにコトを


このようにモノとコトの乖離に悩まされることは多い。そのモヤモヤの中で、僕が思っていたのは「モノにコトを入れられないだろうか」ということである。

では広告やPRの思考が商品開発に入ればいいのではと思って、僕が3年前に作ったのが「求人米あととりむすこ」だった。農業体験とお米をセットで売って、マッチングすれば農家を継ぐことができるという取り組みである。

そして去年NiziUの熱狂を見て思ったのが(妻は横で毎日のようにNiziUの動画を見ている)「デビュー」のタイミングがデビューである必要は必ずしもないということである。彼女たちはデビューの時点ですでに沢山の人に知られ、国民的になっていた。

PRを設計するという視点でいうと、通常垂直立ち上げを理想とする。商品の発売、リリースの配信、PR動画の公開、SNSの投稿すべてを商品の情報公開日に合わせるという考え方である。

しかし彼女たちはデビューまでのプロセスを見せることで大きな渦を生み出した。


僕が今仕事でやりたいこと

僕がいま一番やりたい取り組みは

 広告が出来上がるまでのプロセスも
 商品がデビューする前に公開するという取り組みである。

(何社か相談したが首を縦に振ってくれるところはまだ現れてはいない。)

そんなとき見つけたのが「スタンダードジャーナル(STANDARD JOURNAL)」だった。ひとつめの動画が上がったタイミングで「これをやりたかった」と思った。

​セレクトショップのジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)が25周年を迎えるのを前に自分たちの定番(スタンダード)を探すという趣旨。(JOURNALのSTANDARDを探す記録→STANDARD JOURNALってタイトルも素晴らしい)4人の人気デザイナーやディレクターに対してシャツ、カーゴパンツ、スウェットと同じお題がそれぞれに対して与えられる。

そしてデザイナーへの説明、企画提案、デザイン提案、生産担当との打ち合わせの様子が会議室に設置された沢山のカメラで録画され順次公開されていく仕組みになっていた。デザイナーの提案したアイテムに対して、すでに別のチームで似たデザインやってるからNGなど、いわゆる「大人の事情」までも生々しく収録されているのが面白い。

さらにそれぞれデザイナー・ディレクターのアプローチの違いも面白い。
お題として出されているアイテムがベーシックなだけでなく、ジャーナルスタンダードの次の定番という大きな命題はデザイナーの方々を苦しめたはずだ。

かなり具体的なイメージをもって打ち合わせに望むYOUNG & OLSENの尾崎さん。自身のブランドとの接点をつくり融合を図るYOKEの寺田さん。デザインソースとなるアイテムからアイデアを練るパンツ専業ブランドNEATの西野さん。そして「そもそもジャーナルスタンダードとは」に立ち返って設立当初のカタログに着目し、当時そのカタログを担当していたジャーナルスタードのレジェンドデザイナーを引っ張り出したGRAPHPAPERの南さん。そんな4人をLECHOPPEの金子さんが、褒めたり、補助線を引き直して大きな流れを作っている。(どなたもお店で一方的にお見かけすることはあっても直接の面識はない)

そして2/1にそれぞれのデザイナーさんたちによって生み出された新定番がお店に並ぶらしい。このデビューもすでにデビューではなく、垂直立ち上げでもない。

洋服の新しい楽しみ方だと思った。
数分の接客で聞ける内容とは比べ物にならない解像度で、商品のことを見ることができる。さらにプロダクトを含む「プロジェクトを応援する」気持ちをもった状態で、商品を手にとることが出来るのである。


応援はさらけ出すことで生まれる

応援されるために必要なのは、さらけ出すことである。それは個人も組織も同じことが言える。
応援されるためには、完璧である必要はない。未完成な部分があるからこそ、人は自分自身が応援する余地や余白に気づくことができる。
すでに「完成されたモノ」だけを見せる必要はない。

創造性は恥の先にある。

創造的であるとは、これまでと違うということである。これまでと同じ、これまでの延長線上のものをつくるのが一番恥をかくリスクが低い。これまでと違うものを生み出すためには、これまでの延長上にいることからはみ出す勇気が必要になる。モノづくりのプロセスを見せるというのは勇気がいることだ。恥をかく勇気が、新しいモノを生み出すチャンスを連れてきてくれるのである。

 広告が出来上がるまでのプロセスも
 商品がデビューする前に公開するという取り組みである。

広告でも是非このような取り組みをクライアントと一緒にやりたい。
ウチなら出来そうという方、ぜひ気軽にお声がけください!

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