同じ仲間たちと
おととい公開した【アドリブ】とリンクしています。
今日からは第1部 第2章<中学校編>です。
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あの学芸会での成功体験は確かに私に少しの自信を与えてくれたものの、中学進学にあたっては、不安でいっぱいでした。やはり「交流学習に馴染めなかった」という思いがいつも頭の片隅にあったからです。
私には2つの選択肢がありました。1つは当時、同級生の大半が行っていたA校に進むという選択。もう1つは、小学校2年生の時に入院をし、半年間だけ通ったB校に進学するという選択です。
母は、かねてからずっと行かせたいと願ったB校への進学を勧めましたが、私はA校に行きたいと伝えました。B校は活発で積極的な子が多く、普通級に近い環境、A校はどちらかと言えば特殊学級に近い環境だと聞いていたこともあり、とっさに「引っ込み自案の自分にB校は無理だ」と感じたのです。ここでも自分に自信を持つことができませんでした。
しかし、当然母には反対されました。「僚は将来、作業所のルーティンワークだけでは絶対に満足できずに飽きてしまう」「選択肢を広げるためにも絶対にB校行くべきだ」―そんな説得をされたと思います。
(※すでに20年前の話なので、おそらく事実と異なる部分も多く関係者の皆様には申し訳ないのですが、何より同世代のコミュニティの中で揉まれるにはB校というジャッジだったんだと思います。)
中学校選択において、多くの皆さんは学区域内の学校に行き、そうでなくても(私立を受験される場合であっても)まだ親の意向が強く反映される場合が多いと思います。私の場合も例外ではありませんでした。
なんとか中学受験を突破し、B校への入学を決めてから小学校卒業までの期間は、とにかくあっという間でした。そして、あの学芸会で得た自信が私の心を突き動かしていたのは確かです。唯一記憶にあるのは、当時の担任から言われた、「勉強なんてどうでもいい。とにかく同世代の友達を作りなさい」という一言だけです。
卒業式から帰宅した直後、「これからは(通常学級との)交流学習がないんだから積極的にいこう!」と自ら強く決意したことを、今でもはっきり覚えています。これまでの経験や、かけられてきた言葉を正面から受け止め、「変わらなきゃ」と思っていたのは誰よりも私自身だったのです。
入学以降、私は確かに変わりました。「友達になってくれる?」というあまりにもストレートな投げかけの数々に応え、あっという間にクラス全員が外様の私を受け入れてくれました。とにかく自分から話しかけるという、ちょっとした勇気を持ったことで殻を破ることができたのです。それどころか、「真面目だね」「言葉遣いしっかりしてるね」と、友達は私の長所を認めてくれました。
この時初めて、『いぶき学級』での体験が役に立っていることを実感しました。それまで、大人との関わりが多いことを危惧されたり、もっと同世代の友達を作ることを求められ続けたりと、思えばマイナス面ばかりがクローズアップされ続けてきました。しかし、そうした環境にあったことで自然と「丁寧な言葉遣い」を身に付けることができ、人から認められるようになっていたのです。
「過去が自分に役立っている」と思えただけで、また少し自分に自信が持てたような気がしました。そしてここから、私は数々の初体験に遭遇することになります。
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