頼られる喜び

 筑波大学附属 桐が丘養護学校(現:特別支援学校)に入学してすぐに友達ができたことは、自分にとって意外でした。なぜなら、集団生活に溶け込むことができないというコンプレックスがあったからです。
 しかし、小学校の時と決定的に違うことがありました。それは、「皆が(機能)障害を持っている」ということでした。先に述べたように、小学校を卒業した直後に私は「変わらなきゃ」と決心しました。自分が変わる、そう決意した裏には私のこんな思いがありました。
 

「これからは皆が障害を持った仲間なんだから積極的にいこう」
 

 そう。もう負い目を感じることなく今の自分を出していけばいいと自分に言い聞かせ、ずっとコンプレックスだった引っ込み自案を直そうとしたのです。
 友達ができた私が次に思ったのは、彼らが私を認めて自信を与えてくれたように私も彼らのために何かしたいということでした。すぐに、自分にできることで彼らのために貢献するためにはどうすればいいかを考え始めました。
 自分でも不思議なのですが、私には限りある引き出しの中から「必要な時に必要な物を取り出す」力が備わっていたようです。ただし、それはほんの些細なことです。
 例えば、先生は今何を考えているのか、今は自分が話すべきなのか、それとも、聞き手に回るべきなのか、どうすればこの話し合いがうまく進むのか。
 最初は、先生から投げかけられたことに対して行う受動的なものでしたが、だんだんと自分で考えて行う能動的な行為へと変化していきました。
話し合いの口火を切って、「僕はこう思う。まずはこう考えればいいと思う」と自分の意見を言う。話を理解できていないと感じた者がいれば、「大丈夫?」と声をかけ、今話している内容を個別に伝える。こうしたことを繰り返していきました。
 すると、友達の方から「どう思う?」と意見を求められたり、「お願いしたいんだけど」と依頼されたりすることが増えていきました。そして、「お前だったらできるよ」と背中を押され、いつの間にか生徒会にまで立候補することになっていました。
 ほんの数ヶ月前の自分からは考えられないことですが、初めて生徒会役員に当選した時は本当に嬉しかったです。桐が丘に入って最も変わったのは、他者から認められ、必要とされる喜びを知ったことです。友達からの信頼ももちろん嬉しかったのですが、特に先生から個別に呼び止められ、「今度のクラスでの話し合い、進行期待してるよ」などと言われると、天にも昇るような気持ちでした。
 当時は学級委員長というわけでもありませんでしたが、とにかく自分でも誰かの役に立てることがあると実感できることが、最高の喜びでした。

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*月日が経っても、信頼されてるって嬉しいよね!

(むしろ喜びは増してる気がするよ^^)

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長野 僚
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