本当にあった会社での怖い話 経営はつらいよ
20数年前、ロケ、撮影中に車に轢かれて死にかけた。
なんだか忙しくて、昼はロケやら企画やら、夜は映像編集みたいな感じで、毎日のように徹夜が続く日々。
朝、起きられないだろうから、寝る時は会社のドアの前で寝ていた。
出社した誰かが起こしてくれるだろうから。
あの頃、なんでそんなに頑張れたのか?なんでそんな仕事をしていたのか?
今振り返ると全くわからない。
そんな日常が変わったのは、オフィスの近くに編集専用の部屋が用意されたこと。
そこには撮影機材と編集機、小さいアナブースがあった。
それからというもの、夜はアナブースが仮眠室となった。
そう、ドアの前ではなく、アナブースが寝床になっただけ。
状況はさっぱり変わらない。
と思われたが、このアナブースが後々、会社の方向性を一変させることになる。
アナブースで寝るようになって、数ヶ月後、車に轢かれて死にかけた。
目が覚めると、いろんな体の穴にチューブが入れられて、両手両足を縛られていて、目の前には千数百キロ離れた場所で暮らしているはずの母親がいた。
全く理解できない。
今日は何日か?と聞くと、ロケに出た日から7日が経っていた。
車に轢かれて、頭を打ち、硬膜外血腫で手術。
3日間意識不明だったそうだ。
意識は戻ったものの、4日間話もできなかったと。
両手両足を縛られていたのは、頭を打った人にはよくある症状で、突然暴れ出したのだそう。
暴れ出すと色んなチューブが抜けたり、点滴も外れたりでややこしいので、ベッドに縛りつけたのだと。
なんだか申し訳ない気分になりつつも、起きた時は不愉快だった。
とりあえず状況は飲み込んだ。生きている。
あとは回復するだけだ!
と、たくさん食べて、病院を歩き回って体力回復に努め、3ヶ月入院と言われていたところを、1ヶ月で退院できた。
退院後、会社行って、色々迷惑をかけたことを詫び、仕事開始。
編集室はなくなり、以前のようにオフィスの一角がパーテーションで仕切られ編集スペースになっていた。
今日は、19時までには全員退社するように!絶対!
という指示が下った。
とはいえ、そんなに都合よく仕事が終わる訳がない。
仕事の勘を戻そうと編集スペースで編集、気がつけば19時を数十分過ぎていた。
会社のみんなは指示通り、みんな帰ってしまったようだ。
帰る時誘ってくれてもいいものを、編集スペースはパーテーションで仕切られているから気が付かなかったのだろう。
19時過ぎちゃったけど、帰るか。
と、編集スペースから出ようとすると、聞いた事がない音が聞こえてきた。
シャン…シャン…シャン…シャン…
会議室の方から音が聞こえる。
ちょっとのぞいてみると、変んな着物を着て、鈴の付いた棒を左右に振りながら歩く「THE祈祷師」みたいなおばさんを先頭に、会社の役員連中が連なって、そう大きくもない会議室を円を描きながら歩いているではないですか。
なんだこの光景は!!
驚きつつも、これ絶対見てはいけないヤツだと直感し、こっそりバレないように退社した。
会社に何が起こっているのか?全く理解できない。
会社を出てすぐに、同僚に電話をした。
「ちょっと!なんか役員連中が変な儀式をしてたんだけど!」
「あー、見ちゃった?会社に残ってたんだ。気づかなくてごめん。今、みんなで飲んでるから来なよ」
きっと、自分以外は変な儀式のことを知っているんだろうなぁと思いながら、飲み会に合流した。
「最近、会社のホームページ見た?」
同僚が言う。
自分の会社のホームページなど滅多に見ない。
見てみると、違和感があった。
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