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累計4億円の資金調達をしてまで、セールスイネーブルメントに命を燃やしている理由

 私は今、本気で「セールスイネーブルメント」を日本で、そして世界で普及させることを目標に日々活動しています。そして、累計4億円の資金調達に成功しました。

                  リンク:https://twitter.com/rimerz1/status/1618063198439243781

 シード資金調達時に「30代で大企業を辞めてセールステックで起業して1億調達するまで」というnoteを書いたところ、今でも、お会いする方が「読んだよー」と感想を伝えてくださいます。その一方で、「なぜセールスイネーブルメント?」という内容の質問をいただく機会も増えました。

 そこで、私がなぜセールスイネーブルメントという領域に命を燃やしているかについて、過去の経験を思い出しながらまとめたいと思います。私自身の話だけではなく、「なぜセールスイネーブルメントがとてもアツいのか」も書いているので、最後まで読んでいただけたら幸いです。


大企業の営業活動の2つのペイン

 日系大企業でセールスとして働いていた当時、営業活動に対して2つのペインを感じていました

 ①「先輩や上司のアドバイスのばらつき」②「SFA(営業支援ツール)への入力の手間」です。

 まず、一つ目にセールスに対するアドバイスは主観的な内容が多く、データをもとにした客観的な意見ではないことが多いと感じる方がたくさんいるのではないでしょうか?
 例えば、「アイスブレイクは短い方が良い」と言われた後に別の人に「アイスブレイクが長い方が良い」と言われたり。
 受け手としては、「ありがとうございます!」と言いながらもどうしたらいいのか分からず、耳を塞ぎたくなる瞬間多いですよね。

 2つ目は、「SFA(営業支援ツール)への入力の手間」です。
 多くの会社で意味がない入力をして、意味がないデータを基に分析していることが多いのではないでしょうか。あるいは、入力自体がされていないケースが多いと思います。

米国でのセールスイネーブルメント経験

 そして、米国で500名の営業がいる組織のプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)に就任し、そこで初めてセールスイネーブルメントに出会いました

 アサインされた業務で最も核となったのが、セールスイネーブルメントツール「Showpad(ショーパッド)」を導入したものの、誰も使っていない状態を改善する、というものでした。

Showpad(ショーパッド)…社員同士の資料の共有、データの整理、分析がおこなえるツール。日本でいうところのナレッジワークさんのようなプロダクト。

出典:ナレッジワーク

 元々は、営業資料を紙で管理していたため、「セールスの活動を本社が把握できない」という課題がありました。
 一方で、セールス担当からは「物理的にいろんな紙の資料を持って行くのは面倒だから、ひとつにまとまっているようなツールが欲しい」という要望がありました。
 本社と現場の双方の要望が満たされると思いShowpadを導入するものの、ふたを開けてみるとShowpadの利用率は20%/日ほどと、誰も使ってくれませんでした。

原因は大きく2つ。

1つ目は、数千個ほどの膨大な量のコンテンツが入り混じっていること。

2つ目は営業からしてiPadではなく紙の方が楽に使えてわざわざ使うメリットがない、ことでした。

 コンテンツの削除や整理に加え、iPadのこうしたツールの導入に成功した会社の例を調べると、「ほとんど失敗に終わったが、唯一成功した会社は、iPadでしかできないこと、つまりアニメーションや動画を使った会社だ」ということが分かりました。

 早速、アニメーションコンテンツをローンチし、Showpadの利用率は95%を超えるまで向上。そして、それとともに売上も大きくアップしました。
 Showpadでトークの説得力が上がり、セールスの質が改善していったのを目の当たりにしました。「セールスイネーブルメントを通じて一定の型化をすることは、売上アップに直結するインパクトがある」と、身をもって体験しました。

 このような米国での経験を経て、セールスイネーブルメントをしっかり実行すれば、多くの企業が抱えるさまざまな課題を解決できると感じました

起業した理由

 もともと、私がやりたかったことは「グローバルで大きい資本を使って社会課題を解決すること」でした。しかし、アメリカでの経験を通じて「大企業だと世界中どこでも調整コストが重い」と感じ、「大企業で仕事をしていると、自分の残りの社会人人生の中で大部分を調整に使うことになる」という現実に危機感を覚えました。(詳しくは「30代で大企業を辞めてセールステックで起業して1億調達するまで」をご覧いただければ幸いです。)

 そのような心境の変化もあり「自分の好きなセールス領域で、セールス時代に感じていた2つのペインを解決し、人と人とが向き合う時間の価値を最大化したい」と想いはじめ、人に任せるより自分でやるべきだ、という想いで起業しました。

なぜセールスイネーブルメント?なぜ会話?


 正直、セールスに関わるテクノロジーは昨今すべてセールスイネーブルメントと呼ばれる一部となってます。特にこだわりはなくても広義で営業のシステム化はセールスイネーブルメントと呼ばれます。

 国内だけではなく、営業人口の減少に伴い、セールスイネーブルメントは米国でもとてつもない勢いで伸びている市場です。Gartnerのレポートでも2027年までにセールスイネーブルメントの予算は50%増えると予測されています。

そして、セールスのばらつきの中で最も大きい因子の一つとして考えられるのは、会話です。

 ある社員がどれだけの顧客と商談し、どれくらい成約に至ったかという「結果のデータ」は比較的簡単に定量化できます。しかし、結果のデータをもとにうまくいっている商談の過程を振り返ろうと思っても、改善につながる情報を得るのは容易ではありません
 例えば、成果を出した社員にヒアリングしても「なんか相性よかったんですよね」とか、Zoom録画内容を見返しても「なんか盛り上がってるな」とか...経験上、なぜ成果に結びついたかという具体的な情報は得られないことがほとんどです。
 そこで、商談の中身を定量化できれば「こういう話をしているのが良かったのでは?」と仮説を立てて深掘りできたり、ディスカッションがまともな形で出来るようになるはずだと思いました。
 さらに、電話やオンライン会議での商談内容をSFAへ自動で入力できれば、日報入力の面倒さも解決できます。

  1. 商談を記録

  2. 定量化

  3. セールスの中身を改善

という流れを作れれば、管理側は商談内容を把握できますし、現場はデータをもとにセールス活動をより良いものに改善できるはず。
 このように、「成果が出る型を作るために、商談の中身を定量化したい」「日報を現場での商談に役立つものにしたい」という思いでできたのが「アンプトーク」です。

私たちのミッション・ビジョン


六畳一間のオフィスで事業をスタート

 2021年5月に、1億円の資金調達に成功して事業をスタートさせました。
※詳しくは「30代で大企業を辞めてセールステックで起業して1億調達するまで」で書いています。
 皇居が見える会議室の大企業を辞めて、事業をスタートした当初は、六畳一間のオフィスにて3人のメンバーで仕事をしていました。全員分のデスクが置けず、私は押入れをデスク代わりに使って、ガスコンロを外してプリンターを置いてました。

 更に、夏にエアコンが壊れて温風しか出なくなったうえ、事業に欠かせないAIの機械学習のサーバーが熱波を生み出し、アイスを冷凍庫に入れているのに溶けてしまうほど部屋が暑くなったことも。一時しのぎでエンジニアが氷を抱えて仕事している状況は、地獄でした(この場を借りてあの当時のチームメンバーには感謝を伝えたいです)。

冷凍庫内で溶けてしまったアイス達

 更に、サーバーの熱気があまりにも暑いので、水の元栓を止めた上で、サーバーをお風呂場に移動しました。しかし、しばらく経つと悪臭が...。実は、知らなかったのですが、お風呂場は水を流さないと排水管に溜まっている水が干上がります。この排水管内の水が下水の臭いを防ぐ「フタ」のような役割を持っているため、この水がなくなると下水の臭いが上がってきます。そのため、毎日ペットボトルで排水溝に水を入れるという、サーバールームでの水やりが日々のタスクになりました。(注:機械学習実験用なので万が一があってもお客様の環境に影響が出るものではないのでご安心ください)

 皆で悪臭と熱気に汗だくになりながらも戦い、2021年9月に日本で初めてのZoomと自動連携して書き起こし、Salesforceへの入力を自動で行うプロダクトをリリース。匂いの悪化とメンバーの増加もあり、2021年12月に次のオフィスに移転しました。
 匂いによって急いで引っ越したこともあり、スケジュールの関係で引っ越し屋さんが見つからず、やむを得ずエレベーターのない5階から別のエレベーターのない5階に「二度と勘弁してほしい」とエンジニアチームにキレられながら自力で全ての荷物(含む冷蔵庫)運びました。二度と社内での引っ越し業務は発生させないことを誓います。

 2個目のオフィスは約25畳と、6畳一間とは比べ物にならないくらいの広さですが、5階階段がインクルージョンの観点でも良くない、との観点で資金調達とともに3個目のオフィスに移転しました。皆が快適に働ける環境づくりにも力を入れています。

新オフィス

セールスイネーブルメントに関する誤り

 話はそれましたが、日本でも少しずつセールスイネーブルメントが広がっているものの、米国に比べると盛り上がりはまだまだ足りません

 国内では一般的に「イネーブルメント」というとトレーニングの代名詞となっているケースが多いですが、私たちはセールスイネーブルメントはトレーニングとは全く異なると考えています。イネーブルメントは「営業プロセスを、データを基にシステム思考で徹底的に型化していくこと」だと解釈しています。例えば、構造化された採用面接もイネーブルメントの大きな一部です。

 主観だけのアドバイスでは、企業も人もなかなか成長できません。人材育成や組織の強化のために、日本で足りていないのはイネーブルメントだと本気で考えています。
 このような考えを持って活動していく中で、共感してくれる優秀な仲間に恵まれました。

  • ビジネス上の課題のことを強く考え、「その機能やデザイン、何の意味あるの?」としっかり言ってくれるプロダクトチーム

  • 自分の過去の経験、そして現在の便利さから「一人でも多くの人にアンプトークを届けたい」と思ってくれているインサイドセールスチーム

  • 「日本、そして世界からブルシット・セールス(クソみたいなセールス)を撲滅したい」という想いを持つセールスマネージャーとその想いを体現するチーム

  • 「日本最先端でCSのイネーブルメントを、会社として日本を引っ張るレベルで作っていきたい」と意気込むCSマネージャーとそのチーム

 多くの仲間が一つの方向を向いたおかげで、2023年1月には、日本そして世界中でイネーブルメントを普及させるために追加で3億円の資金調達に成功しました。

             リンク:https://twitter.com/rimerz1/status/1618063198439243781


おわりに

 amptalkでは「人と人が向き合う時間を最大化する。」というミッションと、「昨日までなかったチャンスを。」というビジョンを掲げています。

 人と人は、会話をきっかけにチャンスが生まれるものだと思っています。
 私も商談を受ける立場になるときに、どんなにプロダクトが良くてもセールス体験が悪いと購買まで至らないことがあります。仮に、今100件の商談が実施されていたとして、5件しか成立していない世の中よりも、成立している商談が10件、20件と増え、世の中に合意がより多く生まれる世界を作りたい。
 セールスは受注によって顧客の課題を解決することで前に進め、お客様は自社の課題を解決するきっかけになるため前に進めるはずです。

 amptalkでは、セールスイネーブルメントを普及させて、多くの人がチャンスを掴める世の中に変えようと本気で取り組んでいます。ビジネス部門も開発部門も一緒に働く仲間を募集しているので、ご興味ある方はぜひ応募をご覧ください。

採用ページ:https://amptalk.co.jp/recruit.html


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