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豊かな人間性の涵養

私は防衛大学校の4学年のとき、学生綱領の精神に基づいて学生の自主自律を促す組織の長をしていました。学生綱領の説明については以前書いたnoteを。

そのとき勤務にあたって立てた勤務方針が、「豊かな人間性の涵(かん)養」です。涵養とは、ゆっくり染み渡っていくように養成していくという意味。

それでは「豊かな人間性」とはどういうことでしょうか?私が考えるのは、教養や徳がある人間のことです。また、教養や徳があるというのは、どれだけ無駄なことを知っているかだと思っています。

世間一般では無駄だと言われているようなことをどれだけ知っているかが、人間の器の大きさや懐の深さに繋がっていると考えています。それらは実は全然無駄なことではないのです。

大器晩成という言葉がありますが、この言葉は「才能のある者は成長が遅い」という意味ではなく、「本物の器というものはじっくりと時間をかけて熟成していくものだ」という意味です。

防衛大学校の教育は、卒業してすぐに部隊の即戦力になるためのものではなく、10年後、20年後に幹部自衛官として大成してもらうためにあります。将来的に大きな部隊や国を背負って立つリーダーを育成するには、長い目で見た人間性の教育が必要なのです。

どれだけ体力があろうが、勉強ができようが、人間性が伴っていなければ意味がありません。立派な人間性をもっていなければ部下はついてこないし、自分もそんな上司の下で働きたくはないはずです。


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