100日後に年越すオレ 86日目「て:テロ」
”いろは順”エッセイの三十五日目、本日は”て”です。
"て”で選んだ題材は、「テロ」。珍しく物騒なテーマなんですが、三年前にニューヨークでテロに巻き込まれそうになった話を書こうかなと思ってます。
日本においてのテロ事件といえば、現在で最も著名なものはやはりオウム真理教関連でしょう。地下鉄サリン事件の時、僕は沖縄に居たので地下鉄に乗ったことは無く正直テレビの中の出来事という感覚だったんですよね。でも上京して毎日地下鉄を使うようになると、「ここでサリンを撒かれるとか怖すぎるでしょ」という感覚にようやくなりました。
そんな平和な日本ではありますが、やはり2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロについて衝撃を受けたわけです。当時はちょうど大学生であり、その模様を2ちゃんねるの実況スレッドを見ながらテレビ中継を見ていた記憶がありますね。
さて話は本題に。2017年10月31日に、仕事で社長と一緒にニューヨークへ向かいました。個人的には初のニューヨーク、もっというとアメリカ本土初上陸だったので、ニューヨークについたタイミングはかなりのテンション。そのテンションのままに荷物をいったんホテルに置いてニューヨークの観光にでかけたのです。
向かった先は、2001年の事件の中心地であった場所。つまりテロにより全壊したWTCビルが建っていた場所です。21世紀をある意味代表するこの事件の記念館は、「グランドゼロ」と呼ばれるWTCビルの跡地のそばにありました。
その記念館では観光客が多いこともあり、順番に入場する形式を取っていて、我々もそこで30分ほど待っていたんですが、入場する寸前になんだかヘリの音が気になったんですね。上空をいくつかのヘリが飛んでいる状況で、「なにかあったのかな?」なんて思っていたわけです。
それで記念館を1時間ほどゆっくりと見終えて、2001年のテロの恐ろしさをまざまざと体感していたわけなんですが、出ようかと思ったところでずっと外が騒がしいんですよね。それでなんかおかしいな?と思ってググってみると、なんと我々の記念館から数キロしか離れていないところで、その2001年以来となるニューヨークでのテロ事件が発生していたわけです。
これには我々もびっくりです。テロの卑劣さを感じるために訪れた施設のすぐそばで、十数年ぶりのテロが発生していたのですから。さすがに怖くなってしまって、元々は本場のハロウィーンを体感しようと街に繰り出そうと計画していたんですが、大人しく安全な手段を考えてホテルへと戻ったわけです。
僕の人生において、最も身近に感じたテロ。これまでの人生の中でテロを身近に感じてこなかったこと自体が幸せなことかもしれませんが、平和ボケした日本人であった僕にとって、今後の人生にも良くも悪くも影響しそうな体験となりました。
とここまで書いてきて、もしかすると日本人はテロや移民排斥などの体験が少ない分、地震や津波についての体験は他の国より多いのかもしれないと思い立ちました。どれが良くてどれが悪い、ということはありませんが、普段から身近になった脅威については比較的冷静に対処できるものの、想定外だったり初体験のような事象は焦ってしまうのかもしれませんね。そういう意味ではこのコロナ禍、世界中の人々がほぼ未体験の領域を現在進行形で体験しているわけで。そう考えるともう間もなくの2021年が世界でどのように処理され、どう対応されていくのか。とても興味深いなと思うわけです。もちろん綺麗事だということを承知で言えば、世界中で少しでも多くの人が健康面でも経済面でも救われればいいのですが・・・。