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100日後に年越すオレ 91日目「め:面接」

”いろは順”エッセイの四十日目、本日は”め”です。

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"め”で選んだ題材は、「面接」。僕は7~8年前から新卒採用の面接官を担当していたりしまして、これまでにたぶん500人以上は少なくとも面接してきたと思います。その思い出話とコロナ禍での面接の苦労を書きたいなと。

僕が担当していたのは、最初がグループディスカッションを行っていた二次面接で、ここ数年は1対1または1対2の三次面接(最終面接前)。それぞれ難しさがあるなあと感じていました。

まずグループディスカッション。これは採用方針にも左右されると思いますが、なかなか発言できない学生の扱いをどうするか。自ら発言できない人を「積極性が無い」と判断して評価するのか、それとも何とか発言を促してその発言を評価するのか。前者の場合は結構楽だと思うんですが、僕らの場合は後者だったので、最初から如何にみんなが発言しやすい雰囲気を作れるか、という場のクリエイトにかかっている気がします。ということはこちら側の責任ですね。

そこで僕がやっているのは、アイスブレイク代わりに「学生時代のあだ名を教えてください」という質問です。4~5人の学生が居れば少なくとも1人くらいは「え、なんで?」というあだ名の学生が居て、その理由を聞いたりすることで結構場が和むんですよね。あとはみんなのあだ名を知ることでその後のグループディスカッションでもそのあだ名で呼び合ったりしてくれて、学生同士のコミュニケーションがし易くなっていたりしてる気がします。

実はこのあだ名を聞くという行為、もう何百人にも聞いているんですが、色々な傾向を知ることが出来て面白いんですよね。「なるほど、そのあだ名は恐らくこういう理由だね」とか、「ああ、このパターンか」とか。こちらも推測できるようになったりして。
まあ、それはまた別の機会にまとめるとして、せっかくなのであだ名をテーマにしたネタ動画をどうぞ。


さて続いては1対1や1対2といった少人数での面接について。これはもうしっかりと質問をしてその回答を聞いて評価をしていくわけですが、やっぱりそこでも最初のアイスブレイクをどうするかがポイントだと思っています。
学生の中には極度のあがり症の子が居るかもしれない。でもそれって入社後においてはそこまで影響は無いし、もっと言うと慣れによって解決できる部分なわけです。でも就活でそれがあだになって優秀なのに実力を発揮できないのは両者にとって不幸ですよね。ですのでこちらも色々考えて緊張をほぐすことを意識しています。

もちろん前述した「学生時代のあだ名」を聞くこともあれば、事前にチェックしたエントリーシートなどから僕自身との共通項を見つけておいてその話題を振ってみたり。または直近であった誰もが知る話題を振ってみたりですね。もし今週面接をするとすればM-1の話題を振りそうですが、「お笑いを見ないんで」と言われちゃった場合は「では最近注目してたものってありますか?」と質問し直すようにしています。

こんな感じで何とか緊張をほぐした後は、質問タイムになるわけですが、僕の会社(グループ)では質問項目は自由、つまり面接担当の裁量に全委任なので、結構悩むことも多いんですよね。ネットで検索してどういう質問が良いのかを調べたりもしますし、採用コンサルのような人の記事をチェックしたりもします。そんな中である程度固まったのが以下のような質問でした。


1.まずは自己PRを3分間でお願いします。

これは最初の質問ですることが多いですね。正直自己PRなんて面接の基本中の基本、全員がしっかりと用意してきているはず。あえてその質問をすることで更に緊張を解いてもらうことと、あとはそのPRの内容でこの後深掘りしたいところを確認したり、その学生の地頭の良さを推測したりします。

多くの学生が「私の強みは〇〇です。何故なら・・・」という感じで話し出すことが多いんですが、その根拠が薄かったりすると後で深掘りする質問をしたり、逆に物凄く面白い経験をしていたりする場合も深掘りですね。正直この質問は前述のようにそもそも事前に用意してきているはずなので、ある程度の完成度も求めていたりします。逆に「自己PRですか~。えーと」となっちゃうとちょっと心配になってしまったり。もちろんそこまで準備をしてもらえなかったことは、うちの会社にそこまで熱意が無いということでもあるので、そこはしょうがないと割り切りますけど。

中には「私の弱みは〇〇です」から始まって最初に自身の弱みをさらけ出し、最終的にはその弱みを強みに感じさせるという流れを作る子も居て、しっかり練られてるなあと感心しながら聞いたりしますね。

2.今年(直近一年)で最も腹が立ったことはなんですか?

この質問は、ストレス耐性を見るためにしてるんですが、「え、こんなことで腹が立つの!?」と驚くこともしばしば。あとはその怒りをどう処理してるのかも見ることが出来るポイントかなと。「めっちゃ腹が立ったんで、ラーメンをガッツリ食べてやりました!」とか、「この怒りをカラオケで発散しました」なんて言ってくれると、ちゃんとアンガーマネジメントやストレス処理が出来るな、という評価に繋がったりします。あとは素直さの見極めでしょうか。「先輩から〇〇と言われて腹が立って」なんて言われてしまうと、もちろん内容如何ですが「素直じゃないかも」と感じてしまったり。

でもこの質問、今年はあまり意味が無くて。というのも多くの学生が「コロナで〇〇が中止になって」とか「せっかくの学生時代が楽しめなくて」と、怒りの矛先がコロナにどうしてもなっちゃうんですよね・・・。なので最近はあまりしなくなりました。

3.普段の気分転換の方法はなんですか?

この質問も見たいところは前の質問と同じで、ストレス耐性ですね。正直昔は「圧迫面接」によってそのストレス耐性を見るといった面接官も世の中には居たはずですが、このご時世そうした面接をしてしまうとあっという間にその事実が広がっちゃいます。よく書かれてしまうのが「みん就」と呼ばれる「みんなの就職活動日記」ですね。考えてみれば15年以上前に僕自身が就活をしている時にも、こうしてネットで情報収集をしていたわけなので、その気持ちは十分過ぎるほど分かりますが。

で、僕は元々圧迫面接はしたことないしする気もないんですが、人事部からは「気を付けるように」って注意が出てるんですよね。そりゃそうだ。
それでもストレス耐性の見極めはミッションとして与えられているため、こういう質問から何とか見抜こうと試みるわけなんですね。

4.これまでの人生において最も大きな挫折や失敗のエピソードを教えてください。(もちろん話せる範囲で)

これも要素としてはストレス耐性が含まれるんですが、それと同時に前向きさだったり挫折や失敗への向き合い方や乗り越え方が分かるので、好きな質問だったりします。でも「もちろん話せる範囲で」と念のためにつけておかないと、誤解を招いて圧迫面接だなどと言われる可能性がゼロではないので意識はしてますが。

上記の要素以外にもプレゼン力というか、「こういう失敗をしたけれどしっかりと乗り越えられてプラスになりました」というストーリーでしっかり話してもらえると「こやつ、出来る!」となるわけですね。

5.今年最も注目していた or 来年最も注目しているサービスや商品、企業はありますか?

これは情報感度や学習意欲などを見ている質問です。今の面接では学生に「どの新聞を読んでいるんですか?」と聞いたりすることもNGということで、面と向かって「日経新聞とか読んでますか?」とは聞けないわけなんですよね。なのでその学生が普段どういった情報取得をしているのか、またどういう分野に興味を持っているのかを知るために聞いています。

今年多かった答えは「鬼滅の刃」だったり「ZOOM」だったりするんですが、なぜ注目していたかの理由を聞いてみると結構人それぞれ。単純に「好きだから」という回答だとちょっと物足りなく思うわけですが、「劇場版の公開に合わせて様々な企業とのコラボを実現させていたので、そのコラボ選定基準を知りたくて」とか、「コロナ禍とはいえあれだけ劇場の枠を抑えるという決断が凄いなと」と返ってくると、嬉しくなって会話が弾みますね。

あとはビジネスの話題を挙げてくれた場合は、どういう分野、どういう企業、どういう経営者に関心があるかも知ることが出来るので、そういった意味では重宝する質問です。

6.これから最後の質問として「弊社の志望動機」を伺う予定ですが、その前にまだアピールできていない点や話したいエピソードなどはありますか?

これも毎回必ず聞いている質問です。こちらの進行でその学生の良さを見出せないというリスクを回避するためのものですね。ここで新たな魅力に気付いてポジティブな印象を持つ学生も居たりします。「いえ、大丈夫です。話せました」という学生は半分くらいですかね。その場合こちらも十分聞けたという実感があればいいんですが、全く良い要素を見出せてない場合はちょっと申し訳なく感じるものの、それはもうしょうがないなという感じでしょうか。

やるなあ、と思う学生の場合は、これまでの面接で話した要素を回収した上で「こういう人間です」と伝えてくれて、かつ予告されている最後の質問である志望動機の前振りにもなっている時ですね。こればかりは地頭の良さとういうかプレゼンの巧みさというか。素直に感心させられますね。

7.最後に、弊グループへの志望動機を聞かせてください

王道の質問を最後に聞くのには理由があって、これまでの質問での回答との整合性をチェックしていたりします。これは最初の自己PRと一緒で元から準備してきた回答があるはずなのですが、その回答とこれまでの話に矛盾があったりする学生が居るんですよね、一定数。

「私は性格的に成長意欲が高いので御社の社風に合うと思っております」などと話してくれても、その前までの回答で真逆のエピソードを話していたりすると「あれ?」となるわけなんですよね。

面接全体の構成として、
・「学生時代のあだ名」でアイスブレイク

・「自己PR」で準備してきた回答を確認

・色々な質問で素の回答を確認

・「最後のアピール」と「志望動機」で準備してきた回答を確認
という流れですね。これにより結構矛盾がある回答を喋ってしまいやすくなる気がします。

以上が僕がやっている自己流の面接方法です。年明けも既に70人分くらいの面接時間の枠を押さえられてるんで、この方法で学生の評価をしていきたいと思います。


最後にオンライン面接について触れようと思います。その辺の”あるある”はこのジャルジャルの傑作コントでだいぶ網羅されてますね(笑)


やっぱり面接官の身としては、どうしても画面の先に見えてしまう部屋の様子が気になりますし、また表情が見えないような照明の暗さだったり、声が途切れ途切れだったりすると、しょうがないと分かっていてもどうしても印象に差が出てしまいます。これはもうしょうがないところ。ですので、もしこのnoteをリモート面接のノウハウを得たいと思って読んでいる人が居るとすれば、少し費用が掛かることになっても、所謂「女優ライト」と呼ばれる照明器具やコンデンサマイク、そして出来るだけ有線LANでの接続を推奨します。これだけで本当に印象が変わってしまうので。ライトとマイクの二つもAmazonで買えば合計5千円くらい。Wi-Fiも有線で繋げられるルータがほとんどのはずなので、LANケーブルも千円ほど。
来年以降の就活もオンラインが中心になることを考えれば、面接での交通費がかからない分、しっかりとそこにコストを投じるべきでしょう。

あとはリモート、つまり自宅での面接ということを生かすと考えれば、自己PRで使うようなトロフィーや賞状があればそれを手元に用意して見せるとか、写真を画面共有するとか、そういう工夫をしてると、面接する身としては他の学生との違いを大きく感じますし、評価もしてしまう気がします。

結論としては、このリモート環境を如何にポジティブに捉えてしっかりと自身の魅力を伝えられるか。そこにしっかりと取り組めれば、面接で良い結果に繋がるんじゃないでしょうか。

年明けからのリモート面接、そういう工夫をしてくる学生に一人でも多く会えることを楽しみにしたいと思います。

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