100日後に年越すオレ 58日目「と:トランペット」
”いろは順”エッセイの七日目、本日は”と”です。
”と”で選んだ題材は、「トランペット」。昨年の夏に、30代最後の挑戦だということでトランペットを始めました。それは何故かというと、10月に実施する会社の有志で開催するライブでスカパラバンドをするためで、しかもそのバンドを組んだのが自分自身というもの。つまりはトランペットを吹いたことも無いのにライブで出るためにスカパラバンドを結成し、自身以外のホーン隊のメンバー(トロンボーンとテナーサックス)を勧誘して自身がトランペットに収まったということ。まだ一度も吹いたことが無いのに!(笑)
そこでようやく気付いたのが、「管楽器めちゃ難しいじゃん(苦笑)」ということ。僕は子供の頃からピアノとエレクトーン、ソルフェージュを学んでいて、一時期は音大に行くのも悪くないかもなんて思っていたくらい音楽が好きだったし、ピアノは15歳まででショパンの曲もいくつか弾けるようになったし、中学からはギターを始めてベースとドラムも学び、そんで高校生の頃は音楽の授業の時に何故かソプラノリコーダーの演奏で吹奏楽部の同級生から絶賛されたり。大学時代は軽音楽部だったりでライブにてギター、ドラム、ベース、キーボード、サンプラーと色んな楽器を駆使していたり。社会人の最初の数年は劇団で音響を担当したりということで、自分自身が楽器演奏は得意であり、ある程度の楽器ならちょっと練習すれば何とかなるという根拠のない自信があったんですよね。で、その自信が木っ端みじんになったわけです。
トランペットを演奏したことがある人なら分かる通り、トランペットって息の吹き方によって同じ指使いなのに音を変えられるんですよね。これが自分にとっては衝撃でした。弦楽器含めて多くの楽器は運指によって音階を鳴らし分けるわけですが、トランペットにはそれがない!? もうこの時点で意味が分からない。
とはいえ半年後にはライブで演奏しなければならず、ネットで3万円くらいの初心者用キットを買って、YouTubeで「トランペット 初心者」で探してそれっぽい解説動画を見ながら自分一人で練習したものの、そもそも音が全く出ない・・・。考えてみるとこれまでに演奏してきた楽器は、とりあえず指で押さえたり押したりすればとりあえず音色は出るわけで。だからこそそこからの上達を実感できて挫折せずに済むわけなんですが、ことトランペットにおいてはドレミファですら全く出来ない。何時間やっても出来ない。これは今までの音楽ライフにおいてかなりの衝撃でした。
こうして現実に打ちのめされるわけですが、自分が主宰するライブ、かつ自分でメンバーを集めたスカパラバンド、「やっぱ出来ない」なんて言えないわけで。そこで現実的に最も可能性を高めるしかないということで、プロの指導を受けることにしました。しかも月4回~8回のレッスンに、毎日のスタジオでの自主練です。よく芸能人のかくし芸とかでそういうやつやるじゃないですか。初心者から初めて立派にこなす、みたいな。もうそんな気分ですよ。どこにもカメラなんてないけれど。
そうこうしているうちにようやく音が出るようになり、音階を吹き分けることが出来るようになり、そしてライブの演奏曲(これがまた難しい・・・。スカパラの”ルパン三世”に”Down Beat Stomp”、そして”銀河と迷路”)も、うまい下手で言えばもちろん下手なわけだけど、何とかギリギリ聞けるレベルまでは持っていけたんですよね。いやあ、先生には感謝感謝です。
そして迎えた本番。今年の1月でした。スカパラバンドだけならまだいいんですが、なんと他にも2バンドに出てベースやキーボードを演奏するということで、当日はかなりドタバタでしたが、何とか楽しくやり切ったのでした。だいぶ本番でトチったけど。でもこれがトランペットのデビュー戦、次もまた吹きたいなあ、なんて思ってたんですよ。次のライブも夏に決まったし。そう、コロナが来るまでは・・・。
新型コロナウイルスが流行して大変な騒ぎになり、ライブは無期限延期、会社は完全リモートワーク。そしてかなり飛沫が出てしまうということもあり3月からはトランペット教室もレッスンを休ませてもらって早9カ月・・・。ずっと家に居るということは、マンションのお隣さんもいる可能性が高いわけで、そんな中で下手なトランペットを吹くわけにもいかず。哀れせっかくデビュー戦を飾ったトランペットは、書斎の片隅で埃を被ってしまったのでした。この稿を書くにあたり久々にトランペットを軽く吹いてみましたが、とても無様な音がしただけでした。(苦笑)
あぁ、次のライブの日程が決まればまたトランペットに打ち込めるのに、とコロナを言い訳にして、トランペットの”思い出”は以上です。って”思い出”ってもう過去のもの!?
最後に、これを読んでいるのがもし「トランペット 初心者」とかの検索で辿り着いた人だとしたら、悪いことは言わないので、YouTubeや教本を読んでの自己流でやるんじゃなくて、しっかりとした教室に通ってプロから教わりましょう。自分で何とかなるものじゃないですよ。僕も教室に通う前には自己流で何とか音が出るようになってたんですが、「その吹き方はダメだ」と癖を直すことが大変でした。
そしてもしまだ学生なのであれば、絶対に吹奏楽部とかに入るべき。あれだけ堂々と思い切り、気持ちよく吹いても文句が来ない環境って、他には無いのだから! 社会人はスタジオに通うしかないね!