プチ・やまのぼり
自分自身との約束を遂行して信頼関係を築くために、ちいさな山を登る経験がよかったので日記として記載する。
ふだん運動なんてしないのに、柄でもなく山を登った。
会社の人にここ初心者でも行きやすいよ、と教えてもらった初心者向けの山。普段から山登りをこよなく愛す人からしたらこんなの山じゃない、と叱責を受けそうな山。
仕事に没頭しすぎて疲れがちなので、気分転換をしつつ身体を動かしてくたくたになりたかった。かといって誰かと運動したり芸を試されるスポーツは、人と比較しできない自分に疲弊するので嫌だった。(競争するのは仕事だけで十分。できないことをできるようにするガッツがあれば、自分の人生はもっと強靭なスタイルになっている)
軽い気持ちで山を登り始めてから、そこそこ歩いたなぁと思ったところにあった看板を見た。先ほどの場所と比較して200m程度しか歩いていないのに、ものすごい歩いた気になっていた。歩く道のトータルは数kmあるのに、200mでここまでくたくたなのかとちいさく絶望し帰ろうかなと思った。運動していないし、膝が痛い気がするし。いま引き返せば間に合うよなぁ。
しかし、今日はわざわざ自分のために珍しく山まで来た。山を登ること自体はすごく楽しそうだし、初心者に厳しい山ではないことも知って居るし、時間もたっぷりある。腹を決めて登ろう。そして自分との約束を守ろう。しずかに覚悟を決めて、道をのそのそと歩いた。
あいかわらず200mくらい歩くだけで疲れた気になっていたが、だんだんと歩いて居るうちに集中モードに入り、気付いたら山道をずんずん進んでいた。普段はスマホばかり見ているが、自然を見つつぼーっとしていると普段は考えないけど大切なことが頭にぼんやり浮かんでは消える。歩いているのでネガティブな思考が一切出てこない。
そして、気づいたら山頂に着いた。あっという間だった。仕事で追い込まれて集中した時と同じくらいに世界に入り込んでいた。最初は帰ろうかなと思っていた自分もいたけど、心を持ち直してゴールに来れた。よく自分との約束をちいさく破っては「仕方ないんだ」と思っていたけど、今回は約束に背を向けず遂行できた。
だれかに自慢できるわけではないけど、自分との約束を守り切ってさわやかな達成感とささやかな自信を得られた。自分に対してついつい甘くなってしまっては自己嫌悪していたループを断ち切り、自分すごいなぁ。帰りはちょっと美味しいパフェでも食べて帰ろう。と卑屈さや逃げの姿勢なく素直にルンルンで帰宅できた。
実際に本格的な山に行く場合は装備や山知識等々の学習必須だと思うので、ハードルが低くて行きやすい自然と定期的に触れ合うのもいいなっと思った。自分のことがだいっきらいで約束破っちゃいがちでつらい場合の打開策の一つとして、この話を頭に留めてもらえるといいなっと思う。