一気に文章がわかりやすくなる〝意識づくり〟というコツがあります
お客さんの添削やアドバイスをしていく中で、実際にアドバイスしていたことを元に「そういえばこれは大切だな」というポイントをいくつか書き記していきたいと思います。
さて、僕は毎月100件近くのライティングに関する添削やアドバイスを行なっていますが、
「あれ、この記事、今、なんの話してるんだろう・・・?」
と感じる文章に出会うことがよくあります。
唐突に書き手側の主張が始まっていたり、読み進めていくと、ようやく「ああ、〇〇についての話をしているのね」と気づくようなものだったり。
それらは、
「今、何の話が展開されているのかわからない」
という状態でどんどん話が進んでいくので、添削しようにも内容が頭になかなかスッと入ってこないのです。
今、何の話が展開されているかわからない文章は読まれない
こうなる原因はいくつか考えられますが、高確率で共通しているのは、
「その話題へ行く前の〝意識づくり〟がされていない」
という点です。
文章を書き始める上で、始めのうちに
「なぜ、その話をするのか?」
の理由や必要性を伝えて、それを読者に認識させる。
言ってしまえばこれだけのごく自然なことなのですが、案外、この視点が欠けている記事も少なくありません。
書き手(話し手)が、どんな目的や意図を持ってこの話を展開するのか。
これを認識できないままだと、読者はその文章を読み進めることはなかなか難しいものなのです。
難解な書籍が読みにくい理由
「今、なんの話をしているんだろう・・・。」
これは例えば、難しい本を読んでいる際にもたびたび出くわします。
一応、頑張って本を開いて、チャレンジ精神旺盛に読み進めるけれど、結局、なんて書いてあるのか全然わからない。
同じ日本語なのに、ここまで理解できないものなのか。
結局、筆者はここで何を言いたいんだろう。
難解な、たとえば哲学書や思想を語る本などによくあるパターンです。
あくまで個人的な最近の経験で言いますと、以前、僕が師事する先生に勧められて、小林秀雄の「モオツァルト・無常という事」という本を買って読んでみました。(彼は難解で有名、だけど天才なのだそうです)
ぱっと読んだ程度の僕にとっては、とにかく何を書いてあるのかが、さっぱりわからない。またいずれ挑戦しようと考えていますが、まずは小林秀雄がどんな人物で、どういった経緯で、どんな目的でこの本を書いたのか?を理解するところから始めるのが良さそうです。
さて、そういった難しい本は、どうしてこんなに読みにくいのかな?としばしば思うものです。
わざとやっているのでは?
あるいは、海外のものなんかは、日本語への翻訳自体も難しいため、余計にややこしくなっている、だなんてことも良くあります。
しかし、多くの理由の一つとして、そういった難解な本は、「筆者が最初から〝読ますつもり(万人に理解してもらうつもり)〟があまりない」ままその本を執筆しているからではないか?という印象を個人的には持っています。
「一応、今から色々書いていくけど、頑張って理解してきてよね。」と。
さしづめ頭の良すぎる人達は、はなからそんな姿勢できっと書いているのだろうなと。そう思います。
ネット上のテキストは〝脳にストレスのかからない文章〟がいい
話が少し逸れましたが、つまり〝読みにくい文章〟の原因の一つはここにあります。
「書き手側の意図や目的がわからない」ということ。
読み手側としては、「今、何の話をしているのか?」を理解していないと、内容がさっぱり頭に入ってこないのです。
一方で、今の時代にヒットしているような超絶読みやすい本やビジネス書なんかは、出版・編集チームも工夫をしていて、構成からかなり練られているから、脳に負担やストレスがなく、スラスラと読んでいくことが出来ます。
「ストレスなく読める(見れる)」というのは現時代、ネット社会のキーポイントです。
現代人は、短くて、わかりやすくて、脳に負担のかからないコンテンツをとにかく消費する傾向にあります。
この前、25歳くらいの若者と会話した時、気づいたら1日中、YouTubeストーリー(っていうの?)やインスタやTikTokみたいな数十秒くらいの動画を見てしまう・・・だなんてことを聞いて少し驚きました。
今は、一般人でも、どんな人でも情報発信できるようになり、コンテンツ過多になっています。
より「スッと」、ストレスなく視聴できるものが世間にウケているのですね。
そんな環境ですから、Web上の記事においては特に、読者は「すぐにページを離脱する」という選択肢を常に持っています。
ですので、書き手側は、基本的に冒頭あたりの段階で、
「この記事では、これからこんな話をしています。」
という、そのコンテンツの目的をまずわかりやすく伝えなくてはいけません。
それだけで読者にとって〝読む意識〟が作られます。(何なら、書き手側の礼儀と言ってもいいのかもしれません。)
実際に添削していたも、これだけで見違えるほど文章が読みやすくなることはかなり多いです。
セールスにおける意識づくり
この〝意識づくり〟は、特に何らかのオファーをしたり、商品をセールスする際にも、ことさら大切になってきます。
「このページは、今から、とある商品を紹介することを目的としています」
まずはこう認識させて、読者に対して「なるほど、今から何かを売り込まれるのか」という〝心構え〟を作ってもらう。そうしないと、どうしても「押し売りされた」という印象を与えてしまうからです。
ところで、「セールスは得意です」という人の中にも2パターンいて、
・セールスすることで信頼や信用を掴める
・反応(売上や成約)を出すこと自体は出来るけれど〝信頼残高〟を著しく消費している
に分かれます。
要するに後者はセールスが下手、だとも言えるのですが、売上をアップさせるだけで「私は優れたライター・マーケターだ」という自覚を持ってしまう人もいます。
でも、ビジネスや商売における一つの成功は、「お客さんがその商品を気に入って、またリピートしてくれる状態」と言えます。
当然、そのためには、商品を紹介(セールス)する時に信頼や信用を失するようなことをしてはいけません。
たとえば、
「通常は〇〇円ですが、今ならあなただけ特別価格でのご提供です・・・!」
「先着残り7名となっています・・・!」
のように、特に明確な理由もないくせに「緊急性」「限定性」「希少性」などに訴求しようとするセールスレターやLPもわりに見かけます。(一昔前と比べて、随分減ったようにも思いますが)
これらは、思うに、仮にその場での成約率がアップしようとも、読者が抱く潜在的な印象として「なんかこの言い回し、好きじゃないなあ」と思われ、信頼残高を著しく下げる余地も十分にあるのです。
読み手がそんな文章でも買う、買わないは別にしても、書き手側としては、そのような「不必要に信頼残高を減らす」ような行為はできるだけ避けるべきでしょう。
同様に、「これからセールスをしますね」という意識づくりをしない印象の文章は信頼残高を落としてしまいますから、その意味でも「ここでは商品のご紹介をしますね」と伝えて、相手に心構えを作ってもらうことが重要なのです。
(この辺の〝信頼残高〟については、いくか詳しく何らかの形でまとめたいと思います)
色んなところで意識づくりを心がけてみる
意識づくりは、記事の冒頭だけが担うものではありません。
ブログのタイトル
メディアの配置(メニューバー、サイドバー…)
メルマガの件名
メディアの導線
などによっても、例えばセールスをするのなら
「その先のコンテンツでは商品の紹介(売り込み)をしていますよ」
という認識を持ってもらうことができます。
シンプルなことではあるのですが、案外、特にセールスや、何かしらのオファー(メルマガに登録してもらう、クリックしてもらう、記事を読んでもらう・・・)をする際には欠かせない考え方なのです。
〝意識づくり〟のまとめ
長々と書いてしまいましたが、今回の話を要約すると、
「このページでは、商品の紹介をします」
「ここからは、こんなお話をします」
というように、〝この記事の趣旨〟をあらかじめ伝えて、相手に対して「今、こんな内容の話をされているんだ」という意識づけをしましょう、ということでした。
ただ機械のように、一辺倒に言えばいいわけではもちろんありません。時にはストレートに伝えても構いませんが、言い方の工夫は必要です。
こうしてまとめてみると非常にカンタンなことに見えますが、この状態は、基本的に経験が浅い人に抜け落ちやすい傾向にあります。かつて僕自身もそうでした。
いずれにせよ、記事のわかりやすさだけでなく、
・無料サービスへの登録や申し込みを促す
・有料サービスをセールスする
・他の記事を読んでもらう
といったアクションを促す時には特に大切なので、ぜひ参考にしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
追伸 : 今度は「信頼残高」についてのお話をまとめてみるつもりです