ピカピカの光るメダル〈2024年6月某日-8日〉〈2024年6月マガジン〉

〈2024年6月某日〉
 6年生は修学旅行。集団登校の班長は6年生なので、旅行のこの日はいないのだが、集団登校集合場所にいる児童たちの誰も、班長が今朝はこないのを把握していない。昨年度も同じことが起こった。副班長5年生の児童の家は私の家より集合場所に近く徒歩1分だが、この2年間、保護者がここに来たのを見たことがない。教職員も誰も来ない。しかたなく、私が5年生副班長に「今日は班長がこない日やからきみが先頭に立って行こうか、もう出なきゃあかん時刻やな」と促す。

〈2024年6月マガジン〉です。


 集団登校はあまりにも脆弱性の穴だらけのシステムというか、あくまでその場所まで児童を連れてくる保護者の無償奉仕と、「それほど心配しなくても」という楽天的な見通しの上で成り立っている。なにせ、私が昨年ここに来るまで、児童たちの誰ひとりとして集合場所近くの横断歩道を渡らなかったのだ。半年ほど様子を伺って、私がここに集まる児童の保護者だということを児童たち皆が把握しているのを察してから、児童ひとりひとりに「必ずあっち側(車が来る方向)を確認してから横断歩道を渡るんやで」と伝えた。それまでに、通勤でこの道を使っているらしき車を数台停めて「横断歩道で止まらんのはあかんですよ、止まらん車はナンバーも車種も控えとりますよ」と言い含めた。まるで関所の鬼奉行だ。


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