夏休みの昼めし(2/n)〈2024年7月マガジン〉
子と遊びに来た子の友人用につくったナポリタンスパゲティ。その余りに、タヒンをふりかけて私が食べる。
ナポリタンスパゲティは、週末や夏休み冬休みの、子の昼めしの定番なのだが、私が子供時代はどうだったろうか。〈焼きそば〉は、もうやたらに食べた。そのうち自分でもつくるようになった。しかし、ナポリタンスパゲティには「懐かし」をあまり感じない。
いまでは2分から6分の早茹でスパゲティ乾麺がどこのスーパーマーケットでも買える。なんならコンビニにも売っている。「マ・マー」の公式サイトを読んでみると、
とある。私が小学生だった頃には〈早茹で〉は、なかったということだ。アルデンテという概念が一般に膾炙する以前、そして給食などで出た〈ソフト麺〉(茹で置き麺)も、レトルトのスパゲティソースもまだそれほどスーパーの棚に並んでいない時代。スパゲティといえば、茹で時間は10分くらいで、茹でているその合間にピーマンやソーセージや缶詰のマッシュルーム(生のマッシュルームは私の子供時代には近所の青物屋では並んでいなかった)を炒めて──これは面倒くさい。私が当時、子の昼めしを用意するなら「まあサッポロ一番にしよ」となるだろう。
最近のチルド麺スパゲティには〈懐かしの喫茶店の味〉的な商品が散見されるが、私は高校を卒業して親元を離れ大人になるまで、喫茶店でナポリタンスパゲティを食べたことなどなかった。子供時代を過ごしたまちには、居酒屋や焼肉屋など大人が酒を呑める店や、出前を頼める蕎麦屋やラーメン屋はあれど、子連れで食事するような店などほとんどないし外食する機会が少なかった(三四ヶ月に一度くらいだったのではないか)のもあって、〈喫茶店の味〉にノスタルジーを感じない。それは都会のひとの感性やな、と思う。オムライスもナポリタンもサンドイッチも外食の味ではない。家の味だ。
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