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東映まんがまつり

【2021/08/16】
今日は子の夏休み最後の日だった。翌日から園が始まる。だから何かしたかった。映画を観に行った。自転車で走る行く道すがら「今日は夏休みさいごやからなあ、夏休みは楽しいことばかりやからな」と子に何度も言った。実際には今年の盆休みは雨が続いて外へ出られなかったり、行きたくとも人混みを避けるために行くのをやめたところや、中止になった催しばかりだったのだけれど、それでもそう言った。自分に言い聞かせていたのかもしれない。

子はテレビで何度もCMを目にしてきた仮面ライダーとスーパー戦隊の出る『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』を観たがっていたけれど、昨夜検索してみたら7/22に公開したばかりだというのに梅田近辺の映画館ではもう朝の7時や8時台の回のみしか上映していない。それに合わせるのは子も私もさすがにちょっとばかり無理が過ぎる。寝る前にYouTubeで予告編を観て『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』『科学漫画サバイバルシリーズ 深海のサバイバル!』の二本建てを観にゆくことに決めた。

事前のチケット予約の際に、横一列すべて誰もいない列、前後にも誰もいない席をとる。映画館の入っているビルの目の前にある駐輪場に自転車を停めて、私も子もKF94規格のマスクをつける。いつもは使わないアルコール除菌のウェットティッシュを持つ(顔を拭いたり拭いた指で目を擦るとアルコールが目にしみるのでいつも持ち歩いているのはノンアルコールタイプのウェットティッシュだ)。上映開始ギリギリに入館し、上映終了後には即退館、エレベーターでも他に誰も乗らないときを狙って乗り込む。ビルの前には他の上映作品のポスターが並んでいる。『フリー・ガイ』も『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』も横目に、いまこの時期は──covid-19は無関係に──とにかく子連れで観られる作品を優先だ。

作品の感想の詳細はまた書くかもしれないが、何年も前から大ベストセラーになっている「科学漫画サバイバルシリーズ」が、合理的な行動や論理的思考ではなく、思いつきや気合いでなんとかする物語なのは意外だった・笑 早熟な児童ならツッコミどころ満載なのではないか。「おしりたんてい」のほうはTVシリーズの長尺版といったところで、道具立てにカリ城+ナウシカ+ラピュタ+魔女の宅急便といった感があった。

二本立ての二本目『深海のサバイバル!』のクレジットロールで、サバイバル読者たちから送られたのであろう絵が大量にスクリーンに映し出されるところで、「ああ、これ『東映まんがまつり』なんだ」と今更ながらに気がついた。

1974年の東映まんがまつりで公開された『マジンガーZ対暗黒大将軍』を観るたびに、オープニングクレジットに並べられた「こどもたちが描いたマジンガーZの活躍」の力強く気持ちの込められた筆致に、いつも泣いてしまう。

(写真はhuluより『マジンガーZ対暗黒大将軍』)

子連れで映画を観るときはスクリーンよりも、それを観ている子の表情を見ている時間のほうが長い。「おしりたんてい」がオナラをするお約束の場面で笑顔になる、シリアスな場面では退屈したり真剣になる。ころころと変わる感情が、とても面白い。どんな映画よりも面白いとまでは言わないが、たいていの映画よりは面白い。意外なことに「少し早いかな?」と感じていた「サバイバル」のほうを子はとても気に入った。翌日、早速アニメ化一作目『人体のサバイバル!』('20)をNetflixで観る。こちらもラストに読者から送られてきた絵が大量に画面を埋め尽くす。それを観て子は「深海のサバイバルとおなじやな!」と言った。私は「まんがまつりやからな」と返したあとに、「実は前に観た『マジンガーZ対暗黒大将軍』もまんがまつりやから、最初にこどもたちの絵が出てくるんやで」と伝えた。子は「じゃあそれを観たい、そこだけでいいんやけど(YouTubeを観たいから)」と言った。『マジンガーZ対暗黒大将軍』を再生して、上に貼ったいくつかの絵を見て子は「これはリアルやな」「これは色がキレイに塗れてるな」「うまいなこの絵は」などと感心していた。

数日後に図書館に本を返しに行った際に「科学漫画サバイバルシリーズ」を探したが、やはり人気作品なだけあってすべて貸し出し中で、予約数だけでも100人単位での待ち人数だった。

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