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北陸特急乗り納めの旅②特急しらさぎ号で米原から金沢へ
2024年3月16日、北陸新幹線金沢~敦賀間が延伸開業する。延伸開業により北陸本線を走る特急列車の運行体系が再編される。サンダーバード、しらさぎは大阪・名古屋~敦賀間の運行となり、敦賀~金沢間はすべて廃止となる。
今回は特急しらさぎに乗車した。
特急しらさぎについて
特急雷鳥が誕生したのと同じ1964年12月に名古屋〜富山間を米原経由で結ぶ特急列車として誕生した。
雷鳥の車両運用の一環で設定されたが、米原、名古屋で東海道新幹線と接続して北陸を結ぶルートはビジネス需要からも好評で、東京方面からの利用では「ひかり」が停車する名古屋発のしらさぎが重宝されている。
1日1往復の運転に始まり、増発を重ねながら、1991年から七尾線電化に合わせて和倉温泉へ乗り入れている。
2001年から2003年まではパノラマグリーン車を連結した。スーパー雷鳥からの転属である。
2003年から683系2000番代が投入され、米原発着の加越号と統合した。米原発着のしらさぎ号は号数を50、60台として発着駅が容易に区別できるようにしている。
北陸新幹線の金沢延伸により、金沢以東と和倉温泉への乗り入れが終了している。さらに使用車両を681系683系8000番代に変更された。
北陸新幹線の敦賀延伸でしらさぎの役割は名古屋、米原〜敦賀の運転となり、都市間特急の役割を大きく変えることになる。
しらさぎに加えて米原発着の北陸特急についても言及しておきたい。1975年から2003年まで運転された「加越」である。
湖西線の開通により、米原経由の特急列車が減便となることから、米原発着で東海道新幹線との接続を想定した列車として、名古屋発着のしらさぎと合わせて1時間おきに運行された。
2003年からしらさぎ号に順次683系2000番代が投入され、後に加越号にも投入され、しらさぎと統合している。加越号の愛称は2003年10月に廃止となった。
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特急しらさぎ1号に乗車(乗車日:12月30日)
米原駅8:57発の列車に乗車する。特急しらさぎは681系6両編成が基本であるが、需要の多い時期には米原~金沢間を9両編成で運行する。9両で運行する場合、名古屋発の列車は米原駅で増結作業を行う。
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まず、名古屋発の列車が米原駅5番のりばへ入線し、増結準備が始まる。増結する3両が京都方にある引上線から入線し増結する流れである。
特急しらさぎ号の利用者は東海道新幹線からの乗継客が大半であり、米原~福井間の利用が最も高いと言われている。その点でも特急しらさぎは、北陸特急の中でもサンダーバード号とは異なる役割を持っており、北陸の各都市をこまめに停車していく。
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米原駅を出発すると、敦賀、武生、鯖江、福井、芦原温泉、加賀温泉、小松の順に停車する。時間帯により長浜、大聖寺、松任にも停車する。サンダーバード号の一部列車も停車駅の多い列車が存在するが、基本は大阪・京都から北陸方面へ効率的かつ速達で輸送する役割があることとは大きく異なる。
①米原→敦賀
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東海道新幹線からの乗継に時間を要したため、約4分遅れて米原を発車した。年末の帰省ラッシュであり、指定席は満席、自由席車両ではデッキ部分にも立ち客が出るほどであった。
米原から北陸本線となり、一気にスピードを上げていく。金沢までの全区間で130km/h運転が可能とである。遅れを取り戻すため回復運転が行われ、加減速を繰り返しながら北へ進む。約4分で長浜を通過した。
木ノ本付近まで直線区間が続く。木ノ本を過ぎ北陸自動車道と交差すると列車は西へ進路を変える。元の北陸本線は高速道路と並行しながら直進していた。
西へ進路を変え余呉を通過すると、短小のトンネルを越え、左手から湖西線と合流すると近江塩津を100km/h前後で通過する。この先で湖西線と合流するが、運行上は近江塩津駅構内の扱いとなっていることに注目したい。合流の分岐器はスノーシェルターで覆われており、雪深い地域であることを実感する。深坂トンネルを越え新疋田を通過する。
上り線は鳩原ループでを走行するのに対して、下り線は緩やかなカーブの中を進んでいく。国道8号と並行しながら、上り線と合流した付近で右へ分岐する線路が分かれる。この分岐こそが3月16日以降の北陸新幹線と接続する特急ホームへとつながる。分岐後、敦賀車両センターの横を通過し敦賀駅に到着する。
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停車駅が多いため、遅延回復は至難の業である。敦賀到着時点でも4分の遅れは変わらなかった。
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②敦賀→武生→鯖江→福井
敦賀を発車すると、北陸新幹線の高い高架をくぐり、デッドセクションで交流電源へと切り替わる。切替区間を終了すると北陸トンネルである。敦賀発車後から北陸トンネル入線までの様子を動画に記録したので合わせてご覧いただきたい。
敦賀から南今庄通過まで約9分かかる。南今庄から今庄、南条までは福井県内でも積雪の多いエリアで運行上のネックともなっていた。運休が生じることも多々あった。
北陸新幹線の延伸で新幹線区間は新北陸トンネルを始め長大トンネルと融雪設備を万全にして安定運行を行っていくものと思われる。在来線と比較しても運休のリスクは格段に低くなると考えられる。
湯尾、王子保と通過し田畑が開けてきたところで武生に到着する。武生駅は一部のサンダーバード号を除いて大半の特急列車が停車する越前地域の主要駅である。
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ホーム看板には新幹線越前たけふ駅の開通を知らせる看板と「かがやき号」の停車をアピールしていた。
武生から鯖江までの区間は動画に整理した。
鯖江を発車すると次の福井まで直線区間でありスピードが上がる。北鯖江を通過すると、右手から北陸自動車道が現れ、大土呂通過まで並走する。北陸自動車道とは別れ、越前平野を爆走すると、北陸新幹線の高架が迫ってくる。その後越前花堂を通過し、越美北線の線路と合流する。
越前花堂駅手前から福井到着まで動画に整理した。
福井駅で一定の下車が確認できた。
通常期は福井までの利用が大半を占めるが、乗車したのは年末の帰省ラッシュであり、車内は引き続き混雑していた。
③福井→芦原温泉→加賀温泉→小松
遅れを取り戻すことなく、10:05頃に福井駅を発車した。しばらく北陸新幹線、えちぜん鉄道と並走し、高架を下りたところで、えちぜん鉄道線をくぐり、北陸新幹線と一旦離れる。次の芦原温泉まで130km/h前後で走行する。森田、春江、丸岡を通過し、北陸新幹線の高架が近づくと約10分で芦原温泉に到着する。
芦原温泉から大聖寺まで牛ノ谷峠を超えていくが、特急列車はあまりスピードを落とさず駆け抜けるように走っていく。沿線には特急列車の最後の勇姿を納めようとする撮り鉄達の姿を数多く見かけた。細呂木、牛ノ谷を通過し、加賀平野に差し掛かったところで大聖寺を通過する。
大聖寺駅の先には大きなカーブが存在する。この辺りで北陸新幹線と交差し、直線となったところで加賀温泉に到着する。
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加賀温泉から金沢まではトンネルもなく、平野部を走行していく。約8分で高架駅の小松に停車する。小松駅の隣のホームには普通列車が停車していた。小松から金沢間は普通列車が概ね1時間に2本運行されており、運行頻度は高い。遅れた特急しらさぎ号からの乗換客を待ってから発車することになる。
④小松→金沢
しらさぎ号のラストスパートである。明峰、能美根上、小舞子、美川と順に通過していく。加賀笠間駅手前で北陸新幹線と合流し、金沢駅まで並走する。スピードが上がり、各駅を高速で通過していく様子はまさに特急列車を象徴する走りであった。残念ながら米原からの遅れを取り戻すことはできなかったが、11:51に金沢駅6番のりばに到着した。
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加賀笠間から金沢到着までの様子を動画に整理した。
駅間の所要時間では決して遅くない
しらさぎ1号の所要時間を見ていこう。
米原〜金沢 約1時間50分
敦賀〜金沢 約1時間20分
このようにしてみると、停車駅が多い分所要時間は伸びてしまう傾向にあることがわかる。
敦賀から金沢間はサンダーバードが運行しており、停車駅の少ないサンダーバード号とは比較にならないが、もう少し区間を区切って見ていく。
敦賀〜武生 約20分
敦賀〜福井 約34分
福井〜小松 約32分
福井〜金沢 約48分
加賀温泉〜金沢 約25分
小松〜金沢 約17分
停車駅間で見ていくとしらさぎ号は、決して遅いとも言えず、直線が続く区間ではスピードを上げるなど工夫がなされている。しらさぎ号はこまめに停車して北陸の各地域を結ぶ列車であるといえる。かつて米原から金沢間で停車駅を減らした「きらめき号」が運転されていたが、所要時間の短縮には貢献できず、すぐに廃止となってしまった。
こちらの動画も参考になるかと思います。
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