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料理人たちの閉ざされた世界?!

こういう言い方が正しいかどうかは別にして、
温泉旅館経営の大きな成功の要因のひとつに
料理長の存在があげられる。

もちろん、
支配人やオーナーと料理長が良い関係を保っていることが、
経営の安定につながる事は言うまでもありませんが、
経営が好調に推移していたり、その逆に傾いたりするとなかなか良い関係を維持するのは大変なようだ。

今でも多かれ少なかれ和食の料理人の世界は、
子供のときから丁稚のような下働きからスタートし、
基礎を叩き込まれ、修行を重ねて徐々に一人前になって行く。
そして親方に認められて独り立ちしていく。
そこで、師匠と弟子の絶対的な徒弟関係が築かれている。

歌舞伎や、民謡家、宮大工、などと同じく日本の伝統的な芸や職の世界は、すべからくそうであるように徒弟関係をベースにした技術継承で、
全てではありませんが、日本料理界でも一部同じ構造が成り立っている。

昨今では、温泉旅館の業界でもチェーン店舗が増えて、
料理長であっても企業の一従業員であるケースがほとんどで、
日本料理界のそういった昔ながらの徒弟関係で成り立ってきたバックグラウンドを、若い世代の管理者は知らなかったりします。
なので、
どうしても一般的なビジネスの世界とはちがう、微妙な仕事関係が成立したり、独特の価値観で動くことがあったりします。

料理は、旅館にとっては看板のひとつであり、強みにもなります。
料理目当てでリピートする客も少なくないし、SNSの影響で料理のエンタテイメント性も引き出されています。

だからと言う事ではないが、旅館によっては支配人よりも料理長の方が、
権限を持っていたりするところもあります。
こう言った事が本来あるべきパワーバランスではないと、
経営に影響が出てくることは言うまでもなく、最終的には廃業してしまう旅館もでてきます。(あくまで一般論的にですが・・・)

ある有名料理専門学校の幹部によると、
昨今のグルメブームの追い風もあり、料理を目指す若者も多いが、
今はパティシエが人気らしい。
しかし日本料理はというと、
学校を出ても、店での下済みがあるという昔ながらの因習を敬遠するようで、希望者は決して多くはないらしい。

しかし、日本料理が世界的に認められ、世界へ発信して行く時代だ。

厨房の作業はチームワークが非常に重要なので、
料理長をトップにしたヒエラルキーで、絶対的な権限によってチームを動かしているため、今の若年層にはもはや耐えられない職場に見えてしまうのかもしれない。
働き方改革も各業界で進展している中、
和食の厨房にも女性スタッフが目に着くこともありますし、もはやなくてはならないすしロボットや、昨今では一人前の寿司職人を数か月で育成する学校などもあります。

大げさ化もしれませんが、これから「日本料理」は、世界的な視野で日本の食文化を発展させていく事で、世界における日本のプレゼンスを確立していく使命があると思っています。
ですので、専門学校や徒弟制度だけではない育成、たとえばリスキリングで中高年にも新しい就業のチャンスをつくることや、ハンディーを抱えた方にでも門戸を広げられる厨房業務なども、今後は必要なのかと思います。


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