F100という最適解
フィルムカメラというと、現像の手間やコストなどから「面倒を楽しむカメラ」という緩やかな共通認識があり、そのためAF一眼レフというのはあまり人気がありません。実際、私も好きでよく使うカメラと言えばNikonF3, Hasselblad500C, HasselbladSWCで、もっと使いやすいF60やF100はあまり使ってきませんでした。
しかしながら、先日旅行に行く際にAF一眼レフカメラ[F100]にVelvia100を一本だけ詰めていったのですがこれが結構よかったので使用感と作例を用いて、AF一眼レフのF100を再評価したいと思います。
「手間を楽しむよりも、今はただ撮りたい」という時間
MFカメラで丁寧にポートレートを撮るのが好きで、やっぱり瞳の少し奥にグーっとピントを合わせている時間はドキドキします。しかしながら、旅行中のスナップなどは、もっと軽やかに、広角レンズの被写界深度の深さを生かした撮影の方が良かったりします。特にツレがいるときはなおさらですね。
AFカメラはPオートとかにしておけば片手でも十分に撮れることも多いので(光量しだいです)、動きのある写真でも適正な露出を得やすいので便利です。「撮りたい」と思った瞬間にパッと撮れる点は大きなアドバンテージです。
露出を任せられる、という安心感
先の作例もそうですが、特にポジフィルムは露出に関してかなりシビアなので、普段モノクロネガばかり使っている私にはおっかなびっくりなところがあります。
慣れと露出計の習熟の問題ですが、F100任せの露出で36カット中問題のあるカットがなかったので、ポジはこれで良いじゃないかなと思います。
今回のフィルムでは朝焼けのカットと、灯台で撮影したカットが結構モノクロネガの感覚の自分では悩ましい(モノクロネガなら安全サイドのオーバー目に撮っていたと思います)ものでしたが、F100は一発できれいに決めてくれました。
一台くらいはAF機を持っておいても良いんじゃないか
AF機は特にポジフィルムで旅行に持ち出すのに良いなと思いました。大きさや重さとの兼ね合いもありますが、カラーネガで気軽に緩さも許せるなら中央1点だけでもいい気がします。
MFカメラのリッチなファインダーで、じっくり腰を据えて写真を撮る方が個人的には楽しいですし、モノクロネガならMFの方がいいと思います。なので、あくまでややサブ的な扱いにはなりますが、ポジフィルム専用機としてAF一眼レフも持っていてもいいかと思いました。
今回使ったF100は定番の機種ですが、AFもF5と同じくらいのスピードで最近の一眼レフと大差ないスピードで機能します。また、モード変更がわかりやすく、ボディの剛性感もしっかりしていて使っていて頼りになる良いカメラでした。
AF一眼レフも選択肢が多いようで、黎明期よりも後年の方が明らかにAF性能やUIが向上しているので、実際的な選択肢は多くないのかもしれません。触ってみた感じだ、F60, F80, F100あたりは使いやすく、UIも比較的わかりやすいので選択肢に入れても良いと思います。F5はかっこいいし性能も良いのですが大きく重たいし、F6は高価で予算的に厳しいという場合にはF80, F100が良いですね。
ポジフィルムに関しては普段モノクロネガばかりだったのですが、色の具合などはとても美しく、素晴らしいなと感じました。モノクロだと作品という側面が強くなりますが、カラーポジだと記録性が強くなるのと、フィルムをそのまま見て楽しめるので、ポジフィルムを眺めながらまた話に花が咲くというのが写真の良い在り方なようにも思えました。
モノクロで作品を作っていくのもいいですが、旅の思い出のカットはポジで残しておいた方がいいかもしれませんね。