フィルムGRでスナップをする理由
GRでスナップなんて、時代遅れでは?
昨今ではフィルムの高騰で、「フィルム使うなら大作を」という潮流をうっすらと感じていますが、そうなるもう少し前の話では、フィルムカメラでスナップというのも人気のジャンルで、特にGRは人気がありました。
実際、著名な写真家がGRで作品を残しているので、彼らにとっては良いカメラだったことは否定できませんが、今となっては高価な部類のGR使うなら、バルナックライカに目測で良いのでは?もしくはPenSの方がたくさん撮れるし、ハーフゆえの粒子感がマッチしてより良いのでは?とついついハードな金属カメラに傾倒していました。
購入の経緯
彼女に以前プレゼントしたオリンパスのエクリュというカメラの調子がどうにも良くない、というかスローシャッターが切れないので暗所ではフラッシュがどうしても必要になるし、ピントもあったり合わなかったりで、安定して撮りたいように使えないという問題がありました。特にピント問題はあまりに頻発すると後でつらいですね。
そこで、自分自身GR3が気に入っていたのと、たまたま良い出物を教えてもらえたので購入することに。自分が使うならF100やF60の方がいいのですが、女性の鞄というのは小さい方がよろしいらしく、また重たいものもダメとのことで、実はそんなに選択肢はなかったのかもしれません。(TVSも良かったのですが、こちらは大きさと重さの点から却下)
予算的には大体のモノが液晶部分が薄くなるor表示されなくなっているものが多いです。液晶に関しては修理も一応はできるようです(後述)。GR10で2~3万円程度、GR1など絞り優先の設定ができるものは7~8万円程度なので今回は予算の面と、プログラムオートで十分だろうというころからGR10に決定しました。
GR10の小話
GRもデジタルを含めると多数のモデルが展開していますが、基本的なコンセプトは現在と同じ「小型でパッと撮れる、よく写るカメラ」で、GR21という21mm3.5という超広角レンズを搭載したもの以外は、フィルムカメラでは同じレンズを搭載している(はずです)。
その中でもGR10は感度設定, 露出補正機能を除外しDXコードでの感度読み取りとプログラムオートのみという割り切った仕様となっています。カメラ好きとしては絞り優先, マニュアル露出などが欲しくなりますが、最高SSは1/500であることを踏まえると結局はPオート的な撮り方しかできないのではないかな?という気もします。どちらかというと問題は感度設定の方で、長巻を使うのにひと手間かかります。DXコードをパトローネに仕込まなければなりません。
GR10レビュー<使用感>
似た系統のカメラだとエクリュくらいしか触ったことがないので、あまり比較にはなりませんが個人的に面白かった点を紹介します。エクリュは外装以外はミューの設計を引き継いでいるとの事なので、実質的にはミューとの比較になりそうです。
・ピント位置表示がありがたい
購入のきっかけの一つですが、コンパクトカメラのAFって結構動作が怪しくて、現像してからピントを盛大に外していたことに気づいたりするんですよね。GR10の場合、シャッターボタン半押しでピント固定したときに、ピント位置の大体の表示が出ます。これが結構便利です。また近距離でのパララックス補正の枠も一応出るので親切な設計という感じがします。
・測距点が表示される
GR10の場合、中央付近に三点の測距点があります。ピントが合った時に、使用されている測距点以外は消えるので、どこにピントを合わせてるのかが明示的で良いです。安心感も少し増しますね。
・小さくて軽くて、まぁまぁよく写る
エクリュと比べてどの程度差があるかというと微妙なところですが、かなりコンパクトでそれなりに写るなぁという印象です。コンパクト機ゆえ、ミラーがない事はアドバンテージですが、それでも一眼レフの方が大きなレンズを許容できる分もあって、当時の単焦点レンズ程度に写れば万々歳という所ではないでしょうか。
どちらかというと描写よりも、コンパクトでいつでも持てて、スローシャッターが切れてストロボがついて、AFもある程度外さない程度の目安を書いていてくれるので、「撮りたいと感じたものを残す」という意地を感じます。
GR10レビュー<カラー描写>
フィルムはFujiのXtraをお店に現像・スキャンしてもらったものです。そのためやや低解像ですがご容赦ください。
総じて安定した露出と描写で使いやすいです。広角かつプログラムオートという事からボケにくいというのもありますが、少々はピントを外してもあまい印象になるだけで破綻はしないので懐が広いとも思えました。135フィルムでこれだけ撮れれば、6つ切りくらいなら一眼レフと大差なく感じられる気がします。
GR10レビュー<モノクロ描写>
フィルムはHP5+, 現像液はSilversalt現像液を使用しました。
モノクロで撮ると(きっちり高解像でスキャンしているためかもしれませんが)、真価を垣間見れた感じがします。よく写るし、小さいと優秀ですね。ハイライトのフレアっぽいのも、モノクロだと相性がいいかもしれません。これは一眼レフの代わりになると言われたのもうなずけます。
GR10レビュー<総評>
結構いろいろな使い方のできるカメラだと思いました。コンパクトで使いやすいのでカラーネガを入れてカジュアルに使っても良いですし、高コントラストのTriXやDoubleXでハードなモノクロ写真にしても良さそうです。ただ、本来の描写性能を考えると、高解像のデータ化処理を行いたいところですね。
プログラムオート専用というのは、物足りない気もしましたが実際の使用では十分な気がします。GRを使って、ポートレートで背景ぼかしたりするようなシチュエーションにはならないと思うので、結局絞り設定もオートで十分だし、その分お安く買えるのでGR10で十分だと思います。
修理に関しても、よく見られる液晶不良に関しては台湾の方で対応してくれるところがあり、日本から出した方が記事を出されているので、少しは安心して使えます。
サブカメラとしてカジュアルに使えるカメラという点では、買ってみても良さそうです。穴場的価値のカメラとして良いですね。こんなこと言ってると相場がまた上がりそうですが。