大ヒット上映中ドクタースリープ前作「シャイニング」徹底解説
解説の前に!!まずは自己紹介を🙇♂️
映画に人生を変えられ様々な事に挑戦した結果肩書きが多くなってしまったがのです🎬✨
一番多い時は年間約1000本をみて一本一本2時間ほどかけ徹底的に調べた結果映画の奥深さがわかったので解説しちゃいます🤩
それではドクタースリープの前作であるシャイニング解説をどうぞ✋✨
一言でいうと・・・
「幽霊を信じるものと信じないものどちらにも納得できるよう練られた映画」
原作シャイニングはホテルに悪霊や幽霊が住み着いてるという話でありますがこの映画はどちらでも取れるように作られているんです
社会や家族から孤立していった男が段々狂っていくサイコ・サスペンスとして読める,つまり悪霊が本当に存在するか、それともそれは全て主人公ジャック・トランスの妄想であるのかと取れるようにしてます。
実際にキューブリックは『劇中の霊現象は全て心理的病気による妄想や幻想として説明がつくように作った。だから霊を信じていないものでも楽しめるだろう』と言っている。
スティーブンキングが嫌う理由
ある日キューブリックから電話がかかって来たそうで「幽霊信じてるの?てことは死後の世界があるってことだよね。それは楽観的だ」と信じてないことを表明したそうです。なぜ楽観的なのかというと、本当に恐ろしいのは幽霊がいないこと。霊魂も神もあの世もなくて、死んだら何もかも消滅すること。だから、死は最大の恐怖なのだ」
それともう一つ原作は父親は家族を愛しキング自身を描いてます。しかし今作では家族愛はないように描きました。そこがキングを怒らせました。
なぜこの映画が怖いのか
キューブリック自身幽霊を信じておらず劇中も全て主人公の妄想など説明がつくように撮られていた。
ただそんなキューブリックだが1つだけ幽霊のシーンを入れる。食料庫に閉じ込められたニコルソンが出れたシーンは幽霊によって出されている。ミスリードです。全部辻褄が合う説明が出来ないようにわざとやっている。その方がより深みが出る。
これは観客にやっぱりこの屋敷には幽霊がいるのか?と疑問を持たせるためにしたという。幽霊はいる、いないとはっきり決めつけた映画よりもわざとこのような不合理なシーンを入れることによって観客にどっちかわからない状況にさせることが最も不安になり最も今生きてる現実に近づくのだそう。キューブリックはこの映画で幽霊はいないと断言するのではなくその答えを観客に決めさせました。
脚本家ダイアン・ジョンソン
シャイニングの脚本を共に執筆したダイアン・ジョンソンは「影は知っている」で有名な作家です。これは「私」が主人公の一人称小説。無言電話の連続に始まり、アパートのドアが壊され、車のタイヤが切り裂かれる。誰かが「私」を殺そうとしていると綴られていくが話が進むにつれこれは実際にこれを書いてるこの主人公が狂ってる、妄想なんじゃないかと気がついていく。この構造はまさにシャイニングにつながっていきます。
浴槽の女、双子の女の子
キューブリックは幽霊や神を全く信じていないため、シャイニングは幽霊は存在しないという基で作られた。息子のアザは父親で息子は虐待する父をかばい女の人がやったと嘘をついた。さらに父親は自分がやったということも覚えてないぐらい精神が崩壊していた。237号室が危険と注意されたのは未来が見える黒人が持つシャイニングによる予知。
血の海や双子が見えるのはダニーの予知能力で過去や未来を見ているだけ。しかしキューブリックは特殊能力だけは信じているためシャイニングを使って過去の双子を見せました。浴槽の女は精神崩壊したジャックが息子の言われたことをベースに作り出してしまった、もしくは幽霊。
犬の着ぐるみを着た男とタキシードの男
原作によるとタキシードの男は元ホテルのオーナーだった億万長者。犬男と仮装乱行パーティーを抜け出して部屋でホモ行為に及んでいた幽霊。キューブリックにとってパーティーとは「つまらないからこっそり抜け出してエッチな事をするもの」という認識があったのか、パーティーを抜け出してお楽しみするということをアイズワイドシャットでもやっている。
じゃあなぜそれを妻ウェンディが目撃したのか?
それは息子ダニーの持っているシャイニングは母から遺伝されたものと黒人ハロランから説明がある。そのため過去を見れたのだ。
ラスト
ラストについては色々な解釈がありますが、自分的には二つあり幽霊屋敷として描かれ取り憑かれていた場合、ジャックは死んだ後幽霊たちに仲間入りし永遠そこで暮らしていることを表している。もう一つはジャックが劇中でデジャブが起こっていると言っていましたが実はジャックはあの写真の男の人の生まれ変わりであり自分と似ていながら幸せそうに笑っている彼に嫉妬し現実逃避の妄想に火がついてしまったんだと思います。いわばジャックがおかしくなった種明かしの写真だったと解釈できるわけです。さらにあの写真は1921年とかなり古いのも理由の一つです。
幽霊=楽観的と考えるキューブリック(理由はスティーブンキングが嫌う理由にて)は幽霊を信じる人たちへハッピーエンドを残しました。幽霊になり魂はその屋敷にとどまっていることで一番怖い消滅を回避したラストにしました。
ジャックの生まれ変わり論についてもう一つ裏付ける証拠がある。
仏教的解釈では、因果の道理によって地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の6つの世界を生み出し、その世界で何度も生まれ変わりを続ける(=輪廻転生)。そう考えるとジャックは、「邪悪な意思を持つホテルの管理人として、何度も生まれ変わりを果たしている人物」とみなすことができるのだ。
ジャックが因果応報によって、何度もホテルの管理人として生まれ変わっているとしたら、彼が犯した罪は何なのだろうか? 筆者の暴論かもしれないが、「双子の娘と妻を惨殺したのは前世のジャックで、その因果で何度もホテルの管理人として輪廻転生を繰り返している」のではないか?
それを裏付けるシーンがある。
支配人のアルマン(バリー・ネルソン)はこのホテルで一家惨殺事件があったことを説明する際に、その加害者である管理人の名前をチャールズ・グレイディと語っていた。しかし、グレイディがジャックと実際に会話するシーンでは、チャールズではなくデルバート・グレイディと名乗っているのだ。しかもグレイディは、ジャックに「あなたこそ、このホテルの管理人です。ずっと昔から」と語っている。これは何を意味するのか?
さらにこのシーン、よく見るとちょっと不思議なショットが挿入されている。
最初カメラは左にグレイディ、右にジャックという構図で捉えているのだが、数秒だけ左にジャック、右にグレイディという配置が反対になったショットが差し込まれているのだ。
映画では通常、2人の人物が会話するシーンではイマジナリーラインという仮想の線が引かれ、その線を追い越すことはない。会話する2人の人物の位置関係が逆になってしまうと、どちらがどこにいるのか観客が混乱してしまうからだ。しかしこのショットでは、明らかにイマジナリーラインを意図的に越えている。
イマジナリーライン
これは、ジャックがグレイディ自身であることを指し示しているのではないか?
かつてのグレイディと、現在のグレイディ(=ジャック)が会話していることを映像的に表現するために、キューブリックが意図的にこのような演出をしたのではないか、と勝手に推察しております。