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夕方に学ぶ場を作りたい
先日、特別支援学校卒業後の進路選びに関する話題を書きました。そこでは、特別支援学校高等部の卒業にあたって、就労か福祉サービスの選択を迫られてしまうことを課題として取り上げ、特別支援学校卒業後にもう少し学べる場所が欲しいということを書きました。今日は、卒業後に福祉サービスを選択した場合の課題を書きます。
終わり時間が早すぎる
私は障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の事業所の中には、日中活動を支援する事業所があります。ここを利用する人の多くは、特別支援学校を卒業後に利用します。ここでの課題は、事業所が終わる時間です。私の法人の事業所だけでなく、どこの事業所もおおむね16時前後に活動が終了し、利用者は帰宅します。終わり時間が早すぎます。
経営者が、問題を指摘している場合ではありません。しかし、事業内容が公共事業に準ずるため、利用時間を延長し、その分、割増料金をもらうことは容易ではありません。
労働問題
利用時間の延長にあたり問題となるのは、支援者の労働時間と人員の確保です。支援者は、所定労働時間の中で働き、休憩時間も正しく取得しなければいけません。そのため利用者の利用時間が延長されると、支援者のやりくりができなくなります。また、事業所の多くは、活動が終了すると利用者の送迎があります。所定労働時間の中で、利用者を送って戻ってこなければいけません。
利用時間を延長するためには、支援者の増員が必要です。そのためには、人件費がかかります。しかし、報酬単価は、あらかじめ決められているため、利用時間を増やしても収入は増えません。支援者を増やすことができません。
肥満を助長
日中活動が早く終わるということで、いろいろな問題が発生します。一人で買物ができる人は、自由にお菓子等を買って食べます。さらに、今は共働きのご家庭が大半です。一人で留守番をしていると家にある物を食べてしまいます。また、家でやることがないため、テレビやゲームに夢中になりそこから抜け出せなくなります。動くことが少なく、肥満が加速します。
夕方の活動が欲しい
夕方を有意義に使うため、夕方に別の活動が欲しいです。
一時期、青年学級という活動がブームになりました。夕方や夜間に自主的に集まって活動をします。私もいくつかの立ち上げに協力をしました。しかし、正式な活動ではないため、今は、資金や支援者が安定せず、一時期の勢いがなくなってしまいました。
冒頭に書いた、「もう少しの学び」、それが夜間に実施できるといいです。日中に技能訓練ができる場所はいくつかあります。しかし、理想は、日中は主たる事業所で活動し、夜間に趣味や技能を深めることです。
私は、数年前に早稲田大学エクステンションセンターの講座に参加したことで自分の人生が大きく変わりました。今後は、誰もが学べる場の支援というものが必要になっていくでしょう。
アフターコロナに向けて…
20世紀の福祉は、日中活動場所の確保でした。21世紀は、地域で生活をすることに重点が置かれ、グループホームの増設が進められています。しかし、日中と夜間をつなぐ支援も必要です。制度が、夕方の時間の支援に注目をしてくれると、地域の社会資源へのはたらきかけもスムーズになります。
福祉職だけのつながりでは限界が見えています。アフターコロナの活動に向けて地域基盤の強化を図っているところです。
夕方の支援が、普通の生活を幸せにすることにつながります。