離れること
「離れること」
唐突になんのことと思いになられたと思います。
先日鉄道博物館にて開催された、青春18きっぷのポスターに関わる
クリエイティブディレクションに関するトークショーで、
質疑応答の際に「旅行とはなんですか?」
との問いに、「離れること」と答えた。
どこから離れるか。「家・日本・自分の住む都道府県」など様々だ。
だから「通勤」だって旅かもしれない。と言っていた。
私は思う、家から出なければ、家の中で五感で得られるものなんて
たかがしれているような。
まあ、移動すること・旅をすること・ある地点から離れることには
コストが必要になる。
ただ私はそのコストを割いてでも、移動をすることを辞めたくはない。
あるしょうもない、でも大切な、ここではあまり言いにくい理由で
中央線の特急「かいじ」に乗ることになった。
私は大月で降りて、富士急行線に乗ることにした。
私は、本人の歌う姿を見ることは叶わなかったが、
フジファブリックの音楽と志村正彦の作る曲と歌詞を非常にリスペクトしている。
数年前、富士急行の粋な計らいで、生前、志村さんが生まれ育った富士吉田市の下吉田駅の列車接近の音楽が、彼の生歌になった。
一度尋ねたが、久しぶりに行ってみようと思い立った。
移動の物差し
速度
手段
時間帯
人数
速度は運転速度。
運行速度、手段は交通手段:飛行機・普通電車・特急電車・自家用車・バス・船。
時間帯は朝か昼か夜か
人数は1人か、それよりも多くか。
夏の富士山がいい。
訪日旅行客よりも興奮してしまった。
下吉田に降りる。
志村正彦の看板が見えた途端、目頭が熱くなる。
若者のすべてのレコードをなんとなく持っていって記念に写真を撮った。
この人にどれだけの人が救われたか、この人が今生きていたら、世界をあとどれくらい憂いて、そして良くしてくれたか。
私はこの駅に、この看板を見に、きたフジファブリックのマニアであるが、
訪日外国人には全く伝わっていないのか、誰も気にかけていなかった。
忠霊塔に行く時間がなかったので、私は富士山駅に向かう。
富士山駅でお土産を買った。
E353系に乗り込んで、大月を目指す。
大月からはかいじの指定席を取っていたが、富士回遊は乗ることも当初予定していなかったので、立ち席利用となった。
志村正彦はこの駅「下吉田」で歌い続ける。
志村正彦に会いに行きたくなったら、下吉田に行けばいい。
若者のすべてを聞きながら、富士山を眺める。富士吉田の地で、電車に乗って。
走行しているうちに、大月に戻ってきた。
富士回遊は後ろに9両のかいじを連結する。
車両が新型でも、案外やっていることは昔ながらなのかもしれない。
昔は急行アルプスと急行かわぐちの多層建列車もあったようだし。
と、フジファブリックセンチメンタルモードから鉄オタモードに変わる。
中央線の特急E353系は、本当に移動体としての品質がかなり高い。
変な言い方をすると、フル規格区間のないミニ新幹線とでも言おうか。
乗り心地もいい、JR東日本がE353系に施した車体傾斜装置
という技術は速達性という目的が第一かもしれない。
ただ、曲線区間でも速度を落とさないということは、速度制限の変化が少なないということ、不快な加速減速の回数自体が減るので、前後方向への乗り心地向上にだいぶ寄与しているのではないかと考えている。
そんな優れた車両E353系が大好きだ。
E353系の好きポイントがデッキの角の面取り部分にある鏡だ。進行方向の客室を移した写真だけど、外の緑が映る。このちょっとした空間の広がりもたまらない。
そんなこんなで新宿到着。
(知人に別れを告げ)家に戻る。
結局何が言いたいのかよくわからない雑記になってしまった。
雑記の域にも達していないかもしれない。
みなさん、移動しましょう。
離れましょう。
そして戻りましょう。
ryojoho