最初のオファーには飛びつかない!海外転職活動で実践した効果的な給料交渉方法
「おめでとうございます!あなたを当社に採用したいと思います!承諾しますか?」先日応募した企業から、こんな電話がかかってきたとする。
貴方は嬉しさでいっぱい。苦労して書き直した履歴書、何回も通過した面接、数えきれないお祈りメール。。そしてやっともらえたオファー!電話越しに満面の笑みを隠しきれない。
相手が考えを改める前に、自分をロックインさせなきゃ!そう思い、言われたオファーに「はい、分かりました、承諾します!」と元気よく答える。
これは海外転職の場で一番やってはいけないパターンである。
米国CNBCは約58%のアメリカ人が会社から採用された際、オファーをされた時点でそのまますぐに承諾した、と報道している。逆にオファーをもらってから条件交渉を行った人のうちの85%は何かしらの形で成功した、と続けている(Fidelity Investments調べ:2022年、1,524人へのサーベイ調査、25歳〜70歳までの米国人)
上記の記事では「会社は貴方が交渉してくることを予測している」とも言っている。交渉をすることは良いことだとも指摘し、積極的に交渉に出ることを勧めている。
このように、採用のオファーを受けた人のうち、(交渉大国のアメリカでも)過半数の人は交渉せずにそのまま承諾してしまう。しかし勇気をもってカウンターオファーを出した8割以上の人は成功している。
何かしら雇用条件が良くなるのであれば、交渉しないことのデメリットは大きいのではなかろうか。
僕は2010年にアメリカの大学を卒業してからすぐのタイミングでニューヨークにおける無給インターンを有給に変えたり、現在の会社(2023年現在、ABBというスイス・スウェーデン資本の巨大な重電企業)に入る時も、この一個前の会社(Schibstedという北欧全部のメルカリを保有・運営する会社)に入社する時もオファーを受け取ったら必ず交渉を挟んで入社を承諾した。条件の交渉はキャリアの中で常にしてきた。
そして交渉をすることで、全ての場合において自分にとって条件を良くすることができた。もちろん、こちらからお願いした全てのものが実現してきたというわけではないが、(休暇取得日数など)他のメリットを引き出すことができた。
交渉をするのは気持ち的にハードルが高い。折角もらえたオファーを取り消されてしまうのではないか。これから入る会社との関係がギクシャクしてしまうのではないか。そんな不安が頭をよぎる。余計な騒ぎを起こさず、大人しく最初のオファーを承諾してしまった方が楽だ。
しかし会社はたくさんの時間とリソースをかけて選考活動を行っている。貴方を選んだのは相当の理由があり、人材として欲しいと願っているからだ。少しこちらの条件を聞いてみたからといっていきなりオファー取り消し、なんてことにはならない。仮になったとしたらそもそもその会社に入らなくてむしろ正解、ということになる。
もし交渉が自分の思い通りにいかなかったとしても、最低でも、最初のオファーに戻るだけだ。失うものはないはずなので、聞いてみるものだ。
当記事ではオファーをもらってからの条件交渉についての僕のナレッジとスキルを共有したい。特に海外就職・海外転職における選考の場での自分の実践経験をもとに概要と、実際に使えるフレーズを用意した。各ポイントは公開し、僕が今までに使った具体的なフレーズ部分は有料エリアとさせていただいたので、興味があればご購入いただけたらと思う。
僕自身はキャリアカウンセラーのようなエキスパートではない。エキスパートの方は全然違うアドバイスをするかもしれないし、同じようなことを言うかもしれない。しかし、一人の人間の実践とそれに基づく成功体験としてはシェアできるものがあると思うので、一つのヒントとして捉えていただきたい。
ポイント1:自分の業界の「その地域での金銭的」リサーチを徹底する
交渉に入る前に情報武装しておきたい知識としてとても大事な部分。具体的には以下の点を細かくリサーチする。
この具体的な数字の知識を持って選考に臨むことで、交渉における自分のconfidence(=自信)が変わってくる。特に、給料はいくらを望んでいるか?という質問に対して、根拠のある額を提示することができる。
住んでいる国の職に応じての給与レベルはそれぞれの国の様々なウェブサイトがあるが、Glassdoorというサイトは欧米圏の会社の給与レベルの調査に使える。実際の社員のレビューや給与情報が集まっているとしているが、あくまで一つの情報源として見ておく。
ポイント2:給料の希望はレンジで答える
最近LinkedInなどで多く目にする採用広告には、そのポジションの給与の額を出していない企業が多い。個人的にはこれは応募者にとって有利だと思っている。理由は、様々な条件交渉の余地を会社側が与えてくれているから。ポイント1でしっかりと自分の妥当な給与レベルを把握できていれば自信を持って応募できる。そしてポジションの給与の額が記載されていない場合、面接の場で給与の話になったとき、レンジで答えるようにする。
明確に「〇〇ユーロ欲しいです」と言ってしまうと仮にその額が高すぎるor低すぎる場合、双方のその先のディスカッションの柔軟性を奪ってしまう。必ずレンジで答えよう。
また、提示するレンジは広すぎると抽象的すぎてしまい、狭すぎると具体的すぎてしまう。業界業種によって異なると思うが、数百ユーロの範囲(月収の場合)が妥当だと思う(例:5,000ユーロから5,500ユーロの間を見ています)
また、一つのテクニックとして、逆に「御社はいくらのレンジを見てますか?」と聞いてしまうのも一つの手だ。既にリサーチを済ませていれば、向こうが言ってきたレンジと、自分のリサーチ結果の答え合わせをすることができる。
注意点として、交渉の段階になった場合、自分が予め伝えていたレンジより上の額を後から交渉するのはとても厳しい。同様に、会社側は最初にオファーした額より低い金額に持っていくことはない。
なので、初めに伝えるレンジは慎重に検討しよう。ポイント1でリサーチした妥当な金額レンジに、ちょっとプラスした額を狙うような感覚だ。
ポイント3:今の給与の額は絶対に言わない
個人的にはこれは聞かれたことがないが、たまに他の人から耳にする。現在の自分の給料は言わないほうがいいし、言う義務もない。もし聞かれたら、「今の給与は自分のレベルと合致していないから金銭面でのステップアップを臨んでいる。転職理由の一つとしてこのステップアップは自分にとって大事だ」と返せばOKだ。これも、言うときは自信を持って言おう。
ポイント4:オファーの電話をもらったら「公式な書面をメールしてくれ」と言う
多分これが一番大事なポイントになると思う。もしオファーの電話が来た場合、その場で絶対に承諾しない。その代わり、ありがとうと言って、書面で正式なオファー内容をリクエストするのだ。
これは「オファーを断る」のではなく、ただ単純に「書面をメールしてくれ」と言うだけだ。長い選考活動が終わり、ドキドキしながら待っていたオファーの電話にはできるだけ早く承諾したい。しかし、一度冷静になり、公式なオファーを書面でリクエストする。
書類をリクエストすることによって「時間稼ぎ」も可能となる。仮に他の会社での選考も進んでいる場合、そちらの様子見もできる。
ここから、自分が実際に使っている交渉のフレーズを、オファーをもらってからのプロセスに当てはめ、説明を交えて順序立てて紹介していく。
STEP 1. 最初のオファーに対して使うフレーズ
さあいよいよオファーがきた。もしオファーが電話で来たらこれは電話で言ってもいいし、もしオファーがメールで来たらメールで返しても良い。
Thank you very much for your offer - …
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