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東京駅八重洲口


東京で暮らす娘に会うのが人生の楽しみで、田舎から高速バスでやって来る老母がいた 
貧しい暮らしの中から何年も40代の娘のため送金していた 
 心弾む数日が終わり、また田舎に帰るという別れの時間、それもこの八重洲口だった
 ある日、娘はここで使いみちがなくなった母親を捨てた。母親は絶望し、ひとりバスに乗った
.田舎に向かう高速バスの車窓からの風景は、光がひとつ消えまた消え、やがて真っ黒の海に見える

 東京駅八重洲口。そんな物語を秘めながら、何のため美しい。


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