水郷 -SUIGOU-
【 水郷 】
①水のほとりの村、②河川や湖沼が多くある景勝地、③特に茨城県・千葉県にまたがる利根川下流域から霞ヶ浦にかけての低湿地帯の称。
千葉県香取市から茨城県潮来市。水に降りる。この辺りは茨城県鹿嶋市と併せ「水郷三都」と呼ばれる一帯である。
川風に身体を止められる。コンクリに飛沫をあげる波。うねり呻り続ける水。水運が盛んだった、いつも人の暮らしとともにあったという川の、しかし触れるほどの近さに降りて思うのは獰猛ないのちである。風は私を倒そうとし波は飲み込もうと私の足を洗っていく。来るなと警告して風は鳴り、水は早く来いと囁きかける。場所によっては対岸など目を凝らす距離である。夕陽を浴びた、水面の銀色。
「お前はまだ来ないのか。チビだった頃の約束を忘れたか」
「いいや、そんな約束してねえよ。でもまた会いに来てやる」
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