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コーンに決まってんだろうが

 ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」は落合シェフがプロデュースしたソフトクリーム店である。店の奥で頼めばイタリアンも食べられるというのだがそんな噂レベルの話を私が確認する必要があるだろうか、ない。考えてもみてほしい。店頭でソフトクリームが売られているのに店の奥に入る理由はないのだ。店の前を通った、ソフトクリームを売っていた、――それが全てだ。

 ここのソフトクリーム屋ではカップにするかどうか尋ねられるのだが、いつもそうだし、いつからか割とどこでもそうだが、私にとっては世界一無意味な質問である。コーンって顔に書いてあるじゃない。

 「コーンって顔に書いてあんだろ!」と言ったらカスハラだろう。しかしそれは客の顔つきや表情から非言語的ノンバーバルに要望を読み取らせるときハラスメントに抵触するのであって、齟齬も避け得ない。ただし実際に「カップとコーンならコーンで」とマッキーで顔に書いておけば話は別である。多くの人はそのひと手間さえ惜しむから、いつまでも感じのよい客になれない。クズ共が。ひどいと「アレだよアレアレ」になるだろう。あれあれぇって何だよ。コナンか。見た目は大人で頭脳は子ども、って残念版か。そもそもの話として、なぜ人は「コーンかカップか」を問われて苛立つのだろうか。
 
 唐突に湧き上がる「おれがカップ派に見えるのか?」という怒り。その怒りに突き動かされて人は「客にく前に少し考えろよ。カップなんか食えないしゴミになる宿命だろ。その点コーンは食えるだろ。それなら絶対コーンだろ」と捲し立てる。その長広舌たるや、単に「コーンでお願いします」と言うよりはるかに多くカロリーを消費している。てめえが言う前に考えろ。 
 そう人は省エネのために「コーンでお願いします」という一言を惜しむのではない。ただ言わずとも分かって欲しいのだ。人を突き動かすものは、おそらく内面の「傷つき」である。何が傷ついたのかは問うまでもない。「憧れ」である。幼き日からの憧憬が傷つき、血を流しているのである。

 コーン。いつも優しくて、アイスの冷たさを手に伝えたりなんかしない。そう僕はあの優しさが好きなんだ。そりゃみんなアイス部分がメインだって言うに決まってるけど、アイス部分を食べ終わった後にコーンがある幸福、あの余韻を楽しむタイプの人間なのさ僕は。コーン、僕を僕たらしめるもの。いつだってコーンは僕のそばに居てくれた。冷えた口中をそっと、どこまでもそっと、温める。おれのこと好きなんだろコーン。おれも好きだよ。コーンへの愛を疑わないでくれ。それだけは疑わないでくれ……

 コーン。僕の永遠。

 あ、もう巻き終わりましたか。お忙しいのにすみませんねヒヒ。どーもですどーもですー。あっちで食うんですね了解ですー。

店外の専用スペース。50代で食っていい場所かな。立ったまま、めっちゃカッコつけて食った

 スタッキングチェアが置かれた、それ食う用の場所がありましたね。ソフトクリームはアイス部分が結構コーンの奥から始まっているので、500円近いお値段でも全く高いとは思わない。うまい。頭いたい。

たぶん大丈夫。おれだって買い物客にジロジロ見られて心折れそうになったもん

 でも本当に本当に好きなのはさ、ワッフルコーンじゃなくてレギュラーコーンなんだ。優しさって言えばさ。柔らかくて軽くて上あごに張り付く方。上あごに刺さらない方。

 アイスを持ち帰る時のさ、あのキャップ。愛しい。下にリンク貼りますね。あ、おれアフィリエイトとか一切やってないんで買って大丈夫っすよ。240個だけど。一時期アフィリ屋さんたちがみんな「スティーブ・ジョブズを尊敬してます」って言ってて、あれ何だったんだろう。一人くらい徳大寺有恒とか言えよな。

 人は簡単に自分の行動や可能性を狭めてしまうものだよ。だからどこのソフトクリームが一番好きか真剣に考えることなんかしちゃいけないって、思うけど。総合1位はマックかな。大きくなったら両手持ちするんだ。ともあれこのソフトツイストのためだけにマックに立ち寄ることがあります。きっとこれだけ買う客ってあんまり良い客ではないんだけど、そこはごめん。
(言い訳にしかなりませんが、たまにビッグマックも買ってます)。

そういやコカ・コーラのあの歌が流れてましたね。ビッグマックのCMで。
 ♪ たらったったった~、と最後に流れなければ気づかない。そういうの、好きだ。熱くなる。

2024年現在と1987年のCMを比較した動画があった。
2024年はビッグマックの、1987年はコカ・コーラのCMだ。

 ちょっと前の、こっちも好きだったけど。

 「ビッグマックなんてペロリだぜ」。うん、まあ。夜マックでセットでプラスもう一個バーガーいけるよ。このCMは(永山瑛太のモゴモゴが)好きだが、竹原ピストルよなあ……


 野狐禅やこぜん、復活しねえかなあ。「ぐるぐる」が聴きたいんだよ。

言葉うたがあふれて 言葉うたがこぼれ落ちそうになって
ガムテープで顔面をぐるぐるにする
言葉うたは感情の墓場だぜ ガムテープで顔面をぐるぐるにする

野狐禅「ぐるぐる」(2004)

 夏だしこっちか。このMVが好きでたまらんのよ。

  生きることに失敗し、生きるのをやめることにも失敗する、そんな人たちの人生を歌って行きたいんだろう。うん、今でも好きだよ。

遺書を書いていたつもりが ラブレターみたいになってしまって
丁寧に折りたたんで 君に渡した

野狐禅 「カモメ」(2004)


 

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