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串屋えんや(江古田)

 先輩との不急会議(議題なし)、つまりダラ飲み。

 出がけにシャワー浴びようとして「いいや江古田だし」「いいや先輩だし」と思う。我ながらひどい。でも歯はみがいた(偉そうに書くことでもないが)。道中いつものショットバーでジントニックが飲めるなと考えていた。「Hotel California」が流れたらいいなと。あの歌は堕落について歌ってるんだろうし美しいのに不穏で大好きだ。でもイントロ長えよな。いっそドラムのドンドン、から入ってもいいくらいだよな。ステージで間がもたないから照明落としておくしかないよなとか考えながら向かっていた。しかし先輩と落ち合ってバーに向かうと電気が消えている。先輩が躊躇せずドアを開けようとし(何なのこの人)、それは開いた。暗い店内にいるマスターと先輩が何やら言葉を交わし、戻って来た先輩が「まだだって」と言う。
 「何時からなんすかね」
 「さあ。もう少し後って」
 いや、何時からって言えよ。何なのあのマスター。それが江古田なのか?


 どうするー、どーでもいーよなー、と先輩が以前から気になっていたという店「えんや」に入る。いや今夜はエンヤじゃなくて頽廃的にイーグルスだったんですがまあいいか、と入ってみれば流れているのは80年代ポップス。そらそだわな。エンヤ流れてる居酒屋ねえよな。あっても行かねえよ。

レバテキ。今夜のスターは君だ。旨かった。これレバーなんだ……
いきなり出汁茶漬け(梅)から始めるおれ。いいじゃねえかおなかすいてたんすもん

 先輩:「なんで食う前に撮らないの」
 おれ:「だってですよ。料理目の前にあればさ。これでも成長したの」

 以前は撮らずに食ってたからね。カラの皿をアップしかけてたからね。

串焼きはいつだって美味しい。あ、先輩勝手に「塩」って決めたよな。おれも塩がいいんだけどさ
先輩がビールからのハイボール(トリス)で、おれがジンソーダからのハイボール(角)で

 先輩に「いつもワケわかんねえ風景写真送って来んな」と文句を言う。

 おれ:「説明抜きだから『これどこなんですか?』って一回挟むじゃん」
 先輩:「それが狙い」
 おれ:「なんでだよ。最初っからどこって説明すればいいじゃん」
 先輩:「そしたら『そうなんですね』で終わるじゃん」
 おれ:「それの何がダメなんすか。いいじゃんかよそれで!」
 先輩:「つまんないじゃん」
 おれ:「……何が? 分っかんねえわー」

 先輩は謎だ。そしてデートに消えた。なんなのあの人。料理うまかった。


おまけ。

ペコちゃんと並んで座れるベンチが東京にはある。おれは絶対座りたくないが


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