おい西武(池袋の)
シャッター降りてて怖かったんだから! 営業終了て! 落ちつけおれ。
地球というか文明というか人類というか池袋が滅びる感覚
いや休館日もあるだろうし改装だってあるし当たり前にね。でも最初に目に飛び込んで来たのが「営業を終了」という文言だったのでびびった。ただでさえ池袋駅前はね、大型デパートが大型家電店になって風景一変するとか言われてたじゃないですか。だからすぐ動揺すんのよこっちは。
[ GRAMERCY ] NEW YORK、行きたかったのに……
[ GRAMERCY ] NEW YORK は必要なんだ
夏季休暇明けに、地元じゃ何も買わなかったので代わりの何かを職場に持って行こうと思って、西武に行ったのだった。うどん食うついでだったし。手土産に程よいと思っているのがグラマシーニューヨークで、西武池袋にはそれ目当てで立ち寄ったんですね。
さっさと東武へ
貼紙なんか見てねえよそもそも7階まで上がってグラマシーなかったらどうすんだよもう切り替えて東武行くぜ、ということで東武へ。手のひら返しがひどいですよね。これだから都市生活者は冷たい言われるよね。ユーハイムのクランツが残っててホクホク。これだけは自分用。
あーもう今回はフィナンシェとかでいいかな無難だよな、と購入してから、東武にも [ GRAMERCY ] NEW YORK があることに気づいた。思わず「えっ」と声に出してしまう。スタッフの方が気づいてフィナンシェとクランツ持ったおれにレコメンドして下さる。紙袋の数よ。これ以上まだ買うと思うかね。どんだけ甘いもの好きに見えるんだ。慧眼にビビる。
「いや西武さん行ったら閉まってて。東武さんにもあったんですね……」
「いまあちらも7階の特設会場で営業させていただいてるんですよ」
「(いやライバルのことまで営業?)ここにあるからいいですよ」
さり気なく「こっち来てみて良かったな……」と添える。
素敵な店員さんだから買わざるを得ないじゃんか。おれは少年のような好奇心とナイスミドルな落ち着きの絶妙バランス全開モードに切り替える。牛くらいなら殺してしまうと村長から永遠に封印されたRYOJIスマイル。この力ゆえ村民たちは我を恐れ追放した、のだが。たまに優しく目をのぞき込むが決して女性店員のボディラインは見ない(ゲイだしな)。あくまでも商品に子どものような嬉しさを向け、低くも柔らかい声のトーンで適度な質問。「悩んじゃうな」と小首をかしげる。そろそろ東京も追い出されるの?
――ここまでして、その実ただのちょろい客である。
いいんだもん。買われたお菓子の数だけ社会に笑顔が増えるもん。そして店員さんは持ち歩きの不便さに他店購入の紙袋までまとめようと申し出て下さったのだが、その時に「他店の紙袋の中にグラマシーの商品を」入れたんですよね。どこの店でも自分とこのブランド名を表にして見せてほしいものなのにさ、こういうところでファンになっちゃうんだよなあ。
[ GRAMERCY ] NEW YORK。ケーキもすこぶる旨そうで、店舗も撮影したくなる。やっぱり通ってしまう。GODIVA愛 と近いものがある。
東武からの帰り、やっぱり気になって、西武の7階にこそ立ち寄らなかったものの、営業してることを実感するため屋上に上がった。どこかに行くなら屋上だろ。そうしたら、ああ金魚のお店、閉めたんだなと。
東武の屋上から金魚やさんが消えたときも、ものすごく寂しくなった。そのときは、西武池袋線の中村橋駅ちかく(富士見台駅寄り)に移転してくれたので、何となくホッとしたものだったのだが。
やっぱり大きいデパートは、あまりにも心に入り込んでいる。生活じゃない、心にだ。いや、それは大きなデパートに限らない。店のにおい。店員さんの声。客が経営を支えられるなんて幻想なんだろう。丁寧に包装された商品と紙袋のにおいにワクワクし、大切な人を思う帰り道に、ありがたみを感じる。また来ます、だから元気で。