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PID制御の作法 part2

前回はPID制御の種類を紹介しました。
今回はPID制御の特徴や選び方を伝達関数から見てみたいと思います。

例として車の速度を自由に制御することを考えます。

運動方程式はニュートン先生のあれになります。
$${ma=F}$$
車の質量を$${m}$$、力$${F}$$にPID制御を適用し、センサから車両速度$${v}$$[m/s]を計測できるとします。目標車速を$${v_t}$$とすると運動方程式は以下のようになります。
$${ma=K_p(v_t-v)+K_i\int{(v_t-v)}+K_d(\dot{v_t}-\dot{v})}$$

上の式をラプラス変換し目標車速から実際の車両速度までの一巡伝達関数を算出すると以下の通りになります。
$${\frac{v}{v_t}=\frac{K_ds^2+K_ps+K_i}{(m+K_d)s^2+K_ps+K_i}}$$

ここで上記の伝達関数は分子にラプラス演算子がある項が2つあります。
これがオーバーシュートすることを意味します。
分子にsの項があることで目標車速が急激に変化すると車速も急激に変化することを意味します。

したがって、以下のような伝達関数にすることが望ましいです。
$${\frac{v}{v_t}=\frac{K_i}{(m+K_d)s^2+K_ps+K_i}}$$

これは2次系伝達関数、2次のローパスフィルタの伝達関数と同等の形になります。つまり、高周波数はカットされ低周波数は目標車速と実車速が0[dB](1:1の関係)になることを意味します。目標車速通りに速度制御できるということですね。

この制御系の場合、2次系にするには比例・微分選考型PID制御を適用することで実現できます。

$${ma=-K_pv+K_i\int{(v_t-v)}-K_d\dot{v}}$$
↓ラプラス変換
$${\frac{v}{v_t}=\frac{K_i}{(m+K_d)s^2+K_ps+K_i}}$$

このように考えることでより最適なPID制御方式を選定できます。


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