小説のテーマって何だろう
私の小説にはテーマが無い、あるいは薄いと言われることが多い。それなりにプロットもあるし登場人物も描けていて、文字数も20万文字くらいなら特に苦もなく書ける。でも、テーマが無い。
理由は自分でも何となく分かっていて、物語を綴ることはできても、それは単に文字を書き連ねているだけで、特に人に訴えたいことやものがあるわけでは無いからだ。書く行為自体が私の興味の対象であって、それを人がどう評価するか、どう感じるかはあまり考えていない。
それは、多分、私が人に興味がないからでは無いかと考えている。と言うより、人と接すること、人に深入りすることを避けているからかも知れない。人の感情の動きや起伏を感じ取るのが人一倍強い私は、普通に人に接していると疲れ果てて何もかも放擲したくなるのだ。
ある程度距離を置いて、それなりに良い人を演じて、八方美人に振る舞えるが、心の中は決して相手の感情を受け入れているわけでもなければ、寄り添っているわけでも無い。常に別の自分が第三者の視点で見ている。これは、多分自分の心を守るために身体が勝手にそうしているのだと思う。
そんな私にテーマのある文章を書くことが出来るのだろうか? 嘘でも良いからテーマを決めて、それに沿うように書けば良いのだろうか。小説を書いている人は、そんなに他人に興味があるのだろうか。他人を観察したり表現しようとすると疲れたりはしないのだろうか?
あー、でも今この文章を書きながら気付いたのだけれど、小説家って早死にが多いような気がする。人を書こうと、他人の人生を描こうとすると、やはりそれなりに命を削ることになるのではないか。
私にその覚悟があるか。還暦がもう近くなった今となっては、ただでさえ残された時間は短い。命を削っている場合では無いのではないか。
などと考え始めると夜も眠れなくなるのである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?