俺が映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』をぐだぐだウジウジしながら観に行けない理由〜ジェームズ・キャメロンの馬鹿野郎〜
今年ももう12月って事でファミリームービーの大作がわんさか出てますね。
アナと雪の女王2にこないだ大ヒットしたジュマンジの続編、シャイニングの続編に…
続編ばっかだな。
まあそれはいいとして、今回の話のネタは続編というか仕切り直しというか、もう何が何だか分からないターミネーターシリーズの最新作。公開からだいぶ経ってるけど。
最初に言っておくと、今作を俺はまだ見ていない。
にも関わらず、今もこの震える右手で文字を打ち込む事を止められない。何故なのか。それほどまでにターミネーターシリーズには個人的な、忸怩たる想いがある。
俺個人の考えでは、映画そのものの質も含めると最高傑作はターミネーター第1作目だと思う。
というかこの1作目の頭から終わりで綺麗に丸く収まっているというか、タイムパラドックスの問題を考えずに気持ちよく終われる最高の着地をしてると思うので、極端な話、これ以降のシリーズは自分で自分の首を絞めてるとも言えるような。
日本ではシュワちゃんの愛称で親しまれて長いけど、初期シュワルツェネッガーの"無表情で怖い筋肉殺人マシーン"を正統派シュワと捉えるなら(?)それが味わえる唯一のターミネーター作品でもあるわけ。
え!?シュワルツェネッガーが幼稚園の先生に!?
え!?シュワルツェネッガーが妊娠!?
恐らくこの辺りのコメディー作品のイメージもお茶の間でお馴染みの"シュワちゃん"感に貢献したのでは。どれもゴーストバスターズ等で有名なアイバン・ライトマン監督作。全部出オチ。
そしてみんな大好きターミネーター2。
もちろんエンターテイメント作品として優れてる要素、子供の頃にVHSが擦り切れる程見た思い入れ、感動のラスト。素晴らしい作品である事は理解してますよ。
ただこのT2という作品の存在は矛盾を生んでいるのも有名なので皆さんご存知でしょう。
ターミネーターのコンピューターチップを壊してジャッジメントデイを無かったことにできるなら、そもそもターミネーターも存在しないのでは?というかジャッジメントデイが回避出来たならカイルを送り込まなくていいので、ジョン・コナーも生まれないのでは?
アイルビーバッグじゃねえよ。
その問題の尻拭いをさせられてるのが、来ました問題作扱いの
ターミネーター3
ちなみに個人的にターミネーター3はホントにめちゃくちゃ大好きで、世間の皆様の駄作扱いに心底腹が立っている。
⭐︎好きな理由その1
自分は世界を救う救世主だったはずなのに…という鬱屈を抱えながら生きてきて完全にダメ人間ボンクラ青年と化したジョン・コナーが愛おしい!
ジョン・コナーまさかの日雇い労働者。てかやっぱ改めて見てもめちゃくちゃ華のない演者だなこの人。この設定が本国では相当不評だったみたいだけど、個人的には「いや、こうなるでしょ」って思うし、ジャッジメントデイが回避されたタイムラインならこの親子は1番やばいタイプの陰謀論者達。とにかくダメなジョンに感情移入しまくれる。のび太的なダメさだよね。今作のシュワはドラえもん。ダメ人間の話が好きっていうのもあるけど。
⭐︎好きな理由その2
スカイネットの解釈と超絶煮え切らないB級SFっぽい結末
要は先程挙げた、"コンピューターチップを破壊してジャッジメントデイを回避した"というT2のオチを丸々ひっくり返す「実はどう足掻いてもジャッジメントデイは回避できない」という元も子もない展開。人類はほぼ滅亡するし、ある意味バッドエンド的というか。でも個人的には、スカイネットの解釈"そもそもスカイネットはネット上のソフトウェアだから破壊しようがない"ってのは1番納得出来るし、T2からだいぶ経って作った続編だから"ネットワーク"っていう概念を時代的にみんなが理解できる形で映画に持ち込んで解決できたって考えたら、やっぱT3の功績はデカいと思う。前作からのタイムパラドックス問題の尻拭いもしつつ、最後にしっかりジョンが立ち上がる。暗いオチだけどホントに大好きな作品。
そんで更に分が悪い感のあるターミネーター4。
そもそもジャッジメントデイの後の話だからみんなが考えるターミネーター感が限りなく希薄なのが1番問題なのかも。でもアクションはちゃんと派手だし、外連味もあってかっこいい。ターミネーターシリーズじゃなかったらもっとましな評価をされてた作品だとは思う。
あと映画館で見てて合成シュワのサービスには普通にアガった。
この後しばらく間が空いて、ターミネーター:新起動/ジェニシスが来るわけだけど。
これが公開された時に1.2の監督ジェームズ・キャメロンが
「これが正統な2の続編だ」
とか何とか言い出してホントに悲しくなった。今回のニューフェイトでも似たような事言ってるよね。まあ新作はゴリゴリに製作に絡んでるからだろうけど。
まずジェニシスの愚痴から片付けておくけど(?)
・"違うタイムライン"の登場。何でもアリと言う名の作りの緩さ。
・今作で立ちはだかる最大の敵の事を考えたら、『やっぱカイルとサラがセックスしなけりゃ良いんじゃね』って考えが映画を見てる間ずっと頭に浮かんでしまう。
雑だけどこんな感じ。液体ターミネーターT-1000をイ・ビョンホンがやってたり、楽しいとこもあるんだけどね。
とにかく先に挙げたキャメロンの発言には心底ガッカリした。創造主だからって何でも言っていいのか?お前はジョージ・ルーカスか?と。
話がそれるけど、ジョージ・ルーカスと言えばスターウォーズシリーズの生みの親で、新作ソフトが出る度に過去の作品をCGとかでちょくちょく変えたり、セリフを変えたり、あげくオリジナル版を公式には見れないようにしたり、って完全に創造主だからって踏み込んじゃいけない領域まで踏み込んでる人。
この下2つは偏愛の部類だけど。笑
俺の敬愛するRHYMESTERの宇多丸氏の論説を借りるならば、例えばSBTWのJudgement EPを今の技術で録り直して、以前の音源を全く聞けないようにする、ってそれはやっぱいくら制作者とはいえ、倫理的にアウトですよねって話。1度世に出したものって公共物でもあるわけで、こういう倫理観の乏しい人、ましては世界的な作家がこういうだらしない感覚の持ち主だとホントにガッカリする。
キャメロンよ。世界にはあなたが関わっていないターミネーター作品を愛している人もいるわけだ。
分かったから。
分かったから、黙っていてくれ。
そしてこんなものを書くのに時間を費やしている暇があったら、映画館に行けって話ですよね。
今回の監督のティムミラー、才能あると思ってますよ。デッドプール面白かったし。
そのうち行きます。