『猫島ハウスの騒動』若竹七海


久しぶり、ほんとうに久しぶりに若竹七海のミステリー。

猫の楽園の小島、その隠れスポットのビーチでナイフが突き立てられていた猫の剥製人形が見つかる! なんのイタズラとおもいきやそれはブツを隠した入れ物で……。

登場人物が多くて誰も彼もが一癖も二癖もある造形。それぞれが道化のようでもあり探偵役が誰なのかちいっともわからない! って、えええー、あなたがそうだったの?!

残念ながらぼくは猫愛に乏しいらしく、すべての登場猫がなんらかの小説に登場していると言われてもどれがどれやら。しかしどれもこれも当たり前の猫らしく、多彩な登場人物はきちんと人が立っておりでとにかく読者に優しい。
ちゃんと「さあここですべてのカギは揃いましたよ」の宣言もある。きちんとしっかり「ミステリ」。そして嫌な人が嫌味に描かれず、殺伐さもなく全体にのどかで(でもきちんと殺人事件が、それも三つも! 起こり)、ご飯はおいしそうで三億円事件という通奏低音もしっかりスパイスとして働いていて。

やっぱり若竹七海さんはすごい。

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