孤高のアダルトライターにだって仲間は必要さ【最終報告書】
人の見え方など簡単に変わる世の中らしい
実に愚かな生き方をしてきたと思う。
学もなければ特技も資格も持たない、好きなものは酒と男、そういう自堕落で落ちこぼれな人生だった。
しかし世の中には捨てる神あれば拾う神あり。
爛れた性生活と刹那の夜遊びを繰り広げてきた俺には「アダルトライター」や「風俗ライター」という、クールなんだか間抜けなんだかよくわからない肩書きが一応付き、日々こうして労働を重ねることでなんとか社会との繋がりを得ることができた。
労働とは尊いものだ。
この年齢まで俺は自分を馬鹿だと思って生きてきたし、そのうち住所不定無職の状態で野垂れ死ぬと思っていたし、周囲からの評価も概ねそういう感じだった。
しかし俺がバイブレーターや熟女AVやホストクラブやピンサロ花びら3回転について記事を書き、そこに金銭が発生するようになると、途端に俺はどういうわけか「ちゃんとした社会人」へとグレードアップしてしまった。なんでやねん。
どんなに馬鹿な生き方をしていても、それを金に変えていれば人はそれなりの目で見てくれるのだな、と思った。
そういう仕事を見つけられたことは幸福だったとも思う。
月1回の飲み会で運命は変わるかもしれないじゃないか
新しい働き方LABの3期生として参加したのは、エロ専門のライターとしてそこそこ仕事がもらえるようになった、そんな時。
当時の俺はもがいていた。自分が何者であるか、ということに。
俺のような人間が、文章を書くことで糊口を凌ぐことができているだけで十分ラッキーであることはわかっていたが、人間の承認欲求とは恐ろしい。
俺はあろうことか「もっとちゃんとした人になりたい」と願ってしまった。
具体的にどういうことかというと、エロジャンルから脱却したいと思っていた。
当時の俺はどこかでアダルト記事を書き続けることに恥じらいを感じていたのだ。
物書きとは、ライターとは、もっと高尚な仕事だと思い込んでいた。
自分の書いたスケベな記事がグーグルの上位にあればあるほど、何故だか世間の目を避けてうつむき加減で歩きたい気分になった。
それを相談できる相手はいなかった。
自分で言うのもなんだが、俺には友達が大勢いる。しかしそれは下ネタや、恋愛相談や、最近ハマってる芸能人の話をする友達である。
俺には仕事の愚痴や相談事を話す友達も仲間もいないのだ、とその時唐突に思った。
だからランサーズブートキャンプ同期の2人からあたらぼへの参加を持ちかけられた時、俺はふたつ返事で承諾した。
俺たちのチーム企画は『仲間と定期的に集まることで仕事や私生活のQOLはどう上がるのか』というものだ。
オンライン秘書のさとみさん。
金融系ライターのえいみさん。
そしてアダルトライターの俺。
なんだかよくわからない取り合わせにも見えるのだが、とにかく、半年間月1での定例会が始まった。
定例の内容は毎回その場のノリだ。
恋バナもするし、酒も飲むし、寝落ちしたりもする(俺が)
しかし自然と仕事の話にもなった。
一見共通点は無いように見える業務内容でも、フリーランスにはフリーランス特有の悩みがそこにはあり、みんな似たようなことで頭を悩ませてるんだな、と気が楽になったりもした。
俺が仕事で観た変なタイトルのAVや、最新のアダルトグッズの話をしても、2人はちゃんと毎回爆笑してくれる。(1番の鉄板ネタは俺が取材した毒舌占い師の話だったが)
「エロは明るいから好きなんです」の人として有名になりつつある
研究員期間の間に一度、さとみさん経由でTAKAさん、きむかつさんとのTwitter(X)スペースにゲストとして呼ばれたことがある。
これを読んでいるあたらぼ・ランサーズ関係者ならまあ説明不要だと思うのでビッグネーム2人の紹介は省くが、そこで俺は「エロは明るいから好きなんです」と言った。
我ながら金言だったと思うのだが、その言葉が自然と口から出た時、俺はようやく自分が「ちゃんとした人になりたい」という呪いから解かれていたことに気がついた。
俺はエロい記事を書くのが好きだし、得意だし、人よりもよく知っている。
そういう記事を書いて金を稼ぐ人間であることに、俺はもう少しの恥じらいも持っていない、と。
そう思えるようになったのは、夜な夜な俺の下品な仕事相談を、時に真摯に、時に笑い飛ばしながら聞いてくれた2人の仲間の存在があったことは間違いない。
エロには、俺の書いた記事には、そうやって誰かを笑わせる力があるのだ。
そして時にはすけべなおっさん読者をエレクトさせたりとか。こんなに楽しいことが他にあるだろうか?
そしてそれ以外に研究員期間にあったビッグイベントといえば、今期のブートキャンプにゲスト講師として登壇したことと、先日のLOYである。
ブートキャンプ講師のおふたりも、俺が生徒さんたちの前でアダルトライターですと連呼することを嫌がらなかったし(多分……)また出て欲しいとまで言われた。
俺は偉そうにその場で「単価が高いけどつまんない仕事を1本するなら、安くて楽しい仕事を2本こなす」などと言い放った。
2人との定例でもそうだったし、スペースでも、講師業でも「誰かに話すこと」で見えてくる自分の本音というのは多いように思う。
だからこそ、進んで孤独になりがちなフリーランスは、積極的に他者とのコミュニケーションを取る必要があるのではないか。
あなたが思うほどあなたの悩みは大きく無いかもしれないし、あなたが思うほどあなたは愚かでも無いかもしれない。1人で思い悩んで頭でっかちになってしまった時は、誰か信頼できる相手に話すべきだ。
少なくとも俺がこの半年間で学んだことはそれに尽きる。
LOYではたくさんの人に声をかけてもらって「あ、なんか面白いこと書いてる人だ」と言われて、イケメンともたくさん名刺交換できたので満足である。
そう、俺は最高に面白いし、最高にクールな男である。少しばかり尻軽なだけで。
難しいことはわからんがエロと恋愛のことならよく知ってる
世の中には難しいことがたくさんある。働くって大変だ。
何もかもがどんどん変わっていくし、AIとかもあってフリーランスはこれから身の振り方を考えねばならないのかもしれない。
俺のようなふざけた記事を量産している人間など、簡単に淘汰されていく可能性もある。
学がない俺に難しいことはわからないが、しかし今回あたらぼ研究員3期生になった時、1番最初に書いた計画書にも俺はこう書いていた。「仕事と恋愛は似ている」と。
今でもその考えは正しかったと思う。
そして難しいことはわからない俺だが、恋愛のことならよくわかっている。
つまりこういうことだ。
いつだって本当に恋愛(仕事)に必要なのは、愛を囁き合うこと(業務)でもなく、完璧な恋人(クライアント)でもなく、ダメになりそうな時自分をキャッチしてくれる友達(仲間)の存在なのだ。
セーフティーネットの存在があれば、新しいことに挑戦する勇気だって湧いてくる。まあ、なんとかなるやろ。
半年間、俺を支えてくれたさとみさん・えいみさん。
そして仲良くしてくれた3期生の皆さんへ、愛をこめて。
追伸 最後まで読んでくれたあなたへ
最近1番おすすめのアダルトグッズはスマホ連動式バイブレーターです。