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「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」を読んで

高齢社会が進展し、最近では「人生100年時代」と至る所で言われるようになりました。平均寿命にかかわる様々な統計で長寿化のデータが示されていることがその根拠の一つだと思います。

私自身としては、今以上に高齢社会が進むことについて、あまりポジティブなイメージは持っていませんでした。少数の若者が高齢者を支えることになったら、財政の負担はどうなるのか、高齢者の意見が今以上に強くなることで、若者にとって一層住みにくい時代になっていくのではないかといった疑問がありました。ある新聞社のアンケートでは、日本で子どもを育てることに希望を見いだせない若い世代の悲観的な意見が多く取り上げられていました。

本書では、健康寿命が延びることにより、これまで時代で多くの人が経験してきた「教育・仕事・引退の3つのステージが順番に訪れる時代」が終わることを予測しています。3つのステージが入れ替わり立ち替わり訪れるようになる、ということは、人生の様々な段階で、仕事を辞め次の仕事に移る前までの間に「移行期間」を設け、新しいスキルを習得したり、引退を特に定めないで、複数の職業・複数の収入減を持ちながら働いたりすること(ポートフォリオワーカー)が可能になります。年齢を基準にした均質性の高い社会が解体に向かい、異年代が混ざり合う時代が訪れます。

長い人生を生き抜くための金融の知識も一層必要になりますし、健康に投資する重要性も増します。そして、家族や職場の同僚、自分の子どもを通じた親同士のつながりだけではない、世代を超えた幅広い人間関係や地域との関わりが、健康で豊かな人生のカギになってきます。

新しい働き方をする人が増えれば、年齢を基準に採用・昇進させていた企業の雇用の方法も変わりますし、政府にとっても高齢者に対する一律な社会保障は難しくなりますので、低所得者向けの対策に財政を振り向ける必要が出てきます。

100年ライフというのは、自分の人生を自分で設計できようになるという意味では非常に魅力的ではありますが、同時に、時代に常についていかなければ取り残されてしまうという恐怖が消えないという意味では不安定な時代とも言えます。

私個人としては、仕事や学びを通じてスキルを磨き、ポートフォリオワーカーを目指したり、一生続けられる趣味を始め、それを通じて多くの方とのつながりを作っていくことなど、本書によって新たな生き方の指針を得ることができました。具体的な一歩を踏み出していきたいと思います。

それと同時に、仕事も、学びも、遊びも、一生楽しんで続ける姿勢を持ち続けたいと思います。本来、仕事や学びには目的があり、それに向かって取り組む必要がありますが、一方で、仕事そのもの、学ぶことそのものにも意義があると思います。自分の中に無かった刺激を得ることのできる、人生を豊かにするとても魅力的な行動といえます。新たな自分を発見する機会にもなります。

仕事も、学びも、遊びも、それらの間に厳密な境界を設けずに、どれも前向きに取り組むとともに、これから起こるであろう多くの失敗も受け入れながら、変化を楽しんでいける人生にしていきたいと思います。

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