【タイムカプセルをあなたの中に】
人間は忘却の彼方の生き物だという。
だからこそ、嫌なことを忘れて前に進めるんだと人は言う。
「人は感謝も恋も忘却する」
旅中の僕は、このことを残念に思っていた。
2014年、USAのサンディエゴに僕はいた。
日本を出てから6年。
そのときの僕はこんな風に日記に書いていた。
「きっと僕はこの旅が終わって、日本での忙殺の毎日に記憶を失っていくんだ。
今、生きていることを自分の人生史上、最高に感じている。
この想いは忘却の彼方へと消え、記憶は風化し、上書きされる。
だから僕は記憶を失ってもいいように、みんなの中に自分のかけらを置いていく。
まるでタイムカプセルを地面に埋めるように、宝箱を大切に隠していく。
再会したとき、きっと今の自分を好きでいられている自分を思い出せるはず。
彼女のような存在は僕のタイムカプセルなんだ。」
8年ぶりのエミちゃんとの会話は、22歳にタイのアユタヤで出逢った時のように、柔らかくて温かい風が吹いた。
僕は彼女の中にタイムカプセルを残すことに成功したようだ。
《2014年12月31日のブログ》
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