刈り上げに駆られる

ときたますごく髪の毛に関する全てのことがめんどくさくなることがある。
シャンプー、ドライヤー、寝ぐせ直し、髪を染めているわけでもなければそこまで長い訳でもないのでやること自体は少ない方だと思うのだが、多少クセ毛で朝は髪を洗わなければならない、それがとてもとてもめんどくさい。
形状記憶合金のようにどんなに崩れようがある温度で温めればでmaxイイ感じのセットの状態に戻ったりしないのだろうか、もしくは2年後のフランキーのように鼻を押すだけでいろんな髪型にならないだろうか。とても憧れる、髪の毛がケラチンではなく形状記憶合金で生えてこないだろうか、もういっそのこと形状記憶合金になりたい。

そんなときに『あ~、坊主にすりゃ幾分楽だわ、坊主にしたいな~』と思う。坊主というのは髪型としては最大級に”楽”なのだ。短すぎるあまり寝ぐせも付かず、短すぎるあまりドライヤーをかける必要もない、確かに2か月ほどでそこそこに伸びてしまうので定期的にバリカンで刈らなければならないのだが、その労力を加味してもトップofトップで楽だ、ナンバーワンだ。

なぜ僕がここまで坊主の生態ついて知っているかと言うと、10年ほど野球をやっておりまさしく坊主頭の坊主だった。そう、僕の人生の中で10年間も坊主で過ごしたのだ、それに中高とおしゃれしたがりの時にだ。当時は『坊主嫌だな~、俺もトイレで髪いじったりとかしてみたいな~』など思っていたのだ。

そんな経験があり、今現在坊主にしたい衝動に駆られても『いやいや、お前10年も坊主だっただろ』と踏みとどまっている。まだ僕の中では10年という期間が”人生の大半”という枠の中に存在しており、刈り上げるには至らない。あぁ、過去に捉われて生きるというものは辛いものだ、なんともなんとも…。

僕は現在一応ツーブロックにしている、ツーブロックという髪型をイマイチ理解していないので詳しくはわからないが横と後ろを刈り上げている、いや、サイドとバックを刈り上げている。この感じの髪型にしてからは4年ほどでそれまではソフトモヒカンやジェットモヒカンにして過ごしていた。
坊主頭を100%刈り上げとすると今の僕は頭の表面積的に30%刈り上げ、30%坊主ということになる。
4年で30%、つまり8年で60%もしくは51%坊主になる。前者の場合16年後には100%完全体坊主に、後者の場合は約30年後には99%坊主になる。はたして99%坊主とはどんな形だろうか、浅草ではなく佐賀県の方のはなわみたいな髪型だろうか、それとも鴨川会長のような髪型だろうか、どっちになるか楽しみだ。「未来を想像しながら生きる」と誰かが言っていたが、なるほどこういう事だったのか、今この瞬間言葉ではなく心で理解した。

禿げてきたら坊主にする。いや、自分が現実とどう向き合うかわからないが今現在の僕はそう考えている。
ただこれには問題があり、頭頂部や後ろから禿げてきてしまうと自分で気づくことが難しいということだ、なので前から禿げてきてほしい、あくまで禿げるならば…。ただ自分で気づくということは、洗面所に立つ度に『あれ?おれ禿げてきた?いやいやそんな事ないでしょw』と思う羽目になる。いや、洗面所だけならば一日数回でいいのだが、トイレの手洗い場、ショーウィンドウ、夜ふと外を見たとき、車で日差し除けを出したとき、写真撮るとき間違ってインカメになっちゃってた時、寝ようと思ってスマホを消したとき…、一日に何回何回も『あれ?俺禿げてきたかな?』と思ってしまう、もうそのストレスでハゲが進行する、どちらにせよ辛い。
中学の時「やい、ハ~ゲ!」「ハゲじゃねぇよ、坊主だわ!」なんて会話をしていたが、まさか「坊主ですか?」「いやハゲです」という会話をする可能性があるとは、なんとも皮肉である。

はたして、禿げてきて諦めて坊主にするのか、10年という期間を乗り越えて坊主にするのか、流れに任せ99%坊主になるのか、形状記憶する髪の毛を生やす能力を手にするのか、科学の島パルジモアで修業しサイボーグとなり髪型を変えられるボタンをつくるのか、未来を想像しながら生きている僕でもどうなるのか見当もつかない。”変化が激しく未来を予測できない世の中”とはよく言ってものである。

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