浅沼肇

はじめまして、浅沼と申します。私の妻が抱える難病(多系統萎縮症)との共に歩む日々を赤裸々に綴っています。同じ境遇の方々と共感し合い、互いに力を与える場となれば嬉しいです。💻:凌駕プレス(https://ryogapress.com/

浅沼肇

はじめまして、浅沼と申します。私の妻が抱える難病(多系統萎縮症)との共に歩む日々を赤裸々に綴っています。同じ境遇の方々と共感し合い、互いに力を与える場となれば嬉しいです。💻:凌駕プレス(https://ryogapress.com/

最近の記事

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№1 これまでの順子さん ~発症~

順子さんの病気は、多系統萎縮症(MSA)といいます。 僕がこの病名を知ってから4年の月日が流れました。 順を追ってお話ししますが、当時は病院を渡り歩き、どうも小脳に関係する運動障害ではないかとの医者の見立てを得ました。そこで、はじめて知った病名が、「脊椎小脳変性症(SCD)」と「多系統萎縮症(MSA)」でした。 この記事は、順子さんに起こった事実を書いております。そして記事には、順子さんのそばで、順子さんとともに暮らす患者家族の僕が感じた主観的なおもいが多分にふくまれており

    • №1 お困りですか順子さん ~阿吽~

      僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 順子さんの病気(多系統萎縮症)は、回復の見込みのない病です。たくさんの困ったことが順子さんの身体に襲い掛かるわけですが、その中のひとつに「構音障害」というやっかいな症状があります。 「失語」という病があります。文字のとおり言葉を発することが部分的に、あるいは完全にできなくなることで、患者本人に言葉があっても発語できない場合や、脳の損傷で言葉そのものを失う場合があるそうです。 言葉を作る

      • №10 これまでの順子さん ~排泄~

        僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 順子さんの病気(多系統萎縮症)は、回復の見込みのない病です。小脳や自律神経といった人の生存にとって大切な場所に、わけのわからない、生きていくには最悪な変異が起こって、だんだんと普通の生活が困難になってゆく、極めてやっかいな病気です。 今の順子さんは歩けません。立てません。4年前にこの病気の診断を受けた頃は、「ふらつき」や「めまい」がありましたが、自分の足で歩いていました。しかし、数か月す

        • №9 これまでの順子さん ~入院

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 順子さんと同じ病気に罹患した著名人に、2018年にお亡くなりになった西城秀樹さんがおられます。「脳梗塞」でなんどか倒れられ、その後、後遺症が残る体で活躍されている姿をテレビ映像で見かけることがありました。僕とは同世代で、いわずもがなの「昭和の御三家」、西城さん、野口五郎さん、郷ひろみさんは、当時、アイドルにはまるで興味のない僕でも知っている大スターでした。 最近、その西城秀樹さんの奥様、

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        №1 これまでの順子さん ~発症~

          №8 これまでの順子さん ~虚飾~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 順子さんの発症が、僕がこの闘病記を書こうと思った発端でした。『凌駕プレス』という個人マガジンサイトを立ち上げて、記事にしました。しかし、仕事や介護などに忙殺されて、3年近く更新もせず、よくあるゾンビサイトとして今でも存在はしますが、継続する気力が失われています。 この記事は、この『凌駕プレス』の記載した記事をベースに、拙い文章をリライトして、再構成して、Noteでお届けしています。 「

          №8 これまでの順子さん ~虚飾~

          №7 これまでの順子さん ~信頼~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 たぶん発症から5年、ただしく診断から4年がすぎました。 多系統萎縮症には、大きく3つの症状があります。 ひとつめは、脊椎小脳が壊れていくために生じる運動失調です。歩けなくなり、ろれつが回らないしゃべり方で、食事も自分ひとりではできません。夜間にイビキをかくのは、咽喉の失調で、呼吸障害があって、酸素吸入器を使っています。 ふたつめは、自律神経失調です。失禁や体温調整の不調があります。夏

          №7 これまでの順子さん ~信頼~

          №6 これまでの順子さん ~側杖~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 世の中には、見ているはずなのにもかかわらず「見えないもの」があります。世の中に存在しているのに目につかないものがあるのかもしれません。 たぶんそれは、その存在に気づいていないことが原因かもしれません 昔、子育てをしている頃、自分の子どもたちと同世代の子どもたちが、街に急に増えたように感じたことがありました。「こんなに子どもがいたっけ」といった感じです。順子さんと僕にはふたごの息子がいま

          №6 これまでの順子さん ~側杖~

          №5 これまでの順子さん ~診断~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 人が人になる前から持っている、生き物の成り立ちや生命の根源にかかわる神秘な世界、僕にはとても理解のできない脳の一部が小脳です。順子さんの病気は、この小脳が徐々に壊れていくという病です。 「考える」という人に与えられた力が脳にはあります。「コギト エルゴ スム(我思う、故に我あり)」。小脳が萎縮してうまく活動しないといっても、ものを考え、こころにもいろいろな感情が芽生えます。順子さんは、歩

          №5 これまでの順子さん ~診断~

          №4 これまでの順子さん ~告知~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 病名を告げられ、確定診断をうけてから4年がたちます。順子さんは、バリアフリーの室内で車椅子で暮らしています。最近では、介護ベットの中で過ごす時間も増えました。 ここに転居したのは2年前です。公営のバリアフリーな障害者住宅に運よく入居できたおかげです。 食事の用意は僕にたよっても、洗い物は順子さん。台所シンクは、車椅子でも洗い物ができる高さに設置され、水道の蛇口も手を延ばせば届く位置にあ

          №4 これまでの順子さん ~告知~

          №3 これまでの順子さん ~予診~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 2005年に放送された「1リットルの涙」というテレビドラマをご存じでしょうか。沢尻エリカ主演の人気ドラマで最終回には視聴率が20%を超えたそうです。このドラマは、同名の手記『1リットルの涙(木藤亜也)』を原作にしています。この著書は副題に『難病と戦い続ける亜也の日記』とあるように、「脊椎小脳変性症(SCD)」という回復不能な難病に罹患した木藤亜也さんの日記です。高校入試の15歳から、言葉と

          №3 これまでの順子さん ~予診~

          №2 これまでの順子さん ~進行~

          僕の妻の順子さんは、「多系統萎縮症(MSA)」という原因不明の難病に罹患しています。 僕が知る限り、発症から少なくとも5年以上が経過しているのではないかと考えています。現在では歩行ができない状態です。車いす生活を余儀なくされています。「構音障害」という症状があり、ろれつが回らないため、聞き取りにくい発話しかできません。食事の介助が必要です。トイレでのパンツの上げ下げに苦労して、僕の援助を求めることも多くなりました。夜の睡眠時にはCPAPという酸素吸入器を鼻にマスク装着して眠

          №2 これまでの順子さん ~進行~