2024/9/24
目的地まで残り11キロ。
運転可能距離6キロ。
既にガソリンのemptyマークは点灯している。
車の充電ソケットから電池が切れそうな携帯を抜き、30度を超える気温の中、マックスに付けていたエアコンを切って私は戦闘モードに入った。
私には、車に乗るときにいかにしてガソリンを使わないかをゲーム感覚で楽しむ習性があり、普段からガソリンの消費量を減らすためにちょっとした坂道でもギアをニュートラルに入れている。(車は、ニュートラル状態の時にはガソリンの消費量が著しく下がるのだ)
これをすることによって運転席に表示される燃費の数字が増えていき、それを見ているのが好きなのだ。
そして今、足りない五キロを埋め、無事に目的地に到着しなければいけない。
私が考えるべき課題は二つあった。
・止まっている時間を減らすこと
・ニュートラルに入れている時間を増やすこと
信号待ちなどで停車していてもタクシーのメーターは上がっていくように、車は止まっている状態でもガソリンは消費する。
つまり、このミッションをクリアするためには、
いかに信号や渋滞に引っ掛からず、ニュートラルの状態で進めるかが大事になってくるのだ。
私はアクセルをちょっと踏んだらすぐにニュートラルに入れて、右折車によって詰まっている場合には車線を変更し、三車線道路を縫うように車を走らせた。
他の車に割り込みをしたり、迷惑をかけた時の罪悪感は強力だ。
「ま〜じで申し訳ねえなぁ」とか呟きながら私の顔は引き攣った。
一歩間違えたら大事故になることを我々は知っており、生存本能が感情を揺さぶるのだろう。
冷や汗も含まれた色んな汗をかきながら、目的地まで5.5キロ、運転可能距離4キロまでどうにか漕ぎ着けたところで信号に捕まった。
このくらいになると何故か多少の冷静さが出てきていて、
スマホで、
運転可能距離 0 どれくらい進む
と検索した。
”大体の車は0になってから50キロくらいは走ります“
と書いてあった。
私はゆっくりと運転席と助手席の間に手を伸ばし、そこからツマミを思いっきり捻り、エアコンをマックスにつけ直した。
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