
旅行記:エジプト旅行での学び。日本人がこれからやるべきこと
先月(2023年11月上旬)の頭に前後の移動を含めて10日間のエジプト旅行に行ってきました。
欧米や東南アジアなどに何度も個人旅行の経験のある筆者としては、エジプト旅行は他では経験できない非常に学びの多い旅行だったため、ここに綴っておきたいと思います。
また、観光が国の外貨獲得のための主要産業であるエジプトの観光に対する姿勢から、衰退の一途を辿っている日本を救う手段として"観光産業"という観点で日本人が今後どうしていくべきかことついても感じることがので多々ありました。そこで、それを最後に個人的なアイディアとして記しておきたいと思います。
エジプト旅行の良かったところ
とにかく本当にマジで冗談抜きで遺跡が素晴らしい(語彙力すみません)
本当に感動したんです。。
エジプトのピラミッドや神殿といえば、誰もが知り憧れる神秘的な世界遺産だと思います。そのため、テレビや雑誌、学校の教科書でも何度も目にするものなので、エジプトの遺跡と言われて何もイメージができない人はいないのではないでしょうか?
それくらい誰もが一度は写真や動画などで目にしたことがある遺跡ですが、実際に行っても本当に本当に本当に素晴らしいです。
僕はせいぜい日本国内や東南アジアの世界遺産を観たぐらいですが、少なくともそれらアジアの遺跡とは全く比にならないと思いました。

何がすごいって3、4千年前の遺跡や壁画などほぼそのまま残っているところがたくさんあります。
「これって割と最近復元したんじゃないの??」って思うレベルです。
もちろん風化による崩れや劣化もあるのですが、結構そのまま残っているところもたくさんあります。
エジプト古代史において最も有名なファラオ(王様)であるラムセス2世の王妃"ネフェルタリ”をご存知でしょうか?
その王妃の墓では、壁画に着色された色まで鮮明にキレイに残っています。(エジプトの壁画は実は元々は色があったこともそれを見るまで気づきませんでした。。)


(アジアから来ると)異世界に来た感が半端ない
"アサシンクリード オリジンズ"というテレビゲームをご存知ですか?
プトレマイオス朝時代(古代エジプト史の最後の方)のエジプトを舞台にしたゲームで、オープンワールドでエジプトのピラミッドなどの遺跡や集落をゲーム内で自由に探索できるところが魅力の一つです。
僕はこのゲームの大ファンでして、このゲームをしながら遠くにあるエジプトの実際の遺跡などに思いを巡らせたりしておりました。
そして実際どうだったのか、というと割と結構そのままの雰囲気でゲームの中に入り込んだような異世界が広がってます。
建物はどこも土やレンガで作ったような色味や雰囲気の住宅ばかり。
少し街から離れるとすぐに道路が砂漠に囲まれるような場所で、アジアにいるとそう簡単には出会えないような光景が多く、冒険してる感が存分に味わえます


ナイル川クルーズが最高
クルーズ船って初めて乗りましたが、過去イチの"バケーション感"を味わうことができました。東南アジアにあるような割安4-5つ星ホテルのリゾート感あふれるプールとかは比べ物にならないぐらいです。
クルーズ船って一般的に高級クルーズ船で各国を廻るみたいなものが有名ですが、ナイル川という環境とエジプト独特の雰囲気(中東/イスラム圏と地中海の文化が入り混じっている感じ)がより"旅をしている”感を醸し出しており、異国の素晴らしい風景を見ながら普段の仕事を本当に忘れてリラックスできる環境がそこにありました。

エジプト旅行の残念だったところ
ここから事前に聞いていた情報や認識から異なり、現地に行ってみて初めてわかった"残念な”事柄になります
現地価格でサービスやモノを購入できる機会はほぼ無い
東南アジアでの旅行とかだと、国によりますが場合によっては現地価格でお得に飲み食いができたり、サービスを受けられたりします。
が、エジプトではそれがしにくい"仕組み"がしっかりと構築されていました。
エジプトでは観光客/外国人に対してのみなのかもしれませんが、モノやサービスの価格の透明性が非常に低く、基本的に定価が存在しないです。
じゃあ価格交渉すればいいのでは?と思っても、初めに提案される価格が(感覚ですが)現地価格の3〜5倍程度から始まります。
そのため交渉したといえどもある程度の金額(場合によっては日本と同額程度)でないと購入できないと思います。
観光地近くのお土産屋やコンビニっぽい商店などでも、現地価格でなんて買わせない感をおみやげ店のおっちゃんや露天のお兄ちゃんの目からひしひしと感じます。
最初は交渉を試みたのですが思った以上に安くならず、慣れない交渉自体もなかなか気力を使うので旅の後半では交渉すること自体に疲れてしまい、(移動の都合などで交渉している時間が無いなど)場合によっては提示された価格をそのまま受け入れたりしてました。
交渉を楽しめる&時間に余裕のある旅ができる方には問題ないと思うのですが筆者のように面倒に感じる方は、買い物の場所は例えば定価表示のある大きめのスーパーやショッピングモール、空港のお土産店などでするという自分ルールを決めておくだったり、タクシー等の移動や観光ツアーのサービス利用については基本的にネットやアプリ(Uber)の定価がはっきりと表記されているプラットフォームを使うなどの工夫が必要になるかと思います。
ちなみに、訳あって空港を出てからSIMカードを買うことになったのですが、普通にカイロの街の携帯キャリアショップ(Orangeという現地キャリア)のちゃんとした店舗でSIMカードを買いました。
しかし、そこでも価格表記がなくメモ紙に手書きで書かれたGB数と値段で購入を決めたりしました。(こんなとこでも定価がないのか、、と愕然としました)

(エジプトポンドの数字を5倍にすると大体日本円に換算できます)

(左が観光客、右が現地人向け。現地価格の約6-8倍になってます。)

外国人/富裕層向けに値段が定価の2倍程度に釣り上げられている
エジプトのチップ文化 ≠ 欧米のチップ文化
バクシーシって知ってますか?
説明が若干ややこしいのですが、こちらのブログでエジプトの"バクシーシ”についてとてもわかりやすくまとめてくれてましたので、こちらを読んでいただくと理解が早いと思います。
ここに書かれていることに筆者は100%同意です、、w
現地ツアーを利用するという前提の場合、ここに書かれていないことだけ少し補足しておきます。
日本でキャッシュレスの習慣が当たり前になっている場合、チップを払う度に現金を財布から出して数えて渡すという作業が非常に億劫になります。。
足りなくなったらなんとか工面して現金用意しなきゃ。。。という事も常に考えなきゃならずストレスを感じる場面がかなりあります。
エジプトの観光産業に対する考え方
全体的に感じたことを抽象化して、観光産業という観点で考えてみました。
自国の観光資源の価値を理解している
エジプトの人々(特に観光産業に関わる方々)は、自国の観光資源(歴史や遺跡、ナイル川など)の価値をとても良くわかっており、世界中がそれを求めてエジプトにやってきていることも非常に良く理解していると感じました。
先の内容で、エジプトの"良いところ"と"残念だったところ"をそれぞれ書きましたが、総合的にみてもやはり”良いところ"が優っています。
各地の遺跡やナイル川などの環境は世界的にみても唯一無二であり、ここに来ないと得られない体験ばかりです。
そのため、例え現地の人にとってはあり得ないような金額まで各モノやサービスの価格を釣り上げたとしても、その価値があると考えていると感じました。
特殊なチップ文化(バクシーシ)の強制についても、それでもこれまでずっと観光客が来てくれているという実績から特に問題ないと考えているのだと思います。
それぐらいの価値がある観光資源を自分たちは保有している、と自信を持っているのでしょう。



こんなゼルダのダンジョンの入り口みたいな場所、エジプト以外に存在するんだろうか。。。。どれも圧巻でエジプト人の自信もとても良く理解できてしまいます。。
価格設定が絶妙
今回のエジプト旅行では、筆者が初めて訪れるエリアということもあり、安全性やある程度の快適性も考慮して旅行代理店を利用したツアーで旅行しました。
そのため日本人旅行客という前提で全てのツアー内容や値段設定がされているわけですが、それらがある意味で巧妙に設計/設定されているなと感じました。
ツアーはピラミッドや有名な神殿などのメインのツアーサイトは最初から予定に組み込まれているのですが、実はそれらのツアーだけだとまる1日観光の時間があるなかでの半日程度で終わってしまいます。
そういった事実は事前に知らされず、ガイドから「時間がまだあるのでオプショナルツアーでXXやYYにいきましょう!」と少し強めに提案されます。
(日本人はこういう提案に弱いとわかってて提案してきてる感あり)
時間が余るなら他にも行った方がいいよね、と普通は考えると思うのですが、その際に提案されるオプショナルツアーの金額がなかなかに渋い値段設定になっております。
細かく覚えている訳ではないのですが、その日のうちの一つの観光地に訪れるツアーで大体1万円程度、複数の観光地がセットになると2万円〜3万円程度でした。
これを聞くとなかなか高めだな、、と筆者は感じました。が、せっかくエジプトに来ているのだからこれぐらいの出費はしょうがない、、、と思えるぐらいの絶妙な価格設定に感じました。
(エジプトのツアー全体の価格相場がおよそ30-60万円くらいですから、、それと比べると安い、と考えてしまうところもありますね。。)
ちなみに半日程度時間が空く日は1日だけに限らず、ツアー日程全体のうち何日間かあるので同じような状況に複数回遭遇します。ので、その度にオプショナルツアーを提案され、それを承諾していくとかなりの金額になります。
エジプトの旅行代理店やガイドなども、おそらく日本人なら(かつエジプトにわざわざ遠くから来るぐらいだから)これぐらいの金額は払える客だろう、というところをわかっているのだと思います。
ちなみに、ツアーがオプショナルで増えるとそれだけ雇っているガイドやドライバーの拘束時間も増えるので、後々支払わなければいけないチップの金額も増えるというところが重要なポイントです。苦笑
追加のお金ももちろん現金で払わなければいけないので何度もATMでのキャッシングにお世話になりました。。。
日本の観光産業において日本人は今後どうすべきか
エジプトでの旅行を経験して、これからの日本に重要な観光作業の更なる活性化に重要だなと感じた要素を記しておきたいと思います。
(とはいえ何か具体案があるわけではないのであしからず。。)
観光客のニーズを掴んだ上での強気な価格設定
エジプトはまさにこれを戦略としています。現地と観光客の価格差は当たり前で、その価格差を持ってしても観光客は買ってくれるとわかっているからです。
しかし、どうやら日本でこのような価格テーブルでサービスやモノを販売してしまうと、人種や国籍に基づく差別となるため法律上NGのようです。なのでエジプトと同じ手法は使えません。エジプトのように、今から定価表示をやめることも同じく法的な理由で不可能でしょう。
そのため、できることとしては観光客向けの商品やサービスを新たに開発し、相応の強気な価格設定をするしかないかなと思っています。
日本人はどうしても"安く良いものを提供する"精神が根付いていると思いますが、まずはそれを改めて自国の観光資源やサービスの品質に自信を持って価格設定をするような方針展開が必要になってくると考えています。
快適でプレミアム/ラグジュアリーな旅の提供
エジプトでの旅行は旅行の快適性という意味では実はそこまで快適ではありませんでした。かと言って不快だったかというとそこまでではないのですが、全体的にまあまあという感じでしょうか。移動の車も食事もまぁ普通なのですが、とてもそれが快適/食事がおいしかったかというと、うーん、、、という感じ。
現地系のホテルについても5つ星のホテルでも雰囲気的には3-4つ星程度のクオリティのサービスだなと感じました。クルーズ船についてはデッキから見える風景や雰囲気は素晴らしかったのですが、客室やサービスは正直微妙だったりしました。
古代人が作った遺産は素晴らしいのですが、現代人のサービスはそこそこという感じですね。
ですが、日本では遺産もサービスも両方をより素晴らしいものにするポテンシャルがあると思いますし、実際既に十分な品質だと思います。
なのでこの利点をさらに活かし、より快適に日本の文化や歴史に触れられる特別な体験を提供することが重要になってくると感じました
さいごに
日本の観光産業をより盛り上げていくという観点で最後は書かせていただきましたが、そのためにまず解決すべき課題としては日本の人口減少による人材不足というところかと思っています。
ここについてはエジプトは現在人口が毎年増加中で若い労働力が非常に豊かな国になっているためこの課題については参考にすることができず、日本が自らで答えを見出して解決すべき問題だと感じました。
エジプト旅行を通じて日本に足りないこと、認識はしていたがもっとちゃんと注力して取り組んでいかないといけない課題の再確認などもできました。
旅行にかかった金額も多分これまでで最大な気がしましたが、それだけ非常に学びの得られた旅になりました。
機会があればまたエジプトや、他のアラブ諸国にも行ってみたいなと興味が持てました(次はおそらくツアーではなく完全に個人旅行にしますが。。)
以上となります。
長文でしたがここまで読んでいただきありがとうございました!
宜しければ"スキ”していただけると嬉しいです!:)