SONYのミラーレスカメラからWi-Fiを使ってPCへ写真を転送する
概要
SONYのミラーレスカメラにはFTP機能が搭載されていて、無線でPCに写真を転送することが可能です。転送は一括や1枚毎はもちろん、撮った直後にリアルタイムで転送することもでき、これが非常に快適です。
しかしながらこの機能を使用するにはFTPサーバーの設置や複雑な設定など高目のハードルがあるのが難しいところ。
一度やってしえば、以後はずっと快適に使えるので、この機会に試してみるのもオススメです。
今回はスタンダードな α7iv を例に説明しますが、他の機種でもメニュー構成が異なるだけで、やることは同じです。(α7c でもできました)
基本的な設定の説明はすべてSONY公式のサイト「FTPヘルプガイド」にアップされています。
FTPサーバーの準備
WindowsもMacもFTPサーバーを立ち上げることは可能。
他の方法としてはNASやLinuxマシンを使う方法等があります。
Windowsは標準でFTPサーバー機能を持ってはいますが、デフォルトでは無効化されていて、有効化するには多少の手間がかかります。
有効化の手順については、ネット上で多数の方が解説していますので。ここでは割愛します。
Macは以前はシステムに標準で搭載されていましたが、macOS Catalina以降で非推奨&無効化されていますので、OSSのPure-FTPdやvsftpdを使うのがいいと思います。
自分はすでに自宅でNASが稼働しているので、NASのFTP機能を使いました。Synology社のNASの場合はWebGUIでFTP機能を有効にするだけなので簡単です。(多分他のNASも同様だと思われます)
自宅にNASがある方には一押しの方法です。
接続テスト
FTPサーバーを稼働できたら、接続テストをやっておきます。
カメラ接続時にトラブルが発生した場合に、問題の切り分けが容易になるためです。
Windows/MacともにターミナルからFTPコマンドで接続してみます。
> ftp {IPアドレス}
ユーザー名に続いてパスワードをきかれるので、FTPサーバー設定で作成したユーザー名とパスワードを入力します。
ログインできたらテストはOKです。
またWindowsの場合はエクスプローラーのアドレス欄に以下のように入力することでテストできます。
ftp://ユーザー名:パスワード@IPアドレス
Wi-Fi接続
以降は全てカメラ側の操作となります。
周波数帯は α7iv、α7c ともに5GHzに対応していましたので、そちらをチョイス。2.4Ghzより安定&高速でオススメです。
最初は「アクセスポイント簡単登録」(WPSでの登録)でやってみたのですが、うまくいかず・・・「アクセスポイント手動登録」でやったところうまくいきました。簡単登録でうまくいかない人は手動登録を試してみるのもアリです。
ちなみにルーター(アクセスポイント)はTP-LinkのWi-Fi 7対応機種Archer BE450。
FTPサーバーに接続
MENU → (ネットワーク) → [FTP転送機能] → [サーバー設定] → [サーバー1]
[転送先設定] → [ホスト名] FTPサーバーのIPアドレス (例 192.168.1.x)
[フォルダー設定] → [フォルダー指定] FTPサーバー設定で指定したフォルダー名 (例 ftp)
[ユーザー設定] → [ユーザー名] [パスワード] にFTPサーバー設定で作成したユーザー名とパスワード
MENU → (ネットワーク) → [FTP転送機能] → [FTP機能] → [入]
FTPサーバー設定で接続テストがうまくいっていれば、すんなり接続できるはずですが、接続エラーの場合はWi-Fiに接続できているか?設定内容に入力ミスはないか?をチェックしましょう。
以上で設定は完了です。
画像を転送する
画像の転送には大きく分けて3種類あります。
(1) 一括転送
日付やレーティング、プロテクトの有無、未転送などの条件に合致する画像を転送できます。
外で少数の撮影をした後などの用途に適しています。
7008 x 4672 の画像9枚(108MB)で、8秒ほどの転送時間でした。
(2) 撮影しながら自動で転送
MENU → (ネットワーク) → [FTP転送機能] → [撮影時自動転送] → [入]
撮影直後にリアルタイムで画像を転送する機能です。
自宅や事務所等でFTPサーバーがある場所に限られますが、転送のための操作が一切不要なので、手間がなく非常に快適です。
簡易的テザー撮影の雰囲気が味わえます。
自宅で枚数少な目の物撮りをすることが多い自分にとっては手放せない機能となっています。
(3) 1枚だけ転送
再生表示している画像を転送する機能です。
ただしデフォルトでは使用できる状態になく、カスタム設定で任意のキーに [FTP転送(この画像)] を割り当てないと使えません。
7008 x 4672、10MB前後の画像の場合、2秒程度で転送されます。(Wi-Fi 5Ghz 接続の場合)
1枚だけの転送はFTPよりもスマホへの転送(可能です)の方が使える場面が多そうです。
あとがき
今までは、
数枚撮る → カメラからSDカードを抜く → PCに刺す → データコピー → PCから抜く → カメラに刺す → 最初に戻る
と書くだけでも小さなストレスでした。
今では「撮った直後にPCのフォルダを開くとすでにその写真がある」というストレスフリーな状態。撮影がますます楽しくなってきました。
このような体験は、Wi-Fi機能付きのSDカードを使うことでも可能です。自分も以前「Eye-Fiカード」というものを長く使っていました。しかし、SDカードを自由に選べないことや、電波を送信する部分がカメラ内部にあるという構造上の問題から、接続が不安定になったり、場合によっては全く使えなくなったりすることがありました。そのため、次第に使用をやめてしまった、という経緯があります。
このFTP機能はカメラ自体に備わっているものなので、安定性もありますし安心して使えます。