としまえん
電車の中、週刊誌のどうでもいい広告が目に入る。嫌な使われ方をした文字が不自然に羅列している。あれが吊るされてる電車に乗るとなんだか自分まで嫌な奴になった気分になる。
いやいや、今日はそんな愚痴を言いたいわけじゃない。
その隣の「としまえん」の広告だ。
これでもかってぐらい一生懸命さが伝わるキャッチコピーはやけにキラキラした配色で踊ってるように見える。としまえん名物イルミネーションの時期になるとあの広告があるだけで車内が眩しくなる。
僕はあのとしまえんの広告が好きだった。
そのとしまえんがなくなると聞いて僕は少し寂しくなった。
としまえんにはたくさん思い出がある。
◇
彼女とのデートで、バイキング(船がゆらゆら揺れるやつ)に乗ったときはあまりの重力に耐えきれず震えてしまった。降りたあと、平静を保とうとしたが吐き気が治らず「顔が白過ぎる」と一発でバレてしまった。ベンチで休んでる間に彼女は水を買ってきてくれた。彼女はいつも優しい。
お化け屋敷みたいなところも好きだった。コースターみたいなのに乗るんだけど、暗すぎてなにがなんだか分からないまま終わってしまうんだ。
あと、前の勤め先で即売会みたいなことも、としまえんでやった。僕は自分のお客さん(職人さん)にチケットを渡し、是非来てくださいとお願いした。
当日来てくれるか不安だったけど、来てくれた時は嬉しかった。刷毛を数本買ってくれた。僕はその刷毛を車までお持ちして、帰り間際ペコっとお辞儀をした。
後日、そのお客さんに会社を辞めることを言うと、「自分でやりたいことが見つかったなら良いじゃねえか!がんばれよ!!」って言ってくれた。怒られると思ったのに逆に励まされた。素直に嬉しかった。
◇
としまえんのあとは「ハリーポッター」のテーマパークができるらしい。
僕はハリーポッターが好きだ。嫌いなやつなんていないんじゃないかな。
としまえんお疲れ様でした!
浅戸梁:シンガーソングライター
アメリカンスピリット【MV】