我が家はセミダブル
家にセミダブルベッドがやってきたのだ。
僕の家は細長い。友達に説明する時は大体「廊下に住んでるような感じ☆」と説明している。
そんな、我が家にセミダブルベッドがやってきたのは彼女の妹さんが引っ越し、いらないので僕にくれると言う理由からだ。
最初は、細長い家にセミダブルベッドを入れるのは反対だったのだ。しかし、彼女は常日頃から「ベッドが狭いのはどうかならぬものか」と武士のように僕を責め立ててくる。僕もタダでもらえるなら貰わぬわけには行かぬと、二つ返事で頂くことにした。
いや、正直に言えば、家にセミダブルベッドを置いたらどれだけ窮屈な思いをするのか彼女に分からせてやろうと言う少し意地の悪い理由もあったのかもしれない。
そして、昨日引越し業者がベッドを届けにきてくれた。この引越し業者がおしゃべりで手の代わりに口が動くのだ。
「実は自分、こんな見た目ですけど昔太ってたんすよ〜!」「でもこの業界入って20kg痩せたっす!」「お兄さん、音楽関係の仕事ですか?」「僕の友達もDJで〜」・・・
途中からおしゃべりに飽きて、スマホを眺めてると「ベッドきた〜?」と彼女からLINEがきていた。
「今、組み立ててるところ!」と返した。
「うっす!終わりました〜」
引越し業者がトラックで帰っていき(お疲れ様でした!)組み立てたベッドを眺める。
「デカい」
これが率直の感想だった。
そっくりそのままくれたマットレス、羽毛布団を敷いてそのままベッドにダイブした。
◇
ボーッと天井を眺めていた。棚付きベッドで高さもあるのでいつも見る天井の高さではない。
手を横に伸ばした後、足を広げた。
その瞬間、僕はダヴィンチコードが頭に浮かんだのだ。
これと全く同じ構図。僕は奇しくもダヴィンチの謎をセミダブルベッドで解いてしまったのだ。
「セミダブルだと手が広げられるのか...」ぼくはとてつもない開放感を感じた。
そして、極め付けはマットレスの存在なのである。
僕は今までマットレスを使わず布団を敷いていた。布団はこまめに干さないとぺたんこになる。
土日に干していても平日は干す事ができない。そうすると、金曜日までには布団がひらひらになるので、たまに床で寝ても一緒じゃないかと思う時もあった。彼女はこれも嫌っていた。「マットレスは敷かぬのか?」と僕を鋭い目で問い詰めてきた。
だが、今はマットレス(しかも低反発)がある。僕は何度も右左と転がりマットレスを楽しんだ。
◇
その後、飲み友達のHさんと国立で合流した。Hさんは今年44歳の独身貴族だ。月に一回こうやっていろんな飲み屋を開拓している。
Hさんに「カクカクしかじかでセミダブル〜!」と自慢した。すると、Hさんは「え?セミダブル?シングル、セミダブル、ダブルのセミダブルですか〜?」「はい、そうです。」(2人とも酔っ払っている。この会話は2人の中ではちゃんと成立している。)
そうすると、Hさんは急に黙り考え込んだ。そして、この世の重大な秘密を言うかのように
「実は、僕もセミダブルなんですよ」と言った。
驚いた。なぜならHさんはお金持ちの独身貴族だ。その人と同じセミダブルを僕は今日から体感できるのだ。
言ってしまえば、僕はワンランク上の男になったのだ。
そう、考えるとより一層セミダブルが愛しくなる。早くあのセミダブルで寝たい。また、ダヴィンチをやれせておくれ、、、。僕は家路を急いだ。
家に着き体をきれいに洗い、歯を磨き、それからセミダブルにダイブしてグッスリ寝たのだ。
僕は土日でも6:30に起きる。しかし、今日は8:00まで布団の中へいた。起きてはいたのだがもうすこしセミダブルしたかったのだ。
◇
そういうわけで、僕はもうこのブログをお終いにして早くセミダブルしたいのだ。セミダブりたい。
思えばセミダブルは誰のためのものなのか。1人+半分という一見半端なサイズと思って毛嫌いしていたのかもしれない。
今、僕は今日も明日も明後日もセミダブルで寝れることがたまらなく幸せなのだ。
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良かったら聴いてください。