【#くるくる寺たび】おきなわバスたび
みなさんこんにちは。龍安寺の歌です。さて、Twitter で騒いでいましたが、#地理部2月合宿2023 の前哨戦で沖縄に行ってきました。
初・沖縄かつ一人・沖縄(正確にはたまたま同期の地理部員と同じ飛行機に居合わせました。本当に部員はどこにでもいますね)ということで、なりふり構わず旅行することができます(どこに誰と行こうとなりふり構わず旅行しているのであまりこれは関係ないとも言えます)。
ところで先日こんな記事を見かけました。
旅先で運転したくない👈わかる
現地の移動手段の選択肢の少なさ👈本当???
私は免許を持っている身ですが、それよりも公共交通への愛(?)が勝る稀有な(?)人間なので、公共交通マリーアントワネット「鉄道がなければバスに乗ればいいじゃない」のお告げに従い、沖縄への渡航を決めた際も意気揚々と「沖縄 バス」と検索欄に打ち込んだ次第です。
……あるじゃない。バス。
というわけで今回は、「沖縄の路線バスはいいぞ!!」ということを声高に叫ぶnote、兼自分の備忘録、兼オタク向け先行事例集です。内容は一言で要約すれば「鉄道寄り公共交通好きが沖縄本島をバスで旅する」です。実際の旅要素は「3. 1日目」から始まるので、単純に旅行記を読みたい方や細かい系統の話などに興味がない方はそこまで飛ばすと吉です。まとめと若干の感情は「7. まとめ」にあります。
1. 沖縄(本島)のバス事情
1.1. 事業者
さて、実際に沖縄を襲撃する前にバス事情を把握しなくてはなりません(本当?)。調べると、本島にはおおむね4つの路線バス事業者があることがわかりました。琉球バス交通、沖縄バス、東陽バス、那覇バスです。ちなみに沖縄バス以外の3つは倒産経験があるらしい。えぇ……。名前の通り那覇バスは那覇市とその周辺にしか走っていないようです。東陽バスは主に東南部(本社も南城市にある)、あとの2つは全島をカバーしているイメージです。乗る上ではかなりどうでもいいですが、琉球バス交通と那覇バスは同じ第一交通グループです(車体のカラーリングも似てる)。
4事業者の他にも、やんばる急行バス(YKB)などが本島を走っていますが、どれも空港と観光地(リゾート地)を結ぶ高速バス / リムジンバスなのでここでは割愛します。
1.2. 系統
4つも事業者があるので、普通はここで頭を抱えるところです(例えば、東京西部でバスに乗りたいと思ったらそこが西武バスの領地なのか、それとも関東バスなのか京王バスなのか事前にあたりをつけなければなりません)。
しかし、沖縄の路線バスは、すべての事業者で系統番号が共通で、バスターミナルやバス停でも4事業者が共通して案内されています。共同運行の系統さえ北部を中心に多数あります。これは本当にすごいことです。上に挙げたバスマップ沖縄も地図上では事業者の差はほとんどわかりません。これは不便というわけでは決してなく、事業者の違いがあまり本質ではないということです。
あ、系統が共通ゆえに運賃も同じです。嬉しい。共同運行路線の運賃収入の配分などが気になるところですが、資料が出てこなかったのでこれは謎です。
系統は1~3ケタの数字です。都バスの「品97」みたいな漢字はありません。漢字文化圏以外の人間に優しい。
附番法則はある程度自由ですがいくつか秩序が見られます。例外なく
1~19:市内線(運賃均一)
20~:市外線
です。市内線は18番を除きすべて那覇バスです(どうでもよい)。
これを大原則に、20番以降のうち一部の系統は「+100」で那覇空港に乗り入れを示すようです。
しかし、100+n番系統(20≦n≦99)はすべてn番の空港乗り入れを示すわけではありません。具体的には、127番屋慶名高速線ははそもそも那覇空港に乗り入れておらず(27番屋慶名線の高速道路経由系統)、同じく那覇空港に乗り入れない191番城間線に至っては91系統が存在すらしません(191番は東陽バスのナナサンマルバスが充当される路線として知られています)。他の120~199番は那覇空港に乗り入れているものの、123番石川空港線は23番具志川線と全く対応しておらず、むしろ75番石川北谷線の大部分と経路が被っています。152番イオンモール沖縄ライカム線も52番与勝線と対応関係にありません(結局この法則を満たすnは20,25,89,90の4つだけです)。
101~119番はこの規則にまったく当てはまらず、豊見城市内線など様々です。なお、111番と117番は那覇空港と名護を結ぶ高速バスで、別格扱いです(後述)。
ごちゃごちゃ書きましたが、さらにごちゃごちゃしていることに2ケタ番であっても那覇空港に乗り入れている系統もあります(23番具志川線など)。大人しく路線図とにらめっこするのが吉です。
また、200番台の系統はおもろまち駅かてだこ浦西駅発 / 着です。バスマップを見る限り例外はありません(嬉しい)。200+n番はn番のおもろまち / てだこ浦西発着バージョンである傾向にあります。例外も33番系統がない233番西原てだこ線と、200番糸満おもろまち線だけです。大満足の附番。
300番台には特に規則は見当たりませんでした。400番台は旧46番系統の南半分を引き継いだ446番那覇糸満線のみ設定されています(なぜ400を足したのかは謎です なんで?)。
全体として、近い系統番号は近い場所を走っていることが多いものの、バラバラの附番の箇所や、廃止や統合などで抜けている番号帯も数多くあるので、全島的な附番法則は特にないと思っておくとよいと思います。めちゃくちゃ解説したくせに結論が雑すぎる。
2. 運賃と乗り方、きっぷ
2.1. 基本
さて、事業者ごとに共通の運賃ですが、市内線と呼ばれる那覇市内を走る路線は均一運賃です。確か240円。前払いだったはずです。乗っていないのでよくわかりません。
それ以外の路線(=市外線)は普通の路線バスによくある距離に応じた運賃です。運賃表を見ながら運賃を把握するやつです。初乗りは160円。
市内線市外線問わず、支払いは現金とOKICA(沖縄版ICカード乗車券)のみです(たぶん)。ちなみにOKICAは全国相互利用サービス(いわゆる交通系ICカード、SuicaとかKitacaとかの共通利用)の対象外なので、観光客どもはかなり現金をジャラジャラさせる必要があります。かなしい。
乗り方もバリエーションがあります。市内線は前乗り前降りと前降り後ろ降りがあるようです(乗っていないのでよくわからない)。市外線は前乗り前降りです。大部分のバスに中扉がありますが(神奈中の中古をしばしば見かけました)、やはり前乗り前降りです。乗り逃げ防止などの説があるそうです。どれだけ乗降客が多くても絶対に中扉は使われませんでした。
2.2. おトクなきっぷ
ありがたいことに、沖縄のバスにはおトクなきっぷが数多くあります。
これにかなりよくまとまっているので眺めると吉です。
沖縄県在住でなく、本島をくまなくバスで回る人間は沖縄路線バス周遊パスがおそらくお得です。今月まで沖縄県からの助成があるのでさらに安く買えます(した)。私は3日+ゆいレールの定価5,500円(助成により4,000円)のものを買いました。
沖縄路線バス周遊パスには紙版とアプリ版がありますが、アプリ版は毎回乗降時にQRコードを読み取らなくてはいけないしくみで大変そうでした(紙版は運転士に提示するだけ)。かなり改善されているようですが、アプリ版のレビューが笑ってしまうぐらい悲惨です。なくさない自信がある人は紙版がよいと思います(個人的な感想)。私は紙版を買いました。那覇空港をはじめ様々な拠点で買えます。
3. 1日目(那覇〜名護)
3.1. きっぷの効力(〜那覇空港)
系統などの体系に興味がない方や前置きが不要だった方、本当にお待たせしました。ここから本編です。
羽田730発のJALに乗りました。かなりテンポよく乗機が進み、ほぼ定刻に出発。上空も好調で定刻1030のところ1028に降機。私は全てを手巻きで済ませるタイプなので、回転寿司に群がる寿司食い人間どもを横目に那覇空港内を歩きます。どう考えても暑い(25℃)。
制限エリアを抜けて観光案内所で沖縄路線バス周遊パス(3日券、ゆいレール一日乗車券つき)を購入。
通常価格5,500円のところ、謎の力(沖縄県の助成)により4,000円でした。嬉しい。きっぷの効力と制限を確認しましょう。
要は、「基本何でもアリだけど、高速バスは乗っちゃダメよ」ということです。その高速バスとやらが系統の項で述べた「別格」111番と117番ということですね。那覇バスターミナル〜名護バスターミナルは普通の路線バス(20/120番)だと1940円、2時間半ぐらいかかりますが、高速バスだと2140円、わずか1時間半です。運賃は大差ないにしろ、フリーきっぷで高速バスにドシドシ乗られるとたまったものではないということなのでしょう。あとは当然と言えば当然ですが、琉球バス交通、沖縄バス、東陽バス、那覇バス以外の事業者のバスには乗れません。
一通り確認できたところで早速バスに乗り込みます。190番知花空港線に乗車(那覇空港国内線ターミナル1050)。時間がなくて写真がない。
3.2. 東陽バス祭(〜コザ)
10分ほどで那覇バスターミナルに到着。だいたい定刻。暇なのでバスターミナルの中を適当にうろつきます。それにしても暑かった。
写真が下手くそすぎますが、338番斎場御嶽線に乗車(那覇バスターミナル1115、定刻)。カラーリングからわかるかもしれませんが東陽バスです。斎場御嶽(せーふぁうたき)👈読めない。
途中遅れつつも順調に南風原町を過ぎ、1148与那原町役場前着(3分延)。
軽便鉄道の駅舎や役場を観光しました。
与那原のまちをぶらぶら歩いて、30番泡瀬東線に乗車(与那原小学校前1247、3分延)。これも東陽バスです。
30番泡瀬東線(青色)のココがすごい!:与那原~コザ(沖縄市)の東海岸沿いを通る
普天間経由でコザに行ってもよかったのですが、せっかく与那原に来たので、これに乗ったという次第です。バスは西原町、中城村、北中城村と経由していきます。北中城まで片道2車線が維持されていたのが印象的でした。中城村(人口2万人、人口がドシドシ増えている)と北中城村(人口1.6万人、人口がドシドシドシドシ増えている)の底力を感じました。
ちなみに乗った一週間後に東陽バスで減便が実施され、私が乗った便は消滅してしまうこととなりました。運転士不足が原因で東陽バス全体で間引かれたそうです。どこでも運転士不足は深刻。
1334コザ着(8分延)。このバスは最終的に泡瀬営業所まで行きますが、コザを見たいのでここで下車です。
まったく写真を撮っていないので記録がありませんが、銀天街を見た後にコザから胡屋まで那覇方面に少しだけバスで移動しています。たくさん系統が走っているので何番に乗ったかすら忘れた。胡屋のまちとヒストリートを見学しました。ヒストリートは高校同期からオススメされたので行ってみたのですが、かなりオススメです。
3.3. 名護東線づくし(~名護)
沖縄市を後にします。77番名護東線に乗車(胡屋1501、14分延)。これまで大きな遅延なく沖縄市まで移動できていましたが、早速名護東線の洗礼を浴びました。
名護東線は那覇から名護までコザ、石川、金武(要は東海岸)を経由して走る路線で、那覇から名護まで約80km、およそ3時間かけて走破します。ヤバすぎ。しかも一日20往復(毎時1~3本)ぐらい走っているのでお手軽に長距離路線バス旅が楽しめます。長い距離を走るので当然遅れがちです。特に那覇市内は混んでいるのか、那覇から20kmぐらいの胡屋時点でも14分遅れでした。
一時間ぐらい乗り、1608銀原着(22分延)。
金武ダムを見ました。本当は億首川のマングローブも見に行くつもりだったのですが、次のバスが思ったよりも遅れていなかったので断念。
大量の野球ファン(?)とともに、また77番名護東線に乗車(銀原1710、9分延)。地元の方かユニフォームを着た人間に囲まれて異常男性が一人バスに乗る姿はもう2日ほど続くことになります。
私は野球は全くわからないのでわからなかったのですが、どうもこの時期は各球団がキャンプをしているようです。旅行中に幟や垂れ幕などで観測した範囲だとコザで広島、金武で楽天、宜野座で阪神、名護で日本ハム、北谷で中日、那覇で巨人ぐらいでしょうか。写真は宜野座の道の駅です。黄色い。
1739第二ゲイト着(12分延)。野球ファンで混雑する中一人で降ります。視線が痛い。
辺野古を見て回りました。沖縄に行くと決めたときからここには来たかったのですが、インターネットで話題になってしまったので冷やかしと変わらぬ動きになってしまった。
また77番名護東線に乗車(辺野古1846、18分延)。この便にはほとんど野球集団はいませんでした。どういう波があるんだ。
道中遅れを巻き返し、1914名護バスターミナル着(13分延)。本日ここまで。
4. 2日目(名護〜名護)
4.1. 徒歩入村(〜慶佐次)
名護からおはようございます。夜にまたここに戻ってくるので荷物を預けます(コインロッカーが潤沢にありました)。
2日目も元気にバスを乗り回していきましょう。まずは78番名護東部線に乗車(名護バスターミナル600、定刻)。朝、夕方、夜にそれぞれ一往復ずつ、一日3本の運行です。終点まで乗りました。651有津(あっつ)着、定刻。ド早朝の下り便に乗る人はおらず、始発から終点までryoanji1450のみを搭載していました。フリーきっぷで乗っているのが申し訳なくなる。
途中1回時間調整をしただけであとはずっと走っていて定刻だったので、そりゃ乗降があれば遅れるわな、という言葉は胸にしまっておきます。
ツイートにもありますが、ここから先に行くバス路線はないので、歩きます。歩いて東村に突入。
振り返ると名護市。少しバスが写っていますが、ここが有津というわけではなく、有津にはバスが折り返せるスペースがないので、有津の少し先のギリギリ名護市の謎の空間で折り返すそうです(運転士の方談)。
入村したとてそこから自由自在というわけにはいかないので、てくてく歩きます。歩いていて気付いたのですが、沖縄の墓はとてもデカいつくりをしています。風葬の習慣と関係がありそうだと勝手に思っていました(実際そのようです)が、座喜味の資料館で詳しく知れたので良かったです(是非行ってみてください)。
歩いているとバスが通っていない区間にバス停があるのを認めます。というのも、今は有津までの78番ですが、2018年までは東村役場まで運行していたからです。廃線跡(?)ですね。有津に回転できるスペースがないのも終着駅歴5年目と考えると納得です。
立派な待合室も残っています。有津まで乗ったバスの運転士さん(とても親切な方でした)曰く、このタイプの待合室は右側通行時代に作られたため、少し道に対して右に傾いている構造であり、左側通行だと人が待っているのかとても確認しにくい、とのこと。確かに傾いているし、左側通行だと見えない……
慶佐次まで歩きました。78番の路線短縮は東村コミュニティバスの運行開始が理由とのことですが、東村コミュニティバスは有銘~有津間は走らないので(有銘から内陸に入り、東シナ海側の源河まで抜けます)東側では名護市と東村の接続が切れた形です。東シナ海まわりの方が都合が良いということなのでしょうか。
4.2. 東村コミュニティバス(〜おおぎみビジターセンター前)
マングローブ林に感動したのち、話題の東村コミュニティバスに乗ります(慶佐次838、ほぼ定刻)。ずっと使っていた周遊パスは(東村コミュニティバスは4事業者ではないので)使えませんが、なんと運賃無料です。一日5~6便あり利便性も🆗です(本当?)。848東村役場着(定刻)。
東村の中心集落(平良)を堪能したのち、またコミュニティバスに乗って大宜味村に抜けます。高江・大宜味線2便、東村役場1056→1114道の駅おおぎみビジターセンター着(定刻)。ちなみに、東村コミュニティバスは平日と土休日でかなりダイヤが違うようなので確認が吉です。この日は平日でした。
4.3. バス停あるある(〜今帰仁城)
道の駅からまたふつうの路線バスに戻ります。67番辺士名線に乗車(道の駅おおぎみビジターセンター前1138、ほぼ定刻)。ポールのバス停名と屋根のバス停名が違うという図ですが、たぶん大宜味中学校前から道の駅おおぎみビジターセンター前に改称されています。バス停名が更新されていないがち問題はバスあるあるな気がします(紛らわしいけど)。この辺土名線の終点の辺土名は国頭村です。辺土名からさらにコミュニティバスを乗り継ぐと波戸岬に行けますが、他に行きたいところがあるので断腸の思いで断岬(?)です。決して公共交通で行きつけない岬ではありません。
辺土名とは逆の名護行きに揺られ、1202伊差川着(6分延)。道中とても景色が良かった。バスを乗り継ぐためだけに降りたので待ちます。あんまり乗り換え時間に余裕がなかったので緊張の乗り換えです。目当ての系統が止まるバス停のポールを探すのに時間がかかるのもバスあるあるですね。
と思ったら乗り換え先のバスも遅れていました。66番本部半島線に乗車(伊差川1216、5分延)。乗ろうとしたバスの発車時刻にちょうど67番の辺士名線が来たので乗りそうになりました。あぶない。
しばし乗り、1245今帰仁城址入口(4分延)。
今帰仁城址を見学。青空がとても良かった。観光客がたくさんいました。
4.4. 罠と観光(〜名護)
さて、今帰仁城からまた西に向かいたいところですが、どうにも66番のダイヤがよろしくありません。正確にはよろしくなくはないのですが、城跡からバス停まで山を降りなきゃいけないのでちょっと今帰仁城の滞在時間が短くなってしまいます。思った以上に博物館の展示が充実していたので早々にもとの予定を放棄しました。
では、次の66番……と言いたいところですが、なにやらちょうどよいバスが走っています。
やんばる急行バスです。路線バス周遊パスでは乗れない、あいつです。やんばる急行バスは「急行」とあるように那覇空港と名護や本部、今帰仁を結ぶ高速バスを主に運行していますが、どういうわけかこのやんばる急行バスは瀬底島~古宇利島間で路線バスも運行しています。やんばる普通バスです。都合のよいことに、今帰仁城の入り口まで来てくれるので、山を自力で降りる必要もありません。玉に瑕なのは、主要4事業者の運行ではないために路線バス周遊パスが使えないことです。つまり、「路線バス周遊パスでは乗れない路線バス」がわずかながら存在している、というわけですね。
やんばる急行バス四島線に乗車(今帰仁城址1505、定刻)。10分ほど乗って、1515ホテルオリオンモトブリゾート&スパ着(定刻)。バス停名が長すぎる。400円。なんとかpayのQRコードが運賃箱に備え付けられていてハイテクだなぁと思いました。バス停がリゾートホテルの入口ド真ん前で、やけに軽装の人間1人がバスから吐き出されたと思ったら目の前のリゾートホテルには目もくれず公道に舞い戻る様がお送りされてしまいました。
備瀬のフクギ並木と美ら海水族館を見学しました。あまりにもベタなムーブに涙が出ます。観光客多すぎ。特に備瀬はリゾートホテル宿泊客と思しきグループがたくんいました。
さて、美ら海水族館を堪能したところでバスに乗ります。暇だったのでひとつ歩いて、66番本部半島線に乗車(西原1835、3分延)。本部港を過ぎつつ1911北農前着(3分延)。
7分ほど歩いて荷物を置いていた名護バスターミナルに戻ります。66番にそのまま乗っていても名護バスターミナルに連れて行ってはくれるのですが、名護市街地を一周してから到着するので途中で降りて自走した方が早くバスターミナルに着けます。
荷物を回収して夕飯を食べて、77番名護東線に乗車(名護バスターミナル1950、定刻)。すぐ降ります(1954北部合同庁舎前)。これは名護東線の終バスですが、ずっと乗っているとこのバスは2227に那覇バスターミナルに着くらしい。ひえ~
名護市役所を見るためにこの動きがあります。
今度こそ目的のバスに乗ります。20番名護西線に乗車(北部合同庁舎前2010、5分延)。なんで始発のバス停から所定5分なのに既に5分遅れてるんだ。
ぼちぼち乗って、2032伊武部着(8分延)。本日ここまで。
5. 3日目(名護〜那覇)
5.1. 東シナ海(〜読谷)
名護市と恩納村の境からおはようございます。境には川が流れていました。泊まったホテル(リゾートホテルのローコストバージョンみたいな感じでした。名護市街地に泊まるよりむしろ安かった)はギリギリ名護市でした。
昨日に引き続きバスで動きます(というかバスしか手段がない)。120番名護西空港線に乗車(伊武部741、3分延)。観光客風の4人組と一緒でした(バス停で自撮りをする感性、見習っていきたいですね)。
804恩納村役場前着(11分延)。
役場に寄ったあと万座毛を見に行きました。激烈・観光地と化していてそうなの?となりました。
恩納のまちを歩きつつ、また120番名護西空港線に乗車(恩納村役場前927、14分延)。名護西線も70km近くの路線長を持つのでかなり遅れますね。バスから見た感じ恩納村の市街地はかなりぬぺ〜と東西に広がっているので全部見るのは時間がかかりそうです。というかリゾート地多すぎ。
写真がありませんが、伊良皆で下車(おそらく955着)。遅れは13分のままでした。乗り継ぐバスは遅延なく950定刻に通過していったようなので、乗換失敗!
と思ったら、遅れていた別の系統のバスがすぐに来たのでGOT KOTONAKIです。28番読谷(楚辺)線に乗車。ちなみに伊良皆は58号線を走るバス(120番とか)と読谷市街に行くバス(28番とか)のバス停の位置が100mぐらい離れているので乗り継ぎの際は100m走(場合により歩道橋入り)の準備をしておくとよいです。
写真が一切ありませんが、波平着。状況的に10分おくれぐらいだったような気がします。
ガマを観光しました。
ツイートし忘れましたが、座喜味城跡も見学しました。2日目に書いたように、沖縄のお墓の謎が解けたのもここの資料館です。ガマに関する展示や記録も充実していました。城を見ていたら途中でメチャメチャ雨が降ってきて濡れ濡れの濡れになってしまいました。
余談ですが、読谷村内のバス路線網はあまり観光客に優しくないので、このあたりは全部徒歩です。コミュニティバスや本数が少ない喜名経由と時間がかみ合えばもう少し楽かもしれません。残波岬も辺戸岬と同じく断岬です。断岬の旅。
にしても現読谷村役場に乗り入れているのがコミュニティバスしかないのはちょっと不便な気がしなくもありません。調べてみたらどうやらいまの役場は2006年にアメリカ軍から返還された読谷補助飛行場の跡地に建てられているようです。かつて村域のほとんどが米軍に接収された、という知識がかなり可視化されたように思いました。いずれはバスのルートにも変化が訪れるのでしょうか。
余談ですが、読谷村の読谷村史編集室では目玉が飛び出る量の様々な史料が公開されているので是非覗いてみてください。
5.2. 基地(〜嘉数高台公園)
旧役場前など中心部っぽいところを歩き(このあたりはバス停から近い)、28番読谷(楚辺)線に乗車(高志保入口1234、2分延)。バラつきはありますが、嘉手納方面に向かうバスが1時間に4~6本あります。すごい。さすがは日本一人口が多い村です。
高校生と一緒に降ります。1253嘉手納(4分延)。
町の地図にデカデカと基地が鎮座していた嘉手納からさらに南下します。120番名護西空港線に乗車(嘉手納町役場前1312)。バスは1時間に8本ぐらいあるのでもはや時間は気にしていないのですが、たぶんこの120番は18分おくれです。
1304桑江着(19分延)。そういえばはじめての前扉のみのバスに当たりました。なかなか渋いバスで良かったです(詳しくないのでよくわからない)。
観光客に流されながらアメリカンビレッジを観光しました(一行矛盾)。疲れていたので北谷町役場はお預けです。
120番名護西線に乗車(桑江1438、13分延)。乗り継ぐだけなので写真は割愛です。1456大謝名着(16分延)。また100mぐらいある乗り換えをして、52番与勝線に乗車(大謝名1503、7分延)。1506真栄原着。
少し歩いて、嘉数高台公園を訪問。ちょうど普天間に降りる飛行機(?)を見ました。
総じて、読谷〜宜野湾はやはり基地の影を色濃く感じました。このあたりの感覚もバスや徒歩で回ることで得られるもののひとつだと思います。
5.3. ゆいレール (〜那覇)
公園でゆっくりしていたらちょうどいいバスの時間が迫っていたので激走して捕まえます。
125番普天間空港線に乗車(広栄1549、4分延)。これだけバスに乗っておいてはじめての那覇バスです。すぐに1556西原入口着。
少し歩いてゆいレールの終点、てだこ浦西駅に着きました。鉄道の駅は丸三日ぶりなので雨が降っても濡れないことや駅舎にトイレがあることに感動しました。
ここで路線バス周遊パスにくっついていたゆいレールの1日乗車券を引き換えます。重要な情報(たぶん)なのにあまり強調されていませんが、
路線バス周遊パスの利用開始日の前後一週間であれば1日乗車券に引き換えができる
ゆいレールの「1日フリー乗車券」は24時間券であり、この引き換えでも24時間券が降ってくる
です。路線バスに乗れるのは今日までですが、これで明日の夕方までの足を確保することができました。
モノレールで首里まで移動し、346番那覇西原線(首里駅前1630、4分延)に乗車。1634首里城公園入口着。歩ける距離ですが、存分に路線バス周遊パスの恩恵にあずかっていくことにしましょう。
玉陵と首里城を観光しました。首里城跡とは別に園比屋武御嶽石門は単独で琉球王国のグスク及び関連遺産群の構成資産なんですね。
その後、首里まで歩いて戻って首里から牧志までゆいレールに乗っておしまい。10分に1本時間通りに来るモノレールにいたく感動した夕方でした。
6. 4日目(那覇)
6.1. ゆいレール再 (〜那覇空港)
もう路線バス周遊パスの効力は切れているのでバスには乗りません。そのためこのnoteに載せる意義もあまりありません。雑に経路だけ記すと、
安里→県庁前
県庁前→奥武山公園
奥武山公園→赤嶺
赤嶺→那覇空港
でゆいレールに乗りました。ありがとう24時間券。観光情報はTwitter のタグを見てください(雑)。
那覇空港でおしまいです。飛行機に乗って福岡に飛び、福岡で乗り潰しなどの悪行を働いたのち #地理部2月合宿2023 に合流しました。合流したと言ってもほとんど団体行動はせずに個人でふらふらしていたので何とも言えませんが、地理部の合宿はそれが許される(はずな)のです。
7. まとめ
ここまではじめから読んでくれる方は相当の物好きだろうなぁ、と思うわけですが、私が伝えたいのはこの章です。
7.1. 沖縄本島の路線バス
「レンタカーじゃないと話にならない」「時間通り来ない」などの言説は、ある程度は間違ってはいないのだと思います。バスは最大で22分遅れましたし(これに関してはやはり那覇周辺をはじめとする都市部の道路事情、あるいは交通事情全体に課題があると言えてしまうでしょう、というのが3日間を通しての感想です)、バスでは行きにくいスポットもあります。また、車内にトイレはないので、時に肛門との戦いがあります。
しかし、何と言っても、那覇~読谷や那覇~うるまを中心とする路線バスの大動脈は目を見張るものがありますし、名護と大宜味村(人口3,000人)、国頭村(人口4,500人)を結ぶ路線(67番辺士名線)に一日18往復(土休日は16往復)設定されているのは通常では考えられないレベルです(たぶん)。
このように、比較的バスで回りやすいという環境があるので、「パッケージ化された観光」に頼る必要もありません。数少ない「観光スポット」の駐車場にレンタカーが大量に留め置かれている、という光景を見るともったいないことをしているなぁと思う私がいるわけです(まぁ別に何をしようと自由なのですが)。私もその観光客の1人に過ぎないので、何を言ってるんだお前、というツッコミは大いに私に効きますが、バスで移動することで、地域や沖縄本島について解像度を上げやすい環境に身を置けたかな、と思います。車窓や乗客、あるいは降りて知らないまちを歩くことで得られる空気や情報は、何物にも代えがたいものがあります。
沖縄を路線バスで巡る意味、あるいは機運はそのあたりにあるのではないか、と思いました。少なくとも私は、旅行からそういった景観や知見を得たいと思っています。
7.2. バス乗り術
では、バス旅の良さを宣伝したところで、快適にバス旅をするための小技(?)を最後に紹介します。あくまで私の体験なので、もう十分バスに乗り倒している方にとってはつまらないものかもしれません。沖縄限定のものと、全国各地で活用できるものがあります。
《計画時に有用なもの》
信じられないほどお世話になりました。ある地域の「事業者の漏れがなく、すべての停留所とルートが地図上で掲載され、運行系統がわかりやすく整理されている」路線図にお目にかかること自体が喜びです。バスマップ沖縄はこのすべてをまさに満たしています。本島だけでなく各地の離島にも対応しているようです。すごすぎ。ウェブサイトなので当然すべて無料。
なんと時刻表もついています(!)が、情報が古いのか少し実際のものとズレている系統があるので、時刻表は他のものを参照した方がよいと思います。
那覇空港できっぷを買ったときに貰った「Okinawa Bus Routemap」も似たような地図ですが、こちらはなぜか一部の停留所が省略されています。
バスNAVITIME (全国対応)
こちらもかなりお世話になりました。バスの系統のルート、細かい停留所の位置、停留所ごとの時刻表(こちらの時刻は正確です)、乗換案内など至れり尽くせりです。スマホアプリで毎月250円(無課金でも一部の機能は利用できるようです)。
私がたびたび「方面によってバス停の位置が100mズレている」などと涼しい顔をして紹介できていたのは、これの「バス停の位置を地図上にかなり正確に表示してくれる」機能のおかげです。これがなければ伊良皆や大謝名で走り回っていたことでしょう。
YAHOO乗換案内(全国対応?)
鉄道に関しては右に出る者のいない(と思っている)使い勝手ですが、バスも同じように検索ができます(時刻も正確)。ただし、事業者によってそもそもデータが登録されていないので網羅性が低いことがあります。沖縄は4事業者はすべて対応しているので、時刻を調べるだけであればこのサイト / アプリでおおむね問題ないと思います。
どうでもよいですが、バスNAVITIMEにはなくYAHOO乗換案内にはある機能として、「ルート検索をしたときに距離を表示してくれる」があります。
Google map(全国対応?)
これも対応している事業者とそうでもない事業者があるのですが、Google mapにバス停の位置や系統情報を提供しているものもあります。4事業者は対応しています。徒歩が絡むルート案内のときに重宝しました(限界旅行者マリーアントワネット「バスがなければ歩けばいいじゃない」を提案してくれます)。
《当日の運行状況の把握に有用なもの》
のりものNAVI Okinawa「現在位置検索」
リアルタイムで運行状況を伝えてくれます。たぶんGPSとかを使ってうまくやっています。すごい。系統を選んで方面を選ぶと在線状況がわかります。
ただし、自動更新ではない(たぶん)のと、更新するには一度系統からまた選び直す必要があるようです。私はあまり使いませんでした。
バス停に備え付けられているQRコード / のりものNAVI Okinawa「接近情報」
先ほどの「のりものNAVI」の「接近情報」から特定のバス停名を入力するのと同じです。停留所基準でバスがどこいいるか教えてくれます(よって、基本的な機能はのりものNAVI Okinawaの現在位置検索と同じ)。なぜかこの接近情報は自動更新なので、バスがいつ来るのか、何分遅れているのか知りたければこちらの方がオススメです。
私が涼しい顔で「14分遅れのバスに乗車」とかができていたのはこのおかげです。今か今かとバス停で15分待つのはさすがに苦行だと思います(自分で使える時間減るし)。
リアルタイムの遅延情報を教えてくれるのは実質のりものNAVI Okinawaということになります(他にもあるかもしれないけど)。遅れるバスがあっても接近情報さえあれば実質定刻みたいなものです(本当?)。是非これらのツールを駆使してみてください。あと、もっと良いツールがあったら是非私に教えてください。
8. おまけ~どれだけ乗ったのか~
資料として、3日間でバスにどれぐらい乗って、周遊パスをどれぐらい使い倒したか記しておきます。
乗ったバス:23本(うち東村コミュニティバス2、やんばる急行バス1)
乗ったゆいレール:6本
正規のバス運賃(やんばる急行バスを除く):10,590円
正規のゆいレール運賃:1,380円
正規運賃の合計:11,970円
路線バス周遊パス代(実際に払った額):4,000円
……もう少しで3倍でした。
下世話な計算はこれぐらいにして、あまりに長くなってきたのでそろそろ筆を置きます(noteって常に文字カウントが右上に出るんですよね、やめてほしい)。
この記事で、一人でも「沖縄行ってバス乗りたいなぁ」と思っていただける方がいたら幸いです。次は離島にも行きたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。それではまた。
(カバー画像:道の駅おおぎみビジターセンター前バス停)