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変革の時代に若手リーダーが求められる理由

2019年12月、フィンランドで34歳の女性首相が誕生するとのニュースがありました。このニュースは若手かつ女性リーダーということで、大きな注目を集めました。

2017年にマクロン氏が39歳でフランス大統領に就任したのも記憶に新しいです。

もちろん、リーダーの選出には各国・各企業の事情がありますが、
若手リーダーが求められる、活躍する理由を知能と年齢の関係から考えてみたいと思います。

知能と年齢の関係

早速ですが、人間の知能と年齢の関係に関する研究として、レイモンド・キャテル氏の研究があります。

彼の研究では、人間の知能は結晶性知能(Crystallized Intelligence)と流動性知能(Fluid Intelligence)に分解できるとしています。 

結晶性知能とは教育や生活を通じて得られた知識や知恵など経験に基づく知能を指します。
一方、流動性知能とは推論や思考など分析や論理に関する知能を指します。

結晶化知能_流動性知能

―Cognitive Ageingより

上図は、この結晶性知能と流動性知能が年齢とともにどのように発達・衰退するかを示しています。
グラフからわかる通り、結晶性知能(Crystallized Intelligence)は年齢とともに発達していき、50~60歳でピークを迎えます。
一方、流動性知能(Fluid Intelligence)は10代のうちにピークを迎え、その後は徐々に衰退していくことがわかります。

変革の時代には、流動性知能が有用

従来のように、定常的で過去の経験が重要な時代においては、過去の経験を活かして問題解決を図ることができるので、結晶性知能が有用でした。

一方、現代のように早く世の中が変化していく時代においては、状況を的確に分析し対応するための流動性知能が高い人物が求められるのではないでしょうか。

不確実性が増す中で新たな局面における問題解決能力の高い若手リーダーに対する期待は大きくなっているのではないでしょうか。

日本企業はCEO就任時の年齢が高い

ここからは余談ですが、少し気になって日本と海外のCEOの年齢を見てみました。

日本と世界の新任CEOの中央年齢を比較してみると、
日本は世界各国比較してもずば抜けて高いことがわかります。
(時価総額ベースで世界の上位2,500社の上場企業に対する調査)

新任CEOの年齢

―Strategy& 「2018年 CEO 承継調査」より

さらに、CEO就任時の年齢を見比べてみると、日本企業は50~65歳の間に以降に集中しています。

日本のCEO就任時年齢(対象:TOPIX500)

CEO就任時年齢(日本)

―日本総合研究所 「わが国におけるCEOのキャリア実態調査」より

一方、米国のCEOにおいては35~60歳の間に比較的広い山があります。
(縦横の比率が揃っていないので少しわかりづらいですが)

米国のCEO就任時年齢(対象:Fortune500 S&P500)

CEO就任時年齢(米穀)

―CRIST|KOLDER ASSOCIATES "Volatility Report 2018"より

この原因はいくつかあるでしょうが、その一つとして内部昇格CEOの割合の高さがあります。下図にあるように、海外では欧米では20%強が外部招聘のCEOですが、日本はわずか3%です。

CEOの内外比率

―Strategy& 「2018年 CEO 承継調査」より

日本企業が現代の変化に十分に対応できていないのだとすると、この辺りも要因の一つなのかもしれません。