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2代目代表としての「ミッション」「ビジョン」との向き合い方
こんにちは。株式会社アカリク 代表取締役の山田です。
note第2弾となる今回の記事は、コーポレートミッション・ビジョンにまつわるお話です。
2代目代表として事業継承した私が、既にそこに存在するコーポレートミッション・ビジョンとどのように向き合い、どう解釈しているのかをご説明します。
ミッション・ビジョンとは
前提として、ミッション・ビジョンとは何なのかについて触れておきたいと思います。ミッションは、企業の存在意義や使命といった普遍的なもので、「何をして、どのように社会に貢献していくのか」ということを示すものです。ビジョンは、中・長期的に目指すべき姿で、近い将来の理想的な状態を描いたものです。また、これらを達成する上での組織としての共通の価値観や、世の中に提供できる価値がバリューです。このような考え方のもと、様々な企業がミッション・ビジョンを掲げています。
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アカリクでは、「知恵の流通の最適化」をミッションとしています。アカリクの社員に「ミッションって何ですか?」と訊くと、全員が口をそろえて答えるほどに、このミッションは組織内に浸透しています。その理由は、社員に大学院やポスドク出身の方々が多く、自身の実体験とミッションが紐づいているため、共感度が非常に高いのです。
アカリクのミッション「知恵の流通の最適化」とは
アカリクのミッションは、高度研究機関である大学院・その他研究機関において日々生み出される叡智を、広く社会や産業界に繋ぐことで価値を創出して、知恵の流通の最適化に貢献していくことです。
新しいサービスや製品は、何らかの研究・開発から生まれるものです。最近では、民間企業との共同研究の取り組みも盛んに行われていますが、研究機関から生み出される知恵を産業界にしっかりと繋ぎ、価値を創出することこそが研究の意義だと私は思います。
各研究に対して「それは何の意味があるの?」と意義を問われがちですが、ビジネスと時間軸こそ違っていても、将来的には社会や産業界で活かされることで価値を創出する必要性があります。アカリクは、大学院などの研究機関と民間企業の双方と接点を持ちながら、しっかりと知恵を繋いでいきます。また、ただ繋ぐだけでなく、その流通を最適化させていくことが、我々の使命であり存在意義なのです。
このミッションは、創業者である林さんの実体験に基づいて生まれたものです。彼自身が博士課程に進学した際に気づいたこととして、産業界で活躍できるポテンシャルを持った周囲の優秀な人材が、大学の外の情報に触れる機会が少ないこともあり、就職する気があまりなく、キャリアプランを模索せず、教員や講師、知り合いのツテをたどってアカデミアに残る人が多いという状況でした。また、当時は採用市場の時流も学部生に傾いていて、大学院生は採用市場の「エアポケット」になってしまっており、せっかく良いものが研究で生み出され続けているのに産業界で活かされづらい構造でした。企業も「良いプロダクトやサービスを作りたい」という思いで事業運営をしていますが、研究や開発に対してのパイプラインが築けていません。そこをしっかりと繋げるべきなのではないかとアカリクを立ち上げた背景が、そのまま「知恵の流通の最適化」というコーポレートミッションに繋がったのです。
アカリクのビジョン
アカリクでは、「こんな未来になったらいいな」という世界観をビジョンとして掲げています。
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この図が示すように、大学院生のキャリア選択肢を増やすことで、大学院進学者が増え、結果として日本の研究レベルが上がると考えています。そして、優秀な研究者がさまざまな場所で活躍することで、世の中の研究開発活動が活発化し、たくさんのイノベーションが生まれ続ける世界が実現します。アカリクはそのためのインフラとなることを目指しています。
最初からミッションに100%共感できたのか…?
ミッションはアカリクの核であり、その延長線上にビジョンがあります。ですから、ミッションは非常に重要で不変的なものなのです。そのようなミッションに対して、私は代表に就任した当初から、100%共感して腹落ちをしているのか…ということについて書きたいと思います。
強烈な実体験がない
正直に話すと、私は大学院に通った経験がありません。ですから、アカリクのミッションに直接的に紐づくような実体験はなく、「知恵を社会や産業界に還元すべき」といった課題感も感じていませんでした。
大学では理工学部で経営工学を学びましたが、その先の大学院に進学して研究を突き詰めるモチベーションは湧きませんでした。研究よりも、「早く社会に出て独り立ちしたい」という考えが強かったのです。一方で、「もっと研究を続けたい」と思えるものを見つけて進学していく同級生を見て、素直に羨ましいなと思っていました。研究室メンバーの7割程が院進していましたし、進学した知人とも定期的にコンタクトを取っていたので、そういった意味では大学院との距離感は近く、彼らからエピソードを聞くことも多かったので、尊敬していました。
アカリクの代表に就任する際には、創業者の林さんから「山田さんの自由にやっていいよ」とバトンを渡されたので、ミッションを変えることもできました。しかし、就任直後に行った社員との1on1を通じてミッションへの共感度の高さを知り、また、私自身が前職でミッションを通じて組織が一つになる瞬間をたくさん見てきて、「ミッションの強さ」を誰よりも理解していたこともあり、このミッションは、絶対に維持すべきものだと思ったのです。
アカリクへジョイン前 ―ミッションを体現するような事例の存在―
博士号を持ち、民間企業で大活躍されている久松剛さんという方がいらっしゃいます。ITエンジニア採用のスペシャリストであり、アカリクの経営顧問も務めてくださっています。過去はキャリアアドバイザーとして転職支援をしてきました。また、前職の同僚でもあります。
先立って行われました筑波大学様博士向けキャリアセミナーです。他大学様でも取り組めればと思いますので、お気軽にご相談ください。
— 久松剛/流しのEM、IT怪談師 (@makaibito) April 3, 2023
【事後リリース】博士学生向けキャリアセミナー「博士の生存戦略 ~研究+αを活かしたキャリア構築~」を筑波大学にて開催しました https://t.co/YZWOqaiDyU…
そんなキャリアパートナーでもあり戦友のような方なのですが、彼のキャリアについて話をする中で「博士人材が民間で活躍するケースが少ないこと」「研究機関と企業のパイプラインが弱いこと」といったことを身近に感じるようになり、「知恵の流通の最適化」に通じる考え方がアカリク入社前から徐々に醸成されていきました。
それまでは、博士号を持つ方と会う機会はほとんどありませんでしたが、民間企業で活躍する久松さんを通じて、私が10年以上培ってきた人材マッチング領域のノウハウを、知恵の流通の最適化に活かすべきなのではないかと思うようになりました。久松さんという身近な存在の影響は大きく、彼にトレースすることで、アカリクが掲げるミッションや課題感との距離がぐっと縮まったのです。
久松さんは、1つの専門性を別の分野と掛け合わせることが得意な方でした。研究活動を通じて得た情報科学の深い専門性を、マネジメント分野や採用分野といった他分野と組み合わせながら活躍されています。彼のように1つの核となる専門性を持っている方々は、それを概念化して他に転用できる能力があると思います。例えば、自分の考えをアウトプットするのも論文の執筆の経験が活きますし、学生への指導や研究内容を分かりやすく伝える経験は、教え方やプレゼン能力に繋がります。自身の専門性を活かし、他分野にも展開していく久松さんを見ながら、彼のような存在が増えれば日本はもっと良くなるのではないかと、漠然と考えるようになっていきました。
アカリクの代表就任後 ―社員やユーザー、クライアントとのやりとりを通じて―
入社後は、積極的にユーザーの生の声を聞くように努めました。情報を集めていくうちに、「アカリクのおかげで民間企業へのキャリアの選択肢が増えた」といった声をいただいたり、実際に企業で大活躍している方々の姿を見て、久松さんの事例が色塗りされていきました。入社前に久松さんとの出会いがあり、入社後に同じような境遇の方々にたくさんお会いしたことで、ミッションの解像度が高まったのです。
起業家の方々は、個人の実体験に基づいた問題意識から事業を起こすことも多いと思います。私の場合はそうではなく、強烈な1つの事例が身近に存在して、そのサンプル数を増やしていきながら、事例が正しいかどうか確認していきました。そして、今も社員やクライアント、ユーザーとの対話を続けて、ミッションが正しいのかを確認し続けています。この作業は、今後もずっと続けていこうと思っています。
将来的にミッションは変わる可能性もある?
ミッションの正しさを確認する作業を続けていくと、どこかのタイミングで「ちょっと違うかも」と世間とのズレが出てくるかもしれません。その時は、ミッションの変わり時だと思っています。
2017年に、Fecebook(現メタ・プラットフォームズ)が、ミッションを変更しました。今まで不変だと思っていたミッションを課題の変化に合わせて変えていく姿に感銘を受けました。このように、時代背景に沿って、ユーザーの声に耳を傾け続けながら存在意義を確認し続けて、変更していく必要もあると思っています。
前職では、新規事業として人材紹介事業の立ち上げに携わりました。新事業が走り始めて2年ほどが経ち、事業責任者という立場になった際に、当時のお客さんの話を聞きながら、その事業に特化したミッション・ビジョンを作成しました。もともと、会社全体のミッションに惹かれて入社したのですが、ユーザーあっての事業・サービスなので、ユーザーの声を元にミッション・ビジョンを作ったのです。当時のこのような経験があったことからも、アカリクのミッション・ビジョンの捉え方について、同じようなアプローチを行っています。やはり、お客さんあってのミッション・ビジョンだと思っていますし、今後もこの考え方は大事にしていきたいです。
ミッション・ビジョン達成の進捗度
就任してもうすぐ2年になりますが、まだまだ道のりは遠いなと思ってます。もちろん、少しづつ近づいている感覚はありますが、その速度をもっと加速させていきたいです。アカリクのユーザーには本当に優秀な学生が多く、クライアントも積極的に大学院生やポスドクを採用してくれています。このように、我々の経済圏を見ると、ミッション・ビジョンに近づいている気がします。一方で、一歩引いて市場全体を見てみると、世の中で博士を採用している企業はまだまだ極少数です。自分たちの世界観だけ閉じてしまわないように、部分的ではなく全体的な視点を持ちながら、冷静に現在地点を見つめるように気を付けています。
この記事を読んで、アカリクのミッションや、私の考え方に共感してくださる方がいれば、ぜひ弊社にジョインしていただきたいです。社会貢献性の高いアカリクの事業に、ぜひ皆さんの力を貸してください。