訪問記2024。

今年のアーネムランド渡航が終わり2週間が経ちました。

今年は出発日に台風10号が接近していて、フライトに影響が出ないかと不安な数日を過ごした後に無事にGoveに辿り着くと、そこには落ち着いた日常が待っていました。

これまではGarma Festivalに参加したり、偶然にファミリーの葬儀だったりとイベント事が続いていたので、日常的な滞在は僕にとって今回が初めてでした。

彼らの日常に寄り添って、昼はイダキを作ったり、魚や貝を獲りに行ったり、川に泳ぎに行ったり、フットボールの観戦に行ったり。

夜は唄とイダキで遊んだり、ソングラインのストーリーを教わったり、友達と目的なくダラダラ過ごしたり。

朝自分のキャンプを出て、夕方2時間程の食事休憩で戻り、陽が沈む頃にまた出て行き、日付が変わる頃にキャンプに戻る日が続いた。

葬儀中やフェスティバル中は、アウトステーションから集まってくる人とのスペシャルな出会いが沢山あるけれど、人が多いとヨォルングは皆気を張っていて、本当の意味でゆっくり接する事が出来ない印象がある。

それが今回の滞在では日常の中のローカルに触れ合う事でもっと砕けたコミュニケーションができて、また一段と彼らとの距離が縮まった感覚がした。


今年は良い意味で新鮮さが無くなってきてる事にも気づいた。これまでは毎日が冒険の様な感覚と共に緊張感を持っていたのに対して、今年は安心感みたいな物を感じていた。

おー久しぶり!今年も来てるやん!みたいに迎えてくれる人が増えて、着いた日から離れる日まで一人で時間を持て余す事は無く、妙なホーム感まで感じるようになった。

むしろ日本での生活よりリラックスした日々を過ごせたような気がする。アーネムランドを訪れる事が僕にとって田舎の親戚に会いに行くような感覚に変わってきた。



そして僕の目的であるイダキの演奏に関する収穫も大きかった。日本人でもイダキで唄の伴奏が出来るという確信と、曲を覚えた事でソングラインのストーリーを教えてもらえるようになった事。

自分が理解出来るようになれば、向こうはどんどん次のステップを与えてくれると感じる。教わった事に日本で取り組み、再び現地訪問する事で一年の自分の成長と次の課題が明確になる。

自分が演奏スキルの向上を望む限りこのループを絶やさない様に毎年努めている。翌年現地を訪れない事になれば、きっと僕とイダキの付き合い方は変わってしまう。イダキ奏者として最低限のレベルに達するまで僕のアーネムランド渡航は続くんだと思う。


今年の滞在では去年にも増して唄もイダキも音合わせして貰いました。僕にとって唄とビルマとイダキで構成されるこの音楽はたまらなく面白く、日本でもこんな演奏感覚をシェアできる仲間がどんどん増えて欲しいと、帰国後より強く感じるようになりました。


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