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侍ジャパンから見える「組織としての強さ」

連日WBCが盛り上がっている。
3大会ぶりの優勝を目指す日本代表、通称「侍ジャパン」はメジャーリーガーも複数名メンバーに招集し、歴代最強と言われるチームでこの大会に臨んでいる。

ついこの前、サッカーのワールドカップで盛り上がったかと思えば、今度はWBCで日本中が盛り上がる。やっぱスポーツって最高。

最近私の記事を見てくれた人はわからないかもしれないけど、私は実はずっと野球少年だった。小2~高3まで、高校3年間は硬式野球部でみっちりやっていた人間だ。だからWBCに盛り上がらないわけがない。

よくスポーツ観戦をしていると、

「なんでここで打てないんだよ」
「フォアボールなんか出さないでストライク投げろよ」

みたいな声ってあると思う。客観的に見てのその意見だし、思うことは自由だから別にいいと思うけど、個人的にはそういうのが全く思えない。

高校までしかやっていない分際ながらストライクが入らなくなる感覚がすごくわかるし、エラーをしてしまう気持ちもわかるし、「そんな簡単にヒットなんか打てねーよ」って思う。

だからそれをプロという、相手もものすごい高いレベルの中で繰り広げている選手たちには本当に尊敬しかない。

日本のプロ野球の選手たちにもそういった感情を抱くのに、今回の侍ジャパンはその日本の中でも精鋭で、かつメジャーでも活躍している選手たちも招集するという、各チームのスパースターが集うまさに「アベンジャーズ」みたいなチームなのだ。

*

もちろん個々の能力の高さは素晴らしいものがある。
でも今回の侍ジャパンが教えてくれているすごさって個々の能力の高さだけじゃない気がしていて。

チームとしての在り方、組織としての強さがほんとにすごい。

よく野球の界隈では「エース級のピッチャーが何人もいたとしても、4番バッターが9人いたとしても絶対勝てるとは限らないのが野球」と言われることがある。
実際私自身も子どもの頃から教わってきた。チームスポーツはチームの団結や繋がりだって。それが田舎のチームにとっては希望であり目標だった。

侍ジャパンはどうだろう。
昨日のオーダーを見てみよう。

1.ヌートバー(中)
2.近藤(右)
3.大谷(指)
4.村上(三)
5.吉田(左)
6.岡本(一)
7.牧(二)
8.源田(遊)
9.中村(捕)

野球に詳しくない人にもわかりやすく説明すると、2番の近藤選手から7番の牧選手まで6人連続で4番バッターを経験したことのある選手たちなのだ。

チームの4番はそのチームの顔でもある。だから「俺が決める」という気持ちになるもの。そういった選手たちが1つのチームになると「俺が俺が」となって繋がりが生まれない可能性がある。それが「4番が9人いても勝てるとは限らない」が示す意味。打線は言葉の通り”線”にならないといけないから。

ただ侍ジャパンにその心配は杞憂だった。

ちゃんと”線”になっていた。
特に3回の攻撃は圧巻だった。3点先制された直後、先頭バッターの8番源田選手が粘ってフォアボールで出塁。続く9番中村選手もフォアボールで出塁。下位でチャンスをつくって上位打線へという最高のかたち。そこから1番ヌートバー選手、2番近藤選手の連続タイムリーで逆転のチャンスを迎え、3番大谷選手敬遠、4番村上選手凡退のあと5番吉田選手の逆転タイムリー。

まさに繋がっていた。

上記で書いたような「俺が俺が」という個人的なプレーは全く見せることなく、ただいい意味で「俺も続く」「代わりに俺が打つ」みたいな選手1人1人の意思が繋がっている気がして見ているだけでも頼もしさがすごかった。

チャンスだからといって大振りをするのでなく、ボールを見極めたり進塁打で繋いだり犠牲フライを打ったり、甘いボールが来たら強く捉えて長打になったり。各々が役割を理解している感じがほんとすごい。

(ちょっと置いてけぼりにしてしまってすみません(笑))

ピッチャーだって各チームのエース級とリリーフのスペシャリストたちが集まっている。もちろん先発ピッチャーもすごいが、世界大会特有の第二先発(=2番手として投げながら、長いイニングの投球が求められる役割)を務めるピッチャーたちもすごい。

昨日で言えば今永投手。
今永投手自体は横浜DeNAのエース。中継ぎの経験は少ないはず。試合の途中から投げるという難しさはあるに違いない。そんな中で昨日のピッチングは圧巻だった。

*

エースと4番が多く集う中で、各々が自分のプレーに自信とプライドを持ちながらもチームとしての役割も全うする。そしてそこにつなぐ守備や走塁のスペシャリスト、リリーフのスペシャリストたちがいる。

それをまとめあげる監督、コーチ陣がいる。

「あ、日本最強やん」

と率直に思う。組織としての強さがほんとすごい。と同時に学ぶべきものがありすぎる。

個のチームを高めながら最終的にそれをチームに還元する。チームのどこにフィットするか考える。自分が持っているものの中で、「この場面だったらどういうプレーをしたらいいか」を考えて実行できる

こんな「アベンジャーズ」たちのプレーを見ることが出来ているのが幸せ以外の何ものでもない。


これから厳しい戦いはさらに続くだろう。
個の能力で侍ジャパンを上回る強豪国にもぶつかってくる。

そんな猛者に対し、侍ジャパンが組織としてどう立ち向かっていくのか本当に楽しみだし全力で応援していきたい。

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塩浦良太
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