
誰よりも自分を隠したかった私が、今は誰よりも自分をさらけ出している話
「人生何があるかわからない。だから面白い」
お笑いトリオ「ジャングルポケット」のネタの最後に登場することがあるこのフレーズ。普段はネタとして聞いてるんだけど、冷静に考えちゃうとほんとその通りだな、と思う。
*
「みなさんの投票の結果、学級委員は塩浦さんに決まりました」
小学校3年生のこのときから、自分の立ち位置を守るための生活が始まった気がする。
自分には隠したいことがあった。
家族が離婚してること。家族が借金してること。時折家の中でもめ事が聞こえてくること。何が「普通」か小さいこのときはよくわかってはいないんだけど、明らかに他とは違うということは気づいていた。だけど思春期に向かっていくこの頃は、他と違うということが恥ずかしかった。言ってはいけないことだと思っていた。言ったら自分の立ち位置が一気に崩れると思っていた。
自分の住む「社会」がまだまだ狭いこの頃に、”学校”という家よりも自分の身を預けられる居心地の良い場所を失うことだけは怖くて出来なかった。
だからみんなの期待する人物を演じた。
そして自分のことをひた隠しにした。都合のいい部分だけを見せて、あとはみんなの期待に自分のレベルを持っていって。
別にそれが嫌だったわけじゃない。だってそれを自分が求めていたから。
でも不意に友達との間で繰り広げられる家族のエピソードトークであったり、授業中にある「家族に聞いてこよう」みたいな問いに対し、笑顔で当たり障りのない反応しかしていない自分に胸が締め付けられることはあった。
今となっては「全部言っちゃえばよかったのに」と当たり前のように思うけど、当時の自分にそんな選択肢は微塵もなかった。わざわざ自分の居場所を失うかもしれないことなんて出来なかった。
だからきっとみんなが知らない部分を多く持っている。隠しきったという点では、演じきったという点では立派な俳優かもしれない(笑)
でも隠し続けることの限界は誰よりも自分が一番気づいていた。隠すことによる罪悪感、隠すために自分の中で消化しつづける胆力が限界を迎えていた。だから大学に入ってついにこれまで隠してきた部分を話した。それで悩んでいることを話した。もちろん人を選んだ。まだ誰にでも話す勇気はなかったから。最初は全然上手く伝えられなかった。思いは溢れているのに、上手に説明できない。今思えば、これが「言語化出来るようになりたい」と思ったきっかけかもしれない。
でも聞いてくれたその人は、長くなったその話を最後まで聞ききってくれた。話の内容を咀嚼してくれた。そして別の記事でも書いたことはあるが最後に、
「もっと自分のために生きてもいいんだよ」
「何かあったら守るからね」
その言葉がどれだけ真意なのかはわからない。もちろん真意だと思うのだが、たとえそうでなかったとしてもその言葉だけで私は救われた。「言葉ともっと真摯に向き合いたい」、そう思ったきっかけかもしれない。
それからほどなくして、私はnoteを書き始めた。そして毎日投稿を続けてもうすぐ2年が経過する。
そんな中でよく聞かれることがある。
「どんなこと書いているんですか?」
正直テーマは決まっていない。書きたいことを書いている。だけどそれじゃ答えになっていないと思うのであえて定義をつけるとしたら、
自分のこと。
自分の過去、自分の未来、自分が気になったこと、自分が感じたこと、自分の好きな言葉、自分の好きな本、自分の最近の学び、自分の印象的な出会い。全部、自分の○○だ。
あれだけ自分のことを語りたくなかった私が、今となっては息を吸うように自分のことを語ってる。
だからといって自分の自慢をするための自分語りではなくて。自分が共有したいこと、自分が経験した失敗等々を通じ伝えたいことの自分語りだ。
自分の思いを言葉にしたいときに言葉に出来るようにするために。
自分の姿が一つの指針になれば。
*
こんな感じだけど、別に過去の自分を否定しているわけではなくて。
むしろ過去の自分の頑張りがあるから今の自分があると思っていて。
今声を掛けられるとしたら、「よく頑張ってくれたね」って言ってあげたい。過去の自分を無駄にしない生き方をしていくしかない。
これからも自分を言語化していきながら、自分にしか伝えられないことを言葉として残していけたらな、と思う。
いいなと思ったら応援しよう!
